プライバシー規制による流れ

ECマーケを考えた時に、顧客分析・売り物の理解というところを徹底的に行い、ターゲット設定したのちに、実際プロモーションをうっていくとして、トレンドを理解しておきたい。
昨今、いつでもどこにいてもインターネットにアクセスでき、自分の欲しい情報だけを知ることができるようになり、従来のTVCMや、該当への看板広告など、企業側が一方的に商品のプロモーションを行う時代から、変わってきている。特にスマートフォンの利用が進むにつれて、個人向けの宣伝という考え方で宣伝のパーソナライズもそうだが、宣伝をする人も一般人がSNSを使って、案件として広告もできるようになり、広告する側も、される側も多様化が進み、より複雑化しているのではないかと素人ながら感じる。

そうなってくると、以前よりも新規獲得が困難となっているのではないかと思うが、そんな中、現在のプロモーションとしてどういった手法がトレンドなのか、調べてみた。
(日経クロストレンドの過去の記事より(2022年と少し古いですが。。))

個別トピックになるかもしれないが、EC事業者や小売店が自らの持つ顧客基盤を活用し、ECサイトや店頭サイネージ、スマホ上などで広告事業を運営する「リテールメディア」についてふれたい。

「リテールメディアは、消費者の購買行動に合わせて、高精度の広告配信を実現でき、広告主となるブランド各社には魅力的なメディア。運営する小売業者も、広告収益を得ることができる。」
市場規模の面でも、米国ではデジタル広告全体の17.2%をリテールメディアが占めるほどで、2023年には市場規模が500億ドル(約7兆円)以上に達すると見られているという。

2022年の日本のあらゆるメディアを足し合わせたすべての広告予算が約7兆円。いかに大きな市場かがわかる。eMarketer社は、デジタル広告の世界でリテールメディアがサーチ(検索)、ソーシャルに次ぐ第3波になると評価している。

リテールメディアの時代になってきたきっかけが「プライバシー規制の高まり。EUの一般データ保護規則(GDPR)、米国のCCPA、日本の個人情報保護法、改正個人情報保護法などが相次いで法制化され、広告がプライバシーを毀損せず、安全に行われているか厳しい目が向けられるようになった」

ウェブブラウザには、ユーザーの動きを追跡できる「クッキー」(Cookie)という機能があり、以下に整理される。

・ファーストパーティクッキー:ユーザーの訪問先であるサイトが発行
・セカンドパーティクッキー:パートナー企業のサイトが発行
・サードパーティクッキー:訪問したサイト内で第三者である専門業者などが発行。

このうちサードパーティクッキーがさまざまな広告に広く利用されてきたのだが、各種規制の中で終焉を迎えている。一部のブラウザにはまだ残っているが、それが消えるのも時間の問題。
サードパーティクッキー規制で影響が出るのが、広告配信と広告効果測定だ。誰にどういう広告を打てば効果が出るのか見極めるためのデータを集められなくなったからだ。
サードパーティクッキーという重要なツールを失ったところに、コロナ禍が重なり、マーケターたちはさらに頭を悩ませるようになったとのこと。

「コロナ禍でネット購入自体が当たり前になると、サイトの使い勝手や自分に合った情報が得られるかどうかが重視されるようになった。消費者の目が肥え、要求レベルが上がったといえる。自分の興味・関心に合った提案がされるサイトかどうか。消費者自身の関心に合致する関与度といった意味です。ユーザーデータの収集手段だったサードパーティクッキーがなくなったうえに、ユーザーからは高いレレバンスを求めるようになった」

つまり、ECサイトにとってポストコロナの最大のテーマがレレバンスとなったどうやってユーザー1人ひとりの興味に合わせてパーソナライズするのか

そこで、自社サイトのユーザー基盤を持ち、ファーストパーティデータを活用できるECサイトに注目が集まった。アマゾンのようなショッピングモールは大量のユーザーを抱え、その情報をファーストパーティデータとして活用可能。つまりユーザーの購買動向などに基づいて高精度にターゲティングできる。そこがリテールメディアを運営すれば、広告出稿先としてさまざまなブランドが興味を持つということ。そして、もう1つ重要な情報ソースがあるという。
「ゼロパーティデータ。顧客が何らかの対価を得るために、同意のうえで企業に提供するデータを指す。今後は、ファーストパーティとゼロパーティのデータが顧客動向の把握やパーソナル化に重要になる」


具体的にどういう施策が必要になるのか。
「顧客が購入するまでには、広告・キャンペーンで認知し、興味・関心を高め、比較・検討して決定・購入に至る流れがありますが、チャットボットで買い物を支援するとか、顧客が商品をお気に入りに追加したところで人気商品や競合品をレコメンドしたり、購入時に別の決済方法を紹介したりすることが可能です。こうすることで顧客体験は向上していきます」

だが、購入“後”の顧客体験はレレバンス向上に極めて重要でありながら、見過ごされやすいとのこと。

「実は購入直後はロイヤルティーを醸成しやすいタイミングで、再購入・関連商品購入につながりやすいといわれている。買い物直後というのは、どんな人が何をどれくらい、どういう決済方法で購入したのかすべてわかる」

ファーストパーティデータの中でもとびきり質も鮮度も高いデータというわけだ。だからこそ、活用すべき。
「この瞬間はトランザクションモーメントともいわれ、顧客の気持ちが上がっていて幸福度が高く、エンゲージメントが最も高まる瞬間です。ファーストパーティデータを生かして、このトランザクションモーメントに最適なオファーやお知らせを届ければ、大きな効果が期待できます」

ファーストパーティデータを活用すれば、広告主となるブランド企業、消費者、そしてもちろんリテールメディアを運営するECサイト、それぞれにとってプラスになる。

「ポストクッキーの時代、デジタル広告の”三方良し”が実現可能と。
広告主:1Pデータを使って効果的なターゲティングが可能。
・消費者:自分に無関係な広告が減り、自分の興味にあった広告が増える。
・ECサイトや小売事業者:1Pデータを持ち、CXを維持・向上しながら広告収入を得て、不確実性の高い時代への適応力を強化することが可能。


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