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【識者の眼】「新型コロナ対策:ミドル世代の意識を高めるのが感染収束の近道か」和田耕治

和田耕治 (国際医療福祉大学医学部公衆衛生学教授)
Web医事新報登録日: 2021-08-10

新型コロナの感染対策やワクチン接種において、「若者が課題」との論調があります。私はあえて今こそ、ミドル世代である40〜50代に対策を強化することが感染収束の近道と考えています。その理由を紹介します。

現在の重症化の多くがミドル世代であり、そしてまだまだ現段階ではワクチン接種の機会が行き届いていません。ワクチン接種を加速化したいのですが、ワクチンの接種について7月中旬の段階で50代の女性では35%、男性では33%が「様子をみたい」または「接種したくない」と回答していました。この世代で接種が進まないと子供たちの世代である20代などの接種が進まない可能性があります。ワクチン接種のアクセスをわかりやすく情報発信し、地域の開業医などを受診した際にはワクチン接種の有無を確認して、接種がまだであれば地域の中で接種場所につなげる総力戦が必要と考えます。

もう一つ気になるデータがあります。「あなたは、自分が新型コロナウイルス感染症に日常生活で感染すると思いますか」と尋ねたところ、「そう思う」または「ややそう思う」と回答した人の割合は、男女ともに20〜39歳よりも40〜59歳のほうが低かったのです。これは、感染対策ができているからリスクを認識していないのか、それとも過信があるのかはわかりません。企業においてミドル世代は管理職も多いのですが、やや感染対策がおろそかになってはいないでしょうか? また、若い人とのお話のなかでも、「ミドル世代も飲み会をしているじゃないか」との指摘もいただいています。

20〜30代に情報を伝えて行動変容をするのは難しくなっていますが、ミドル世代はテレビや新聞などの媒体でリーチが可能です。現在は多様なメディアがあり、若い世代はテレビや新聞などを見る習慣がないようです。若い世代に対して、youtubeやTikTokなどの媒体を使った政府や自治体の発信などがありますが、見ていただけるほどの質にするのは、なかなか難しいです。できれば、ミドル世代から職場や地域に伝えてもらうほうが感染収束の近道だと考えています。

ミドル世代がしっかりと感染対策などをして、模範を示すことで、若い世代をさらに守るといった社会のありようが目指せれば、なお良いのではないかと考えています。なによりこの施策は、ミドル世代が自分たちを感染から守ることにもつながります。

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