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【識者の眼】「『御用聞きキャンナス』という取り組み」中村悦子

中村悦子 (社会福祉法人弘和会「訪問看護ステーションみなぎ」管理者)
Web医事新報登録日: 2021-05-12

この度、ご縁があって日本訪問看護財団の「感染防護具支援プロジェクト」に参加させていただくことになりました。4月現在で全国73カ所の施設が参加しています。おかげで、全国の訪問看護ステーション周辺の深刻なコロナ事情を知ることができます。

特に、ここ最近の兵庫県の実情は大変厳しく、そんな中でも、グループメールで我々に事実を的確に伝えてくださる神戸の藤田愛さんや、毎日YouTubeで情報発信してくださっている長尾和宏先生には頭が下がります。

ここ石川県でも数カ所の医療機関や高齢者施設でクラスターが発生しており、今に他人事ではなくなるのではないかと危惧している毎日です。

それでも、医療従事者としてはダメな考え方かもしれませんが、入院すると全く面会できないという現実に複雑な思いを抱えています。十分な情報を提供できないままに入院となり、家族も面会できません。そして、退院が決まった時には、食事形態やADLが低下している場合が少なくありません。

そこで、今回短期間に4人の高齢の利用者さんが入院したことを機に、自動車免許を返納した家族の代わりに「御用聞き」に徹することにしました。毎日、病棟を訪問して手作りORS(経口補水液)を届けて「変わりありませんか? 洗濯物はありませんか?」と病棟看護師に聞きます。最初は単なる御用聞きでしたが、心情的にそれで済むわけがありません。「どんな形態の食事を食べてますか?」「どのくらい動いてますか?」と看護師に聞くようにしました。看護師の反応も色々で、それもある意味課題ですが、看護師から「今日はシャワーをしたのですみません」と申し訳なさそうに洗濯物を渡されたり、患者さんが「できることは自分でやります」と洗濯してくれるようになりました。

こうした、お節介看護師の「御用聞きキャンナス」をこれからも可能な限り続けていこうと思いますが、大切なことは、なるべく入院しないで済むような看護の実践ですね。

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