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日本海にうかぶ小さな島の海士町が、みんなで町の公式noteをつくるわけ

note地域・行政

みなさんこんにちは。note公共教育ディレクターの青柳(noteTwitter)です。今日から少しずつ、noteを始めた自治体のみなさんを取材し、noteの街で情報発信に取り組んでいる理由や裏話などを書いていきたいと思います。

noteを使った発信に興味のある自治体関係者の方や、まちづくりに関心のある方に読んでいただけたらうれしいです!

今回話を聞いたのは、島根県隠岐郡海士町さんです。

「40代以下の移住者が人口の1割をしめる、地方創生のトップランナー」として紹介されることも多い海士町は、本土から船で2,3時間かかる、隠岐諸島に位置する人口約2,250人のまち。車なら2時間で一周できる小さな島です。

海に囲まれた海士町の様子

海に囲まれた島、海士町。信号は1ヶ所しかないそうです。(画像:海士町公式noteご提供)

そんな海士町の公式note、はじめて打合せをした翌日に町長決裁をとって申込みいただく、というスピード感で誕生!発信は21年2月からスタートしました。

役場の情報発信というよりもむしろ、まるで島に暮らすみんなでnoteにまちをつくっているような海士町公式note。

どんな風にうまれ、どう運用しているのか、海士町 総務課 情報政策係の寺田さんと、海士町在住のアートディレクターで町の情報政策コーディネーターを担う南さんに聞いてみました。

海士町の寺田さんと南さんとnoteの青柳

左上が海士町在住のアートディレクターで、町の情報政策コーディネーターも担う南さん。真ん中が情報政策係の寺田さん。右上がわたし、noteの青柳です。「写真撮ります!いきます!」という、あまりにもぎこちないふりにも関わらず、笑ってくれました。

note導入、スピード決裁の舞台裏

note導入の前から情報政策の柱として、あらゆる島の情報を集めたまとめサイト「あまとめ」の開発と公式LINEの運用があった海士町。その背景には、発信に関する課題感がありました。

役場の事業はどうしても、各課ごとに予算と事業が紐づくため、縦割りになってしまいがち。各事業ごとに特設サイトやSNSが立ち上がるもののつながりはなく、意外と隣りで何をしているかを知らなかったり、横連携がないことによる様々な機会損失がうまれていたそうです。

この課題感を解消しようと、町の各分野で情報発信をしている人たちで集まり、ゆるく話し合う場をつくってきた海士町。その中で、「どこかの誰かが操作するのではなく、発信したもの全部が集まる、島に関するまとめサイト」をつくること、「LINEで情報を届ける」ことが決まり、施策が進んでいきました。

ー そんな中でnoteにはどういう経緯で関心をもってくれたんですか?

南さん:「note使おうよと最初に言ってくれたのは寺田さんです。実はぼくは、noteを使うことには懐疑的だったんですよ。あまとめのような情報発信の仕組みを自分たちでつくっていこうという時に、すでに先行していて認知度も高いプラットフォームを使うのは、タイミング的にどうなのかなと・・そのプラットフォームがもっている雰囲気や仕組みに、引っ張られてしまうのではないかと思ったんですね」

笑顔の南さん

アートディレクターで町の情報政策コーディネーターを担う南さん。南さん…南さんがnoteに懐疑的だったなんて、わたし取材するまで知りませんでしたよ…

情報発信においても海士町の離島独自のユニークな文化を大切にしたいと考えていた南さん。流行っているから・他がやっているからではなく、「自分たちの価値観にあったものを自分たちでつくる」ほうが海士町らしいという思いがあったからこそ、プラットフォームの利用に対しては慎重だったそうです。

一方、役場の寺田さんはまとめサイトとLINEを運用していくにあたってnoteは相性がよさそうだと関心をもってくれていたとのこと。noteの記事をRSSでまとめサイトに引っ張ることができるしnoteの記事をLINEでシェアできる、町内でnoteを使って発信している人たちも増えているというのがポイントだったそうです。

そんなタイミングに、共通の知り合いがつないでくれたことがきっかけで、寺田さんや南さんたちと打合せの機会をもつことができました。

笑顔の寺田さん

海士町 総務課 情報政策係の寺田さん。じつは寺田さんも移住者で、埼玉県出身。海士町に移住して10年だそうです!

ー はじめて打合せをした次の日には申込みをいただいたので、びっくりしました! 稟議は即日作成して即日通過?!という‥

寺田さん:「そうでしたよね、たしか、打合せの次の日には稟議書をつくって町長まで決裁をとりました。事前に活用イメージや考えていることをメッセージしたら、青柳さんが打合せのときに、それを反映したストックとフローの図を書いてきてくれたことに感動して。すぐにやりたいと思ったんです。こうやって使えたらいいかなぁと頭の中で考えていたことがパッと可視化されていたし、同じ気持ちで一緒に考えてくれているんだなと感じて。それでまずはやってみよう!という運びになりました」

海士町の候補発信全体イメージの図

事前に送ってくれた情報を元に、ストックとフローでまとめた資料の1ページ。このページがそんなに喜んでいただけるとは、つくった当時は思っていませんでした。

初回の打合せが12月24日、なんと翌25日には「承認とれたので申込みます!」とご連絡があり、お申込みいただくことに・・・そのあまりのスピード感に驚いたことをよく覚えています。

承認プロセスで反対意見はなく、
・天気なども含めた島の情報を網羅するまとめサイトあまとめ
・関係人口をプッシュ型でつなぐLINE
・情報をストックするnote
この3つを活用することで、海士町の情報発信に相乗効果がうまれることを、町長含めた役場のみなさんも、町内で情報発信に関わるみなさんも理解してくれたそうです。

また役場の公式ホームページの改修予算の確保が難しい中で、note proのカスタマイズ性を使って、町の公式サイトとは違うもう1つのホームをつくれることも決め手になったと言います。

海士町公式noteトップ

海士町公式noteのTOPページ。テーマカラーも青で、役場の公式サイトとはまた違った海士町らしいホームベース!フォローやスキのリアクションにも癒やされます。

海士町という島をまるごとnoteで表現

こうしてはじまった海士町公式note。複数のマガジンを作成し、noteで発信している町内の人の記事をまとめたり、海士町に関するnoteクリエイターの記事をまとめたり。役場からの情報発信だけではない、みんなでつくる町の公式noteの運用がはじまりました。

海士町公式noteの書き手の広がりはもちろん、図書館やふるさと納税アカウント、個人の方まで、町内のnoteアカウントが次々誕生しています。

ー 海士町さんの巻き込み、本当にすごいですよね!

南さん:「そうですね、関わりしろのある人は仲間にいれておこうっていう文化はあるかもしれないです。チームとまではいかないけど、とりあえず色々な人に部屋には入ってもらう。よければ一緒に進めればいいし、だめだったり違ったら、止めたり変えたりすればいいという」

海士町みんなのnoteマガジンには、すでに200本以上、町のみなさんが書いた記事がまとめられています。マガジンに追加しているアカウントを紹介をする記事を読むと、法人も公共施設も個人の方も紹介されていて、ネット上のもう1つの海士町が再現されているかのようです。

ー 役場としての発信だけでなく、島をまるごとnoteで表現するような今の運用方針は、はじめからあったんですか?

寺田さん:「はじめはnoteのことは、あまとめ(島の情報まとめサイト)とLINEの連携手段、記事のストック場所だと捉えていたんです。

でもnoteさんの7周年の時に、noteは街を目指しているという話を聞いて。海士町もnoteという場所でまちを表現して発信していきたいんだと、すごく腑に落ちたんです。

noteには海士町のことを書いてくださっているクリエイターさんたちもいます。町民のみなさんはもちろん、noteのクリエイターさんたちとも、一緒に海士町を表現していきたい。海士町を知ってもらうための大通り的な存在としてnoteがあって、その中の裏道もめっちゃ楽しいよ!という場所になるといいなと思うようになりました」

note_街イラスト

note7周年で改めて発表した、noteはクリエイターが集う創作の街というコンセプト。そんな風に共感していただけていたんだ!ということが分かって、お話を聞きながら感動でした!

noteなら海士町らしい発信ができる

寺田さん:「でも、note proという機能を自治体はどうぞ無償で使ってください〜というだけであれば、そこまでは思わなかったと思います。noteさんとの定期カウンセリングの中で、毎月色々な情報や技術的なことを教えてもらったので、そう思うようになっていったというか」

noteの地方公共団体支援プログラムは、note proを無償提供することに加えて、公共教育担当ディレクターが運用のサポートもさせていただいています。カウンセリングは、誰もが創作をはじめ、続けやすくするための“続けやすさ”のための施策の1つですが、そんな風に思ってくださっていたなんて…

南さん:「noteさんのサポートがあることは大きいですよ。定期的に第三者に入ってもらって打合せができるというのは、継続していくうえでも、多様な人を巻き込むうえでも、すごく重要だと思います。第三者がいることで、緩衝材にも潤滑油にもなる。単純に、noteの人と打合せするから来ない?って言えるので、色々な人に声もかけやすいですしね。あとビジネスライクな打合せじゃないところも、海士町の文化と合っています」

インタビューしながら大爆笑する様子

取材時、親しみやすいキャラがいいよ〜と言ってもらい「すごくありがたいけど自画自賛みたいでこの話書けないです‥」と言ったら、爆笑してくれました。(そしてしっかり書く)

はじめはnoteの活用に懐疑的だったという南さんですが、使っていくうちに、noteなら海士町としてのおもしろみや独自性が欠けない発信ができると思ってくれるようになったそうです。

ー 最初の印象は、どうして変わっていったんですか?

南さん:「使っていくうちに、noteがすごくフラットだというのが分かったんです。いい意味で押し付けがないというか。UIUXデザインの設計もそうですし、広告がないこともそうです。note側のこうしてほしい・この枠にはまってほしいという意図を感じなくて、すごくプレーンで自分のすきに書いていいですよ、という雰囲気がある。それが使ってみてよく分かりました。だから、ほかの自治体も使いやすいんじゃないですかね?」

ー これはうれしい…!寺田さんはどうですか?

寺田さん:「noteはストーリーを伝えるための美しい場所だなと思います。ごちゃごちゃしていないので、書き手の書きたいことを邪魔する要素がないですよね。あと、べた打ちしているとパッとしない文章でも、noteに書くと見やすくて読みやすいデザインになります。美しいプラットフォームだなと思います」

そう話してくれた寺田さん。足りない情報を補足する記事を書いたり、町のみんなでつくっていく体制づくりをするといった下準備が終わったいま、これからはストーリーの発信に力をいれていきたいと思っているそうです。

海士町のオープンするホテルの一室

ストーリーを届ける海士町公式note初のインタビュー記事は、リニューアルオープンするホテルEntô代表の青山さんへの取材記事。ホテルに込めた想いや舞台裏を読むことができます。写真はホテルEntôの1室。泊まりに行きたい‥!(画像:海士町公式noteご提供)

「これからも、PVやフォロワー数のような数字を気にするよりは、海士町らしい表現や、発信したいことを発信することに注力していきたい」と話してくださいました。

つぎはどんな海士町らしいストーリが読めるのか、今からたのしみです!

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