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窓の向こう側(後編)
<承前>
それからの一週間はすぐに過ぎた。ただでさえ速く過ぎていく時間がさらに速度を増したかのようだった。それゆえ、過ぎていく日常はぼやけた遠景のようで、読み流す英文の一節一節が、あるいは数学や国語の問題の一問一問が、確かに頭の中を通り過ぎ処理されていくというのに、何もかもが他人事のようで、自分自身ではない誰かが機械的にこなしているみたいだった。理科や社会の問題を解けば、記憶装置が要求された知
窓の向こう側(前編)
きっと、惚れた異性に初めて告白するときにはこんな気分になるに違いない。
絵のモデルになってくれないか、ただその一言を絞り出すのに随分勇気が要った。
「モデルって……」
「いや、ヌードとかじゃなくて、普通に座っているだけでいいから」
慌てて早口で付け足した言葉は空回りした気がした。俺はさぞ滑稽な顔をしていたのだろう。そんな俺の様子が可笑しかったのかもしれない。斉藤ははにかみ半分、微笑んで言った