<読書感想>西村さん、もう少しふりがなふっておいてほしかったです

目が覚めたのが、早朝4時少し前。

部屋の気温は29. 
目が覚めたばかりのぼんやりした頭で、デジタルの数字を見た。暗いのでよく見えないけど、もう暑いのが体感でわかる。

エアコンが壊れたままになっているので、
今年も窓とドアを開ける + ドアの外に置かれた小さい扇風機 + ペットボトルに入れた水を常に置いておく で対処してる。

自分でもすごいなーと思う。笑

ただ、最近、ほとんど毎日のように中途覚醒していて、昼間の私はあまり元気がない。

睡眠不足は脳に良くないそうで、老化を促進するとか、認知症になるリスクが上がるとか、とにかく体に良くない。


で、そんな状況下で西村賢太さんの『小銭を数える』『二度はゆけぬ街の地図』を読み終え、いまは『どうで死ぬ身の一踊り』を少しずつ読んでいる。

私小説なので、主人公、北町貫太の一部は西村さんでもある。西村さんの過去が、そのまま貫太の人生の過去になっている部分もある。

北町貫太は、他人に対して「この人は、自分に対してこう思っている」とか、「こんな表情をしている。だから〇〇だと思っている」と神経質なぐらい細かく見ている。それが正しいのか間違っているかは、確認しないのでわからないけど。

そして、他人の嫌な部分を、これでもかと心の中で吐き出す。

「焼却炉行き赤ん坊」で、
同棲している彼女が、犬のぬいぐるみを、まるで生きているかのように扱う。ぬいぐるみに赤ちゃん言葉を使い、自分の近くに置く。
貫太がやめろと言ってもやめようとしない。

その様子が、気持ち悪くてホラーになっていた。

なぜ彼女は、そんなことをするのか。
読んでいくと、この「焼却炉行き赤ん坊」というタイトルがどういうことなのかもわかってくる。

貫太がどんな人なのか、数冊読んでいるのでわかっているけど、
それにしても彼女にひどいこと言うし、ひどいことするよなぁ……。

でも、貫太にひどいことをされ続けても、彼女(文章内では、「女」と書かれていて、名前がわからない。この女性、作者からもだいぶ雑な扱われ方をしている)は別れないし、家を出ようとしない。

この女性の心が広すぎるのか。それとも、一日経ったらみんな忘れられるとか。貫太のことが嫌いになりきれないとか?

DVをされた被害者は、自分の気持ちを抑えつづけることで心がマヒしてしまう、自分から動く気力が奪われてしまう、と聞いたことがあるけど、それなのか。


自分よりダメな人、人としてヤバい人を見ると

貫太は、一度怒りに火がついてしまうと、その火をうまく消すことができない。

すると、目の前にいる相手を罵倒する。
冷静さが失われ、ブレーキがきかなくなっているので、口から出てくる言葉が汚かったり、攻撃性が強すぎたり、とにかくひどい。

でも、人間だったら誰でも持っている、人には見せない醜い部分や、ネガティブな感情をここまで言語化できているのがすごい。

まあ、人によっては、貫太のこういうところに拒否反応が出て、嫌な気持ちになると思う。

以前、Eテレで放送された、西村賢太さんをとりあげた番組で、
西村さんの本が好きな男性の彼女が、貫太に対してすごい拒否反応を出していて、まったく好きじゃなかったのを思いだす。

貫太は、女性を下に見て、すごく悪く言ったりもするからね。ここに書けないような単語(たぶん、テレビで言ったらアウトな言葉)を使って。
この方の拒否反応はわかります。

人としてどうかと思うような言動をする貫太を見ていると、
少しほっとするような気になる。さすがにここまでひどい、ヤバい人間ではないよな、って。

もし、貫太のような人が近くにいたら、毎日相当しんどいと思う。
藤澤清造の本をうっかり落として傷でもつけたら、ぶちギレられるし。


慊い
稟性

私「……?」

話は変わって。

西村賢太さんの小説には、読み方がわからない言葉がときどき出てくる。

辞書で調べようにも、まず読み方がわからない。
なので、わからなかった漢字をメモして、パソコンで検索する作業が必要になる。

ちなみに、「慊い」は「あきたりない」。
これはよく出てくる。

「稟性」は、まず、Googleで「凛のにすいなし」と検索して、これが「ひんせい」という読み方だと知った。意味は「品性」。

もう少し、ふりがなふってあると読みやすいんだけどなー。


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