スターバックスの近くでコーヒー屋やカフェを開業するということ
カフェ開業の相談を受けるとき、「立地はめちゃくちゃいいんですが、近所にスタバがあるんですよね…。どうしたらいいんでしょうか?」という質問をたまに受けます。
わたしの答えはいつもこうで「その物件がいいんであればスタバの近くは絶対おすすめです!」です。
こう話すと不思議がられるのですが、実はなにを隠そう、弊社の直営カフェもスタバから徒歩1分の距離にあります!
先にスタバがあって、そのあとで弊社のカフェをオープンした形ですが、近所にスタバがあって後悔したことは一度もありません。
それはなぜでしょうか?
チェーンと個人カフェは競合しない
まず1番勘違いしていけないこととして、スタバやタリーズ、ドトールなどのチェーンカフェは、個人カフェの競合店ではありません。
そもそも使われる需要から、サービスの形態から価格帯etc…と、あらゆる面で個人カフェとは異なるものです。
もちろん、私だってたまにはスタバを使いますし、個人カフェも使います。ただ、スタバの隣に"面白そうな"個人カフェがあったら迷わず入るタイプです。
ここで言う"面白さ"とは、コーヒーの美味しさかもしれませんし、個人の接客技術かもしれません。店内がソファ作りになっているなどの雰囲気かもしれません。なんにせよ、スタバと個人店を差別化するものを指します。
たまに聞く理由としては、「私はテイクアウトカップでコーヒーを飲むのが嫌いだからスタバには行かないんだ」という人も。
なにか差別化ポイントがあれば、それだけでチェーンカフェのニーズとは違うお客さまがやって来るものです。
また、弊社直営カフェを例にすると、いくつかスタバが近くにあったことでトクをしたことも。
たとえば、スタバがデカフェに力を入れた時は、弊社のデカフェコーヒーの出方が全く変わりました。弊社ではオープン段階から高品質なデカフェをウリにしていたのですが、オープン当初はあまり出るメニューではありませんでした。
ですが、今や廃棄もほぼ0になるぐらい、きちんと看板メニューのひとつになっています。これは間違いなくスタバのデカフェが世間に浸透し始めてきた時期からです。
ほかにも、スタバからコーヒー豆の購入を弊社に切り替えたお客様や、それどころかスタバのスタッフさんが弊社にコーヒーを飲みにきてくれる常連になりました笑
これはほんの一例ですが、そのぐらいスタバと個人カフェの客層やニーズは異なるわけです。
※ただし、スタバが弊社に劣っているというわけではありません。そうではなく、そもそもチェーン店でカバーしきれない客層が必ず一定数はいて、それが個人カフェに流れてくるという話です。
スタバはむしろ集客手段になる
私たちは、むしろスタバがあるなら集客が楽ですねとよく話します。
特に地方だと、こだわりのコーヒー専門店を開いても、「コーヒーはブラックで飲むもの」というイメージが強く、せっかく高価なエスプレッソマシンを入れても、カフェラテがあまり出ないなんて話もあります。
ですが、スタバの近くだとカフェラテを飲むことに慣れたお客様が自然に集まります。これだけでも、コーヒーがこだわりのお店にとってはしめたものです。
こう考えると、チェーンカフェの近くというのはかなりの好立地です。チェーン店がその資金力を持って「一等地である」と判断した場所にお店を構えられるわけですから。
スタバに限らずチェーンカフェにいついている人はすでに
「アレンジコーヒーを飲む」
「ドリンクをテイクアウトする」
「コーヒー豆を買う」
「セルフサービスでオーダーする」
の4つの習慣がついています。
ときどき、「近所に競合店がないからきっと流行ると思うのよね!」なんて言う方がいらっしゃいますが、真逆です。
上記4つの習慣がない地域で、自分1人で、いちからコーヒーやセルフサービスのカフェ文化を浸透させるのは簡単なことではありません。
実際、弊社の直営カフェのすぐ裏には、スタバだけでなくコメダもあったので、オープン当初、コメダから見えたお客様にはセルフサービスが大変不評だったのを覚えています笑
たいてい空いてないとは思いますが、もしチェーンカフェの近くの物件が空いていれば、むしろ狙い目の物件じゃないか?なんて目線で見ると、新しい発見があるかもしれません。
名古屋市千種区でコーヒーセミナー運営、コーヒー豆・器具の卸売り、直営カフェを運営するnote合同会社の公式コラムです。