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寺巡りをする悪人①

社会人1年目の夏、お盆の休暇を利用し実家に帰っていた。
その夏はとても暑くて
太陽がギラギラと眩しかった。少し外に出ているだけで身体の表面に汗がジワジワと滲んで、それと共に体力もジワジワと削り取られる、そんな夏だった 

当時私は度重なる自分の悪業の数々に嫌気がさし、今後の行いを清める為に行っていることがあった。

「寺巡り」である。
ただ、寺巡りと言っても京都の伏見稲荷や三重の伊勢神宮のような徳の高い寺社仏閣ではなく、ただ近所の寺や神社にプラプラと散歩がてら行くだけだった。

ほんとに小さな古民家敷地のような所から、地域では割と大きめの神社まで規模の大小は特に気にせず巡っていた

実家への帰省中、その日は特に用事もなかったので昼前くらいに例の如く街中をプラプラと歩いていた

しばらく歩き、気がつけば街中を離れ、少し古い民家の目立つ住宅地を歩いていた。時計はお昼を少し過ぎた時刻を指していた。

影から影へとジャンプし、線路沿いをゆっくり歩く。
「ふぅとても暑いな、そろそろ帰るか」と思ったその時、

初めて見るお寺が目に入った。民家の間にひっそりと、あまり大きくはないが、でもなぜか目を引く
そんないでたちのお寺だった

中へ入ってみるとお寺特有の独特の雰囲気があった。

別段何か宗教が好きな訳でも、信心深くも全くない私が寺巡りが好きな理由は
この「お寺独特の雰囲気」がとても好きなのだ

入ってすぐ犬小屋があった
中には中型の芝犬のようなワンチャンがいた
 
お寺に入り優しい気分の私は
「かわいいワンチャンだね、こっちへおいで」と、ニコッと笑い近寄った

すると、

「ワン!ワン!ワン!!がるる!!」と、まるで狂ったかのように吠えまくってきた

先程までの「ふふ、こっちはおいで」のニッコリは私の中で姿を消し、
「てめえ場所が場所だったら今頃
二度と吠えれん身体になっとったで」と、悪態をついた
悪業を清める為に寺巡りをしていることは完全に忘れていた


とりあえずここで打ち切る〜
続きはまた②で

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