(小説)出会い①-1

夢を見た。
白い部屋の夢だ。

綺麗な青空が窓から見える。
窓の手前には病院のベッドがあって、白い服を着た女の人が腰かけていた。

その人は、小さかった僕に優しく微笑みかけてくれたんだ。

***

パチッと目が覚める。
懐かしい夢を見た気がするなぁと思いつつ、瞬はベッドから起き上がった。

間宮 瞬(まみや しゅん)。大学1年生。
半色の瞳が特徴的だが、それ以外は短い黒髪に大人しそうな雰囲気を纏った普通の男の子だ。進学を機に一人暮らしを始めており、慣れない生活や勉強、アルバイトに追われるうち、季節が汗ばむ陽気をはらんでいた。

瞬は寝起きの頭で本日の予定を思い出す。
(…え~っと、今日はバイトもないし、衣替えとか部屋のことも先週やったから…、よし、何も無いな。)じゃあ今日は何をしようか、と朝食を食べながら考える。
(そういえばこの町のことよく知らないよな…)

瞬は幼い頃、この町に住んでいた、らしい。10年以上前のことを教えてもらっただけで特に覚えていることがなかった。
(引越し前に確認はしたけど、病院とか見とくか。)
そう決めると瞬は残りの朝食を食べ、出掛ける準備を始めるのだった。

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