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必ずしも起業が正義ではない。

最初に一つだけお伝えしたいこと。
このnoteは決して起業することを批判しているものではないと言うことを念頭におきながら読み進めて欲しいです。


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最近まで私を苦しめていた『起業する』と言うその言葉。
起業=手段の一つでしかない、そんなこと頭ではわかっていたけれど、私はかなりその言葉に苦しんだ。

消えた人

私が尊敬してて信頼してて大好きだった人がある人たちのことを『消えた人』と言っていたのを何回も聞いた。※1
起業してもうまくいかず精神的にダメージを受けてしまった人、起業せず自分の赴くままに生きている人、彼らのことを消えた人と言っていた彼のことを私は忘れられない。

そして法人格を持っているのか、と言うその質問。
いつしか私を縛る鎖のようになっていた。
私は法人登記をしたわけではないから、起業した人からしてみたら、何もしてないのに語るな、そう思うかもしれないしそう言われても仕方がないと思う。

けれど適当な気持ちで登記したくなかったし、私はやっと起業と言う言葉の鎖から解放されて自分の進みたい方向に進もうと決意できた。
だから今、もしかしたら私みたいな経験をしている人がいるかもしれない。
これから同じことで苦しむ人がいるかもしれない。
そんな人たちにこのnoteが少しでも役に立つ時がくれば書いた意味があると思っている。

起業が正義でかっこいい錯覚に陥る環境

大学入学後に私はとあるビジネスコンテストに出場した。私のことを知ってる人は何のビジコンか知っているかもしれないけど、私はそこに出場してよかったと思っている。
けれど、その後そのビジコンで題材にした事業を私は辞める決断をした。
私には守りたいものがあった、それを優先した決断だった。
後悔はしてない。

だけどその後私を取り巻く環境は変わっていなかった。
いい意味で期待され続けた。私の性格上期待されればされるほど、その期待に答えようとしてしまう。

私が本気でやりたいと思った事業を辞めるという決断をしたのに、その後も起業することがただかっこいい、すごい、そんな世界で生きていた。
「いつ起業するの?」「若いのにすごいね」「売り上げいくらあるの?」
そんな言葉が飛び交う日々。
でもその時はその環境が自分を苦しめてるなんて思いもしなかった。
当たり前に目の前に広がっていてる世界を疑おうとはしなかった。

当たり前のように周りの同世代は起業家だった。自分で事業をしていた。
インターンをしていることも当たり前だった。
だから当たり前のように自分も起業すると思っていたし、周りがそう思っていることも知っていた。

いなくなることへの怖さ

でもだんだん自分が苦しんでることに気づいた。
ただ表面しか見えていなかった。法人登記は手段でしかないのに。
どうしても最後の最後の一歩が踏み出せない自分。
勇気も根性も思い切りも足りない、そう思う日々の連続。

そんなある日、尊敬してて大好きだった人が「消えた人」と言ってるのを聞いた。
起業しても心を病んでしまった人、起業しなかった人、その人たちのことをその人は消えた人と呼んだ。
私はもう引き下がることができなくなった。

でも2月に参加したMAKERS UNIVERSITYの合宿で気が付いた。
その合宿では「登記したの?」なんて一回も聞かれなかった。
私がそれまでいた環境では当たり前に人が集まれば聞かれたその言葉。
それまでの環境では登記してないと話にすら参加できなかったこともある。
でもMAKERSでは誰も法人格を持ってるか否かなんて気にしてなかった。
それが私には救いだった。

4月頭の時点で私には目の前に二つの選択肢があった。
一つは自分で事業をやっていく。もう一つは大好きな会社にフルコミットでジョインすること。

一度その会社を辞める決断をして3月で一区切りついていた。
でもその時には気づいていた、自分がどっちの道に進みたいのか。

だけれど私がいた世界で消えた人、そう呼ばれるのが怖くて、周りの期待を裏切るようなことをしたくなくて、自分に嘘をついて0→1で事業を立ち上げようとしていた。起業しようとした。

結局は自分が幸せになりたい。

ただ、自分に嘘をついている状態で法人登記をするという行動も取れず、だからと言って事業を起こすための行動も取れない、何もしない自分がいた。
その自分が情けなかった。周りはどんどん動いて先を進んでた。

人と比べる毎日。
あの子はこんなにも頑張ってる、私は進捗のひとつもない。

そんな毎日に嫌気がさした。

だから4月は1ヶ月間仕事を休んだ。
3月で辞めた仕事もあったので比較的休みやすかったのが幸いなこと。

その1ヶ月はとてつもなく苦しかった。
だけれど、その休みで今までいた環境から離れて、ただ在る、ことをした。

休み期間を経てもう自分を苦しめるのはやめよう、ただ自分が行きたい方向に周りを気にせず進もう、そう思えるようになった。
ただ生きていることに価値を見出せるようになった。

もともと私は価値なしモデルだ。
(油佐美加子さんの著書『ザ・メンタルモデル』に基づいて人は4つのメンタルモデルに分かれるのだけれど、私はそれの価値なしモデル)
↓ザ・メンタルモデルについてはこちらを呼んでみてください。

だから自分には究極価値がないと思ってしまう。
仕事をしていれば自分には一定の価値があるように思えてしまっていたけれど、仕事をせず誰からも求められない生活になった途端、何で生きてるんだろう、生きてる価値がない、とまで思った。

私は一年半前から余暇が楽しめなくなっていた。
旅行に行くのも、休みを取るもの罪悪感でしかなかった。

けれど、1ヶ月休んだことで、ただ在るだけでも誰かを笑顔にすることができていて、私が生きててよかったと言ってくれる人がいて、余暇を楽しめるようになった。

だからもう消えた人と呼ばれてもいい。
周りの期待に応えられなくてもいい。

自分には絶対に嘘をつきたくない。だから私は行きたい方向に進む。
私が幸せになれると思える道を選ぶ。

NEW ME

この決断をしたら自然と自分が笑顔になることが増えて自信がついた。
ただ決断しただけじゃなくて、進もうとしてる道で自分が得たいもの、その道に進む目的を明確にしたからだ。
そうしたら堂々と人に話せるようになった。

気づいたら起業=正義でかっこいいという鎖から解放された気分だった。
起業したい人はするべきだし、社会を変えたい人は変えてほしい。
だけどその道を選ばなかった人が消えた人で、ダメで価値がないわけじゃない。

その私が尊敬する大好きだった人が放ったもう一つの凶器がある。
「社会をよくしようとしてない人には価値がない」

私はその言葉を聞いてその人と関わるのをやめた。
このnoteを読んでくれた人には伝えたい。

この世に価値のない人なんて1人もいない。
私は1ヶ月仕事もせず誰かのために家事をしたわけでもない。
本当にただ自分のために過ごした。
それでも私といて幸せだと、出会えてよかったと、そう言ってくれる人がいる。
ただ生きているということだけでも十分素敵で価値のあることだから。

起業することだけが正義ではない

かっこいい言葉に流されて自分にだけは嘘をつかないで欲しい。
私は周りの目や期待に影響されて1年半苦しかったし、家族という本当に大切なものを崩壊寸前な状態にまでしてしまった。
自分で壊したものは自分で修復するしかない。
壊すのは一瞬でも修復するのには時間がかかる。私も時間はかかっているけれど最近少しずつ家族との関係も良好になってきた。

もしあなたが今自分に嘘をつきかけて今後の道を選択しようとしているなら、一度勇気を出して立ち止まって欲しい。
自分が幸せじゃなかったら本当に辛いと思う。
どれだけ人の期待に応えても自分の心は空っぽのままだから。

そして先述したように私に二つの言葉の凶器を投げた人がいた。
その言葉に苦しんだけれど、反対にただ在るという私に救いの言葉を投げかけてくれた人もいた。
関わる人は自分で決めたらいい。
そうやって苦しい言葉ばかり投げかけてくる人とは関わらなくてもいい。

どんなにその人が『すごい』と言われていても、その業界で名を馳せていても、一緒にいて関わっていて苦しいのなら一度離れてみたらいい。

人生は唯一無二の自分のもの

人生は一度きりでそれはあなたのもの。
だからただその人生で自分が幸せになれる最高の道を選んで欲しい。
そのために自分に嘘をつく必要はない。

自分が進みたいと思った方向に進んで欲しい。

そしてこのnoteが背中を押す一つになれたら嬉しいです。


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追記(2022.05.10)
※1より
私に2つの言葉を投げた人とこのnoteを書いた後にきちんと話をしました。
その人の真相は私が当時受け取ったものとは違ったのでここに書いておこうと思います。
そしてこれだけは言いたいのですが、私は一度はその人の言葉に傷ついたけれど、その人の真相を理解して、行間をきちんと読み取れなかった私も未熟だったのかなと思います。そしてその人は決して傲慢ではなく悪い人ではないことだけは、わかってもらえたら嬉しいです。その人と深く関わるのはやめたけれど、今でも心からの尊敬は変わっていません。
↓その人との会話より抜粋

「消えた人」の話には続きがあって、起業した子達が、落とし穴にハマって失踪してしまうことを指してて、そんな人を減らさないといけないって意味で使ってるのね。
侮蔑の意味では、断じてない。
「社会を良くしない人には価値がない」ってのも、価値がないなんて言ってはなくて、比較したらそういう人の方が色んなサポートを求めてる(孤独だし理解されない)って意味。




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