【読書】 吉田羊 『ヒツジヒツジ』
最近着物が気になっている。
トーハクの2階に展示されているような、大名家に代々引き継がれてきたものはこれまでも見てきた。
物語性のある豪華な刺繍などは、針仕事に縁遠い私でも見ていてため息が出てしまう。
着物は見て眺めるもの。
そう思っていたところ、先だって旅行先で着物をレンタルして街歩きをしてみたら、どうにも自分の体にフィットしてしまって、それ以来どうにも着物が着たいという欲求が止まらないでいる。
InstagramやらX(Twitter)を眺めた結果、吉田羊さんの着こなしに行き着いて「これだー!」となった。
そこで人生初、女性が出したフォトエッセイを買うこととなった。
アンティーク着物をベースに和洋ミックスコーディネイト、というのが彼女のやり方。
しかしなんでもルール無視ではなく、季節や格といったものも忘れない。
表紙で着ているのは鶴に紋付きの大変めでたい礼服。
しかしストライプの半衿にチョーカー、メッシュの手袋。
足元を見ればメゾンマルジェラのタビブーツ。
極めつけは、このお着物は振袖。
振袖は若い人の礼服なので、失礼ながら吉田羊の年齢では着ることを避けるものではある。
ところが彼女は堂々と、しかも自著の表紙で振袖を身につけている。
伝統重視の人が見たら卒倒しかねない着こなしだ。
フォトエッセイ発刊のめでたさを礼服で表現しつつも、彼女らしいコーディネイトを忘れない。
表紙だけで彼女が着たいものがなんとなく分かる。
書籍の中のコーディネイトは、吉田羊本人が全ておこなっているそう。
役者としての仕事の合間に書籍の仕事と、さぞかし大変な日々だったと思う。
芸能人のフォトエッセイって、こんなに本人がしっかりとディレクションするものなのだろうか。
芸能人の写真集は、ただ選んでもらった服を着て写真を撮ってもらって、出版されるのを待つばかり。
そんなイメージを持っていたけど、中にはこんなに本人の気持ちのこもったものもあるんだな、と感心。
彼女のコーディネイトを全て取り入れるのは無理だけど、着物を生活に取り入れるにあたって参考にしたいものはたくさんあった。
ひとまず半衿を楽しむためにも、半襦袢か長襦袢を買うとしようか。
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