アサガオ
私が幼稚園に通っていたとき。
アサガオを育てて、生命の大切さ・育てるということを学ぶのだ。
どこの子どもでも一度はやったことがあると思う。
そして、それは男の子ならわかるかもしれないが、気乗りはしないものだ。
毎日欠かさず水をあげたとしても芽すら出てくれない。
我慢の連続。すぐには反応してくれない。
水をあげすぎると、枯れてしまう。丁度いい具合というのが存在するらしい。
そんなこと、5歳の私には気づかえない。
1週間か、2週間か定かではないが、芽が出るまで時間をかけないといけないらしい。
そんなにかかるものなのかと不思議に思った。
そんなに待てない。
通っていた幼稚園には、リスが二匹ほど飼われていた。
何も反応のないアサガオよりもリスの方が好きだった。
お腹が空いていると、たまに噛み付くが、人懐っこいリス達だった。
彼らには食事のためにひまわりの種をあげることができた。
それをゲージの外からあげるのが園児の楽しみの一つでもあった。
一人で餌をあげていると、ふと、手に持っているのがひまわりの種だと気づいた。
これがひまわりになるのか?と疑問に思った私は、リスに悪いと思いながらも2、3粒種を貰った。
そのまま植木鉢のとこに行き、私のアサガオのところまで走った。
まだアサガオの芽は出ていない。少し端っこに、バレないように埋める。
それから、毎日水をあげて、声をかけていた。早くひまわりに会いたかった。2、3日経った頃だろうか。僕の植木鉢だけ芽が出てきた。
「すごいね!毎日水あげていたもんね。」
と友達から言われた。ただ先生だけは不思議そうな顔をしていた。
だんだん大きくなるその芽は明らかにひまわりだった。
やっと反応してくれたのが嬉しくて、毎日の楽しみになった。
どんどん大きくなったある日、その芽は植木鉢から消えていた。
何度も探した。何度も。そこら中を。
先生に聞いた。
「僕のひまわりはどこにいったの?」
「アサガオを育てるのに、ひまわりはいりません。」
僕は笑った。
生命の大切さを学んだからだ。
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