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ちょっと待って! 「ヴィンテージマンション」の落とし穴

世はまさに中古マンション時代。

時代の煽りを受けて今回は、中古マンションについて記事を書こうと思います。
というのも、私自身築50年越えのマンションを購入し、そして2年で売却した苦い経験があるからです。

コロナ渦での資材高騰の追い風もあり、今より少し前から世間では「中古マンションブーム」が巻き起こり、そして続いている印象です。
新築のマンションが高ければ、中古マンションを買えばいいじゃない!」というやつです。

まずは簡単に、中古マンション購入のメリットとして挙げられるのは、

①新築よりもはるかに(数千万円規模で)価格が安く、リノベで自分達の好きに改装できる
②希望エリアの供給数が多い
③専有面積が広い
④実際の住環境を確認できる

これだけを見ると、新築マンションよりも中古マンションの方がいいのでは?と思ってしまうかもしれません。私もそうでした。

が、ここで見落としているものがあります。
何かお分かりでしょうか?








そう、分譲マンションに存在する「古くからの住人」と「管理組合」です。
(あとはボロボロの配管と外壁)。

マンションを購入されるタイミングが人それぞれだとは思いますが、「結婚を機に」「子供が産まれて」と比較的若い世代の方達で購入に踏み切る人が多いのではないでしょうか?

ヴィンテージマンションと呼ばれるとなんだかモダンな暮らしとおしゃれな生活が思い浮かびますが、それはリフォームされた部屋の中だけの話で、他の部屋には古くからそこに暮らしている方が数多く住んでいます。

私が住んでいたマンション(以降、Aマンションと呼びます)の場合は、半分以上、6~7割ほどが高齢者に該当していました。
不動産会社は物件を購入してもらい、仲介手数料をゲットしたいので、この現実にはあまり触れず「中古マンションがいかにメリットがあるのか」にフォーカスした宣伝をします。

わたし自身も、自然豊かで閑静なのに都心からのアクセスもよく、家賃を抑えて広い家に住めることにひかれて、「ほどよく距離感のある自然に囲まれた都会暮らし」を期待していたものの、Aマンションはまるで地方の村社会。

私の属性や所属している会社などの個人情報はいつの間にか筒抜けるわ(当時の理事長の「ご好意で」マンションの共用部に張り出されました)、それを管理組合に指摘しても「何が問題かわからない」と対応される始末です。
※あくまで私の経験談で、一般的に中古マンションが全てそうだと言っている訳ではないので悪しからず

また、マンションの専有スペースに独自のセンスで奇抜な置物や花を植えたり、共有財産である植栽を無断で切ったりする元理事長もいました。
こちらも管理組合に指摘すると「親切心でやっているのだから止められない」「警察には通報しない」との返答。

ここで何度も登場する「管理組合」という存在が、中古マンションを購入するにあたって忘れてはならないポイントです。

分譲マンションは賃貸の部屋と違い、管理会社は問題を解決してくれる(あまりにも悪質な住民の更新を拒否するなどの)存在ではありません。
マンションの住民が自分達で維持運営していく必要があります。
また、中古マンションは管理会社から派遣された管理人はいても、高級タワーマンションのようにコンシェルジュはいません。

マンション内で起こったトラブルは基本的に全て住民から構成される「管理組合」で解決しないといけません。

が、Aマンションは先ほども記載した通り築50年を越えるマンションのため、高齢者が半分以上を占めるマンションです。
諸般の事情で理事になれない人が多い中、残った若者世代には、管理組合の代表である理事会参加したいモノ好きや、正義感に溢れる人はなかなかいません。

立候補者がいないとなると、抽選や持ち回り式で順番が回ってきますが、強制的に理事メンバーになった人のモチベーションは高いとは言えず、理事会の話し合いが行われない、欠席者続出などの事態も珍しくはありません。

となると何が起こるのか。
そのマンションは緩やかにスラム(終焉)へと向かっていきます

比喩ではありません。
共有スペースには住民の私物が遠慮なく置かれ、マンションの補修をしようにも主体的に動いてくれる人はおらず(管理会社に丸投げすると、ぼったくられるリスクがあります)、割れ窓理論然り、マンションはどんどん腐敗していきます。

このあたりは朝日新聞の連載「あたなのマンション、大丈夫? 管理問題を追う」が全4回で詳しく解説していますので、興味のある方はぜひ読んでみてください。

家は心を落ち着け、安全を感じたい場所であるはずなのに、私の場合は家にいることが逆にストレスに感じてしまうことが多くありました。
そのような理由でマンションを購入した数年後には売却してしまいました。

最後になりますが、マンションを買うという行為は建物を買うのではなく、その「共同体」を丸ごと買う、そして住民一人ひとりが自覚を持ってマンションを運営していかなければならない、ということを肝に銘じておいた方がいいです。

自戒を込めて。


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