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274.写真をもとに絵を描いたら訴えられた~

1.写真をもとに水彩画をポスターに利用した著作権侵害

 
2008年3月13日。写真をもとに水彩画を描いたことで著作権侵害となる事件があり、この日、東京地裁で設楽隆一裁判長は91万円の支払を命じた。

これは祇園祭の風景を撮影した写真をもとに、無断で描かれた水彩画を祇園祭りポスターに使用され、著作権を侵害されたとして、東京都武蔵野市のアマチュアカメラマンの男性が、八坂神社(京都市)と印刷会社などに計300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決だった。

問題となったポスターは平成15年〜18年に八坂神社が印刷会社に発注して制作されたもので、平成15年にこのカメラマンの写真集の写真をもとに水彩画として使っていた。

訴訟では写真をもとに描いたという、水彩画が写真の「翻案」に当たり、著作権を侵害するか否かが争われていた。

設楽裁判長によると、この水彩画について、「全体の構成が写真の構図と同一である上、独特の色遣いなども酷似しており、写真が持つ本質的な特徴を感じ取れる」と指摘。「水彩画は写真を翻案したもの」と認め、著作権侵害に当たると結論づけた。

八坂神社は「著作者の使用許諾を直接確認することを怠った」と過失を認めた。

裁判所のいう「翻案」とは一体何だろう?

翻案とは二次的著作物のことをいう。

つまり、原作として利用されたものが著作物ですが、同様に翻訳などによって

作成されたものも著作物になる場合があります。このことを「二次的著作物」といいます。

二次的な著作物というのは、原作に基づいているため、まったくのオリジナルというわけではありませんが、翻訳者によって翻訳の仕方に違いがあり、翻訳者の独自性が表現されることによっては、原作とは別の創作性が認められることになり、新たなる著作物として認められます。

ですから、原作に新たな創作性を加えることによって出来上がった新しい著作物といえます。

著作権法では、二次的著作物のことを「著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案することにより創作した著作物」としています。

つまり、水彩画は、他人の写真を許可なく無断で利用(翻案)したということになります。

平成13年6月に最高裁では、著作権法の翻案権に関して、「ある作品において、既存の著作物が持つ表現上の本質的な特徴を感じ取れる場合、その作品は既存の著作物の翻案に当たる」と指示しています。


 


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※注 この著作権noteは1999年からの事件を取り上げ、2000年、2001年と取り上げ続け、現在は2002年に突入。今後はさらに2003年から2020年~2022年に向けて膨大な作業を続けています。その理由は、すべての事件やトラブルは過去の事実、過去の判例を元に裁判が行われているからです。そのため、過去の事件と現在を同時進行しながら比較していただければ幸いでございます。時代はどんどんとネットの普及と同時に様変わりしていますが、著作権や肖像権、プライバシー権、個人情報なども基本的なことは変わらないまでも判例を元に少しずつ変化していることがわかります。
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