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「エシカルフード基準」セッション対話録 第6回

『エシカルフード基準』 食品メーカー、流通セッション(2022年2月18日14時30分-18時)

「食品メーカー、流通の観点から『エシカルフード基準』およびしきい値を検討する」
参加メンバー:五十音順
井出留美さん
河口眞理子さん
佐々木ひろこさん
須賀智子さん
中西悦子さん
平井巧さん
藤田友紀子さん
松岡伸次さん
森枝幹さん
山本謙治さん
Aさん
Bさん
「Tカードみんなのエシカルフードラボ」事務局メンバー


(瀧田)
本日はお忙しいなかお集まりいただきありがとうございます。昨年3月にラボが発足され、明確な定義のまだないエシカルフードについて、有識者の皆さんと一緒に大きなスコープから対話をはじめて約一年経ちました。基準としてどんな観点が大切か、項目や項目の基準に対してひとつひとつ構築していくというプロセスがあり、様々なバックグラウンドをもつ皆さんの多様な観点で議論が行われてきました。本日はいよいよ日本の食の最前線にいる食品メーカーさん、流通さんの観点を交えての対話に移りたいと思っています。

本日は明治の松岡さん、スーパーマーケットA社のAさん、スーパーマーケットB社のBさんにご参加いただきます。

これから『エシカルフード基準』の完成に向けて議論していきますが持続可能な未来の食の循環をつくるために必要な観点をステップで示し、生活者をはじめとしたステークホルダーの皆さんにとっての指標となるといいなという想いでやっています。

3月に公開する『エシカルフード基準』に関してはバージョン1となり2022年度に何を目指せばいいか、エシカルフードのしきい値を決めていきたいと思っています。
ここからはラボのコアメンバーとして、セッションのファシリテーションを担当しているフューチャーセッションズさんにバトンタッチをします。

(芝池)
資料を共有します。これまで『エシカルフード基準』を策定する項目としきい値を決めていくために有識者の皆さんとセッションを重ね、項目、基準、どのラインをエシカルフードとして認定するのか、2022年度に満たしてほしいしきい値について対話をしてきました。

今日は食品メーカーさん、流通さんの観点を交えて、さらに精査をしていければと考えています。3月の公開に向けては、今日のセッションを踏まえ来週改めて有識者のみなさんとセッションをする予定です。

しきい値の考え方ですが、いくつかパターンがありそうですので、実際に評価してくださるメーカーさん、流通さん、消費者の観点もふまえながらそれぞれの立場から観点を出し切り、よりよいエシカルフードを広げていくための基準づくりができる時間になればいいと考えています。

1点だけ、留意事項として基準の見栄えが整っていないところはありますが、見せ方、伝え方は今後検討して修正していきますので、詳細について今日は検討しないということで心に留めておいていただければと思います。

このあとですが、まずは明治の松岡さんと、Aさん、Bさんをお迎えするので自己紹介の時間をとれればと思っています。
お名前、お仕事、食において大事にしていることを添えて一言お願いします。

(佐々木)
元々フードジャーナリストをしていまして、6年前に日本の海の資源が減ってしまっていることに対して料理界からアプローチできないかということで、東京と京都から50人弱のトップシェフの方々と一緒に海の持続性に対する啓発活動をしています。レストラン関係やシェフの取材、レシピ取材などを通じて、おいしいものをどうつくり、追い求めていくのかというスタンスで20年くらい活動していましたが、ここ数年は考え方が変わり、どうしたらその美味しさを続けていけるのか、食文化をどうやったらつないでいけるかを中心に考えています。

(山本)
農産物や畜産物の産地側の商品開発や販路開拓のコンサルティングが本業です。そのかたわらジャーナリストの活動をしており、3月10日に、角川の新書でエシカルフードという本を出します。私が食において大切にしていることは、日本の良い食文化を海外に出していきたい一方、ヨーロッパやアジアではエシカルをきちんと取り入れていないと出せない状況があります。特にEUです。その辺りもふまえて、ちょっときついことになるとは思うけど、産地に対してこういうことをやっていかなくてはいけないという活動をしています。それが大事だと思っています。

(森枝)
イートクリエイターという会社で活動しています。もともとシェフで「サーモンアンドトラウト」というレストランをしており、佐々木さんと一緒にシーフードの活動にも参加しています。僕の父もフードジャーナリストの仕事をしていて、食の歴史の本を書いたり、タイや東南アジアの取材をすることで現地の食を伝えていました。僕も小さいうちからそういう話を聞いて、いろいろな国でどういった食事をしているかなどを伝えていきたく、タイ料理屋をしたり、魚の環境の変化に対応するために社員食堂で認証がとれた魚を使ったりなどレストラン業をしています。食で大切にしていることはエンターテインメントです。

(須賀)
食を活用したESDデザイン、これからの社会の担い手を育てるための教育支援事業を主にしています。もともとは食専門の料理通信社という媒体で十数年、食をとりまく社会活動の取材活動、情報発信を行っていました。そこで食の横断的教育価値をもっと広く今の社会に活かしていけないかといった問題意識から、食を活用したESDの研究をはじめました。今は慶応の大学院のシステムマネジメント研究科で研究員としても活動していまして、ソーシャルイノベーション実装手法を使ってESDのカリキュラムを開発し、食を通して人々の環境意識をより高めることや、行動変容を促す有効性の研究を続けています。食で大事にしていることは、食べるとつくるとをセットにして捉えることです。小さな菜園で野菜をつくる事ことも、料理をつくるということで食材を自分の手で扱う事ことでもいいのですが、そこから工夫や知恵、捨てないようにする気付き、なんで同じ種なんだろうといった問い、そういったところから食の背景を見えやすくするということもあると思いますし、より良い食べ方への内発的な動機につながるのではないかと考えています。そういった視点を大切にしていますし、広めていきたいと考えています。

(藤田友紀子)
南関東に48店舗、いまでいう自然食品、オーガニック食品の小売専門店をしています。基本的なコンセプトは、減農薬、有機野菜、無添加の加工食品などすべての食品が揃うようなお店で私自身は産地開発、商品仕入れ、生産者を開拓して、より生産地に根ざす商品の開発や販売をしています。食で大事にしているのは、作り手の話を聞いてファンになり、応援し、いかに都会にいる人にお届けできるかや、生産者さんには、まじめに楽しくおいしく、全うな食品を作ってもらって消費者にお届けしたいということを大事にしています。

(中西)
パタゴニア日本支社というアウトドアのウエアを製造販売している会社の環境社会部でアクティビズムコーディネータをしています。たくさんのステークホルダーと一緒に環境問題解決もそうですが自然を基盤とした公平公正な社会をつくっていくことに価値創造して、自治体、市民の方が行動できるようにという仕事をしています。個人的にも、ものの背景とか、後ろ側が気になる人で、何かが決まった時に、どんなふうに考えて、こうしたかというところに興味があるので、自然と食についてもそういう興味があります。自分の会社では、気候変動への影響の可能性をふまえ農業を推進している中で、食べ物の95パーセントが土壌から得ているというところから、土壌の重要性も含めて自然環境と一緒に食を考えていけるようなことに貢献できたらと思っています。

(井出)
食品メーカーに14年勤めて独立し、今は食品ロスを減らす活動をしています。明治さんと20年くらい関わりがありました。また「葵(あおい)会」というのがあって、昭和40年代から続いている食品企業の勉強会ですが、一時期その会長をつとめていた関係もあり、明治さんで講演をしたことがありました。日常生活では、美味しいものを食べるというよりは美味しく食べること、あとは、誰もが食べられる社会になったらいいなと思います。

元々、東日本大震災で、理不尽な理由で捨てられる食品ロスを見たことが、会社を辞めて、この世界に入ったきっかけです。コロナになってからは旅行や出張に行けなくなりました。身内が米や野菜を作っているのですが、古米をマンションのベランダに来る雀にあげていて、それを食べている姿を見るのがすごく幸せです。今の悩みはマンションの大規模修繕が始まるので、半年ぐらい雀が来られなくなってしまうので、ってどうしようと思っています。

(河口)
私は食の専門家ではありませんでした。2年前まで大和証券グループのシンクタンクにおりまして、ESG投資のCSRの調査研究をしてきました。確か2010年ぐらいに明治さんにCSRの話をしに伺った気がいたします。

2年前に定年間近になり、立教大学の特任教授の話があったので、大和総研は卒業し、それと同時に不二製油グループ本社からのCEO補佐の依頼がありましたので、立教大学と不二製油2本立てでやっております。なぜ転身をしたのかというと、20年以上企業のCSRやESG投資を推進することをやっていましたが、全然日の目を見ない、つらい時代を経て、2015年ぐらいになってSDGsということで急激に注目を浴びて、多くの人が参入するようになってきたあたりでもう金融はいいかなと。CSRと金融と両方やっている中で感じたのは、企業には環境に配慮した活動をしましょう、エコ商品を作りましょう、それが評価されるとESGの投資家から評価をされますという循環を作れればいいなと思っていましたが、なかなか循環ができない。エコ製品を開発しても高いと言って消費者が買わないとなると、結果として企業の環境の対応が進まない。そういうことだと投資家も評価できないという悪循環で、2010年ぐらいからこれを回すためには消費者を変えなきゃいけないということでエシカル商品全般ということも研究していかなきゃいけないなということを思っておりました。

そうやって、エシカル消費とESG投資と企業のCSR三つ同時一体でやらなきゃいけないと思っていましたが、ESG投資はかなりメインストリームにきていますし、SDGs経営で経営者の方も認識が変わってきていて、一番出遅れているのが消費のところでした。金融機関も企業も組織なので法律で縛ろうと思ったら縛ることはできるわけですが、消費者はレジ袋一つとってもこんなに大騒ぎになるぐらい自由なので、やはり意識を変えていくのが一番難しいのが消費者でありライフスタイルだなということで、そこにチャレンジしたいと思っています。エシカル消費はいろいろとありますが前から興味のある食がいいなということと、不二製油にご縁があったということで、やっております。

食に関して大事にしていることはたくさんありますが、ちゃんと食べることです。母親が自然食愛好家で玄米菜食、ジュースは砂糖水だから飲んじゃいかん、そういう親のもとに育っているので、ちゃんと食べることに注力しています。スーパーで買ってきたものでも、ちゃんと器に盛っていただきます、をする。基本的に自分の食をおろそかにせず、ご飯と納豆だけでもちゃんと食べるっていうようなことを心がけています。

(平井)
株式会社ほんしょくという会社の代表と、あと一般社団法人フードサルベージの代表理事をやっています。どちらも食をプロデュースする仕事で、企業や自治体さんと一緒に食の課題解決をクリエイティブからプロデュースする形でサポートしています。あとは東京農業大学で講師と、小中高で、講師をやるなど教育の分野でも食に携わっています。フードスコーレという学校、食の学びのコンテンツを2020年に開校して、畑を持ったりフィールドワークを通してみんなで食を学ぶっていうことをやっております。食において大事にしていることですが、1日1回は台所に立つようにしています。その時間が仕事から解放される時間だったり、美味しいものを作ることが楽しかったり、むしろ食べるよりワクワクする時間だったりもするので、そういった時間をどんなに忙しくても持つようにしています。

(芝池)
次はメーカーさん、あとは流通さんからも同じように、自己紹介と食において大事にされていることをお話しいただければと思います。

(A)
スーパーマーケットのホールディング会社に勤務しております。私は元々スーパー側から出向し、バイヤーをやりながら、商品開発の責任者をしています。

自分の生活で食において大事にしているのは、時間を楽しむためにご飯を食べる。できれば笑いながら数名で食事するのが一番真っ当なものの食べ方かなと思っています。そういったシーンを演出できるように微力ですがスーパーで仕事をしているというところです。よろしくお願いします。

(松岡)
私はサステナビリティ推進部の責任者を務めており、この部署に来てもう5年間となりますが、奥深い世界ですので、まだまだ勉強の最中です。それ以前は菓子のマーケティングや営業を中心にやっておりました。

井出さんのお話の中に「葵(あおい)会」のことが出ておりましたが、食品ロスについてのご講演の時私も参加しており、勉強させていただきました。あと河口さんには、一昨年ぐらいにグローバルコンパクトの「明日の経営を考える会」で講師をされた時、私もそれをお聞かせ頂き、本当にすごい資料をまとめられていて、今でもちゃんとそれをとっております。

今の仕事の内容はサステナビリティということで、環境や人権、社会貢献、責任あるサプライチェーンみたいなことを全般的に見ており、担当範囲が結構幅広いので、それこそ日々勉強していかないと世の中の流れについていけないですね。先ほどお話に出ていましたけど、エシカル消費は盛り上がってこないと、メーカーとしてはサスティナビリティに対応するには当然コストもかかりますし、ある意味手間もかかります。我々は商品の社会価値として取り組んでいますが、お客様にとってなかなか付加価値にならない。お客様価値にならないというところが非常に悩ましく、かといって価格を上げれば売れないし、この辺はやっぱりお客様の意識が変わってこないとつらい状況です。エシカル消費がどんどん盛り上がって、そういった活動をしてないメーカーの商品は買わないというところからスタートして頂けるとありがたいなぁと思います。ただそこで外されちゃってはいけないので、我々としては一生懸命やっていきたいと考えています。

食については意外と好き嫌いもなく、栄養バランスも一生懸命考えながら、野菜をちゃんと摂るようにしていますし、職業柄、毎日R1を飲んで、チョコレート効果も食べております。健康になりますので皆さんもぜひお試しいただきたいと思います。

エシカルフード基準、今日議論をいろいろされると思いますが、やっぱり食品の原材料の産地で起きている社会課題の解決にどう取り組んでいくかというところを一つポイントに置かないといけないのかなぁと考えております。

(芝池)
ありがとうございます。事務局のメンバーは名前と役割について、一言ずついただければと思います。

(中岸)
ラボの中ではデータに関することと、エシカル消費研究会の方を担当しております。

(湯浅)
『エシカルフード基準』の社会実装にむけた取り組みを担当しています。

(深井)
エシカルフードアクション、コミュニティの出口戦略などを含めてどういったことができるのかを検討しております。

(植草)
私は、農水省、東京農業大学の産学官連携の仕事をさせていただいて、このプロジェクトでは地域連携ですとかそういったところ広める役目をしています。

(山本章子)
フリーランスで編集ライターをやっております。こちらのプロジェクトでは、議事録だったり対話録を残したり、あとこういったプロセスをオープンするためにノートをまとめたりのお手伝いさせていただいています。

(有福)
フューチャーセッションの有福です。対話の場が、皆さんが心地よく話せるように設計するということに関わらせていただいております。

(芝池)
ここからは『エシカルフード基準』について今どうなっているのか、私から共有させていただきます。全体構成がどうなっているかというところ、あとは1月に有識者の皆さんとセッションを行った際に話し合った内容、食品メーカーさんにテスト採点を行っていただいたフィードバックを踏まえて、いくつか更新ポイントがあるので、最新版ということで共有したいと思っています。

その上で今日のメイントピックスであるしきい値に関して、1月のセッションで有識者の皆さんと一緒に設定した2022年に最低限満たしてほしい基準を踏まえた上で、今考えられるしきい値の置き方2パターンのどちらが良いかを考えていければと思います。

まずは『エシカルフード基準』の全体構成です。おさらいですが、「企業評価」は企業活動全体を評価するもの、「フード評価」は、SKU単位で評価するもので二つに分かれています。「企業評価」、「フード評価」の中には大項目、中項目、項目、基準、詳細基準があります。例えば「企業評価」の大項目は環境・動物・人/社会・政治とあるなかで、環境の場合、中項目は、環境報告・気候変動・廃棄と汚染・生物の生息域と資源があり、環境報告についての項目と、どういうレベルで満たしているといいかというような基準値が並んでいます。「フード評価」の調達はどのような認証を取った原材料を使っているかというところだけ細かく分かれているので、基準がさらに詳細基準に分かれているという構成になっていますので、基準もしくは、詳細基準に該当する箇所に◯をつけていただきます。
基準や詳細基準は基本的にレベルが高いものから低いものの順番に並んでいます。

この基準の対象企業は大企業と中小企業どちらも取り組んでいただきたいなと思っていますが、会社の規模によってどこまで対応できるかは異なってきますので、項目の置き方も変わってくることが想定されます。

大企業向けと中小企業向けを用意してスタートできればよかったのですが、大企業向けを一生懸命作っている状態ですので、本日共有する基準に関しては、大企業を想定していることを前提にしていただければと思います。中小企業向けに関しては、大企業向けのものを参考にしながら、今後整理をしていく予定です。

ここからがトピックの二つ目です。有識者セッションで1月に更新をしたポイントがありますので、共有します。赤字になっているところが修正ポイントで、グレーの網かけは、削除していいのではないかと考えているところです。

「企業評価」からです。動物実験の項目に関しては、テスト採点でいただいた回答を踏まえますと、法的に動物実験をせざるを得ない領域がまだまだ残っているので、現状の基準の置き方だと◯がつけづらい状況があります。そのため動物実験の廃止は法的に求められている場合は除くと注釈をつけることによって実情に合うように修正をかけさせていただきました。

動物の権利の項目は事業の特性によっては関係がないこともあると思うので、事業領域の特性上動物の権利の保護を必要しないという基準を追加しています。

政治の議論のある科学技術の利用の項目は、遺伝子組み換え技術系の編集技術の利用に関係していないという項目で、前回いろいろなコメントをいただいていました。結果的に遺伝子組み換えやゲノム編集技術を利用していない企業は、食品に関わる大企業であればないのではないかと事務局で検討し直し、削除の方向でチェックをしています。

ここから「フード評価」です。調達の中の倫理的認証を有する製品の使用に関する項目です。これが畜産物だったり水産物など、いろいろな原材料ごとに基準がわかれてさらに詳細基準というような構成になっていますが、前回セッションを実施した際に、特定の認証の名称を出せないのではないかと指摘をいただきました。それを踏まえた上で、元々この認証を具体的に書いていましたが、例えば畜産物だったらGAWAが認定しているものというように、表記を修正しています。

同様に、水産物のところはISEALが認定しているものに修正をしているのと、元々はMSCを想定して詳細基準の段階分けをしていましたが、MSCを固有で言及しないとなると、2番目3番目にあった基準は必要ないだろうということで、削除する方向で整理をしました。あとは4番目のところはすべての観点を満たしているから、いずれかの観点を満たしているに修正がかかっています。

養殖魚も先ほどの水産物と全く同じロジックで修正がかかっております。続いて、フェアトレードもISEALで認定されたものとして修正をしております。

パーム油は、ISEALで認定されているものの、かつ、記載の観点を満たしたパーム油であることとして修正をいたしました。

続いて製造です。洗浄に関する項目は、原材料の洗浄を行っていないケースもあり得るということで、項目に該当しないを追加しています。

あとは7番目、薬剤を使用しないだけではなく、低減しているまで表現の幅を広げています。食品ロスに関するところは、前回「企業評価」は井出さんにご指摘いただいてその場で不可食部、可食部と分けて修正をしました。「フード評価」も同様に「企業評価」に倣うような形で修正をしています。

続いて包材です。元々リサイクルが上で、次がリデュースという段階になっていましたが、リサイクルやリデュースは優劣がつけにくいので、3Rが促進される仕組みを構築しているに変更しています。観点としては、リターナブル容器を使っている、リサイクルしている、リデュースしているなどで順位がつかないような形で修正をしました。

持続性と環境に配慮した包剤の調達というところに関しても、自主基準がいいか、認証がいいかの優劣がつけにくいところがあったので、これも同様に記載の観点で調達をしていれば持続性や環境に配慮していると考えられるのではないかということで、表記を修正しています。

最後、表示のところは、食品ロスの記載があったので可食部に表記を統一する形で修正しております。
長くなりましたが、1月の有識者セッション以降に修正したポイントになります。
瀧田さん補足事項ありますか。

(瀧田)
パーム油のところは、河口さんからもアドバイスをいただいて、現状の基準の表記がRSPO認証に倣えなくなってしまったことによってわかりづらくなっている部分があるかもしれないので、例えば補足表記的な形で、認証だとこういうことに該当するというような補足を入れるか検討したいと思っています。それくらいです。

(芝池)
先ほど共有したスプレッドシートにも、赤字、あとはグレーの網かけでチェックが入っていますので詳細はスプレッドシートで確認をしていただければと思います。

ここからは、有識者の考える2022年に最低限満たして欲しい基準に入ります。「企業評価」と「フード評価」シートそれぞれのピンクに網かけされた基準が最低限満たして欲しい基準として設定されているものです。

考え方としては2022年最低限満たす基準を超える基準、もしくは詳細基準を満たしてればその項目に◯がつきます。項目によっては先ほどの原材料を洗浄していないですとか、事業の特性上の理由などで該当しないこともありうるので、その場合は該当しないに◯をつけると、基準の項目に◯がつくのと同じ扱いとなります。
なぜかというと、該当しない項目を採点の母数から外してしまうと、企業によって10個だったり8個だったり最低の母数が変わってしまい、母数が少ないほうがしきい値を乗り越えにくいという不公平感が出てしまうことが予見されるので、該当しない場合は◯を付ける形で、救えればと考えています。

「フード評価」の調達、倫理的に所有する製品を使用しているは、オーガニック原材料だったり、畜産物、水産物というように原材料の種類が基準で分かれていまして、オーガニック原材料使用というのはどういう観点を満たしてなければいけないかが、詳細基準に書かれています。それぞれの基準を全部満たす必要はなく、どれか一つでも満たしていればこの調達6の項目には◯が付くというような構成で考えていただければと思います。

あとは2022年に最低限満たして欲しい基準として、1月のセッションでは設定されていなかったのですが、項目の内容上、法令を遵守しているかというような表現で基準が設けられているものがあり、それは満たしていないとそもそも法律を守っていないことになるので、法令遵守に関しても新たに最低限満たしてほしい基準として追加しました。

最後のしきい値の考え方ですが、「企業評価」と「フード評価」があり、「企業評価」は4つの大項目、「フード評価」が5つの大項目が存在しています。先ほどの2022年最低限満たして欲しい基準を満たしていると項目に◯がついて、その必要な項目に◯がついていると大項目ごとに☆がつくというような考え方で設定できればなと思っています。

例えば「企業評価」のうち、環境で最低限満たして欲しい基準を全部クリアしていれば、環境に☆がつき、人/社会にも☆がつき、「フード評価」の調達に☆がついた場合、この商品は☆三つですねといった見せ方を最終的には考えています。☆の付け方は、二つのパターンで考えられるかなと思っています。

一つは、2022年最低限を満たして欲しい基準をすべて満たしていれば、大項目ごとに☆がつく。この場合は現状満たして欲しい基準の数が多いので、ハードルが高くなりすぎるのではないかという懸念もあります。もう1つの案として、2022年に最低限満たして欲しい基準のうち、大項目ごとに必要な◯の数を満たしていればいいというような置き方もあり得るかなと思います。

例えば、環境の最低限を満たして欲しい基準のうち80%◯が取れていれば、この商品は、環境はクリアしているという考え方です。ですので、パターン1か、パターン2か、2の置き方をする場合には、◯の数を80%にするか、70%なのか50%なのか、そこのラインについてこの後、皆さんと検討していければと思っています。
しきい値を設定する上でのスタンスで皆さんとの共通見解になっているかなと思うのは、参画企業にとってハードルを上がりすぎないようにしたいということかと思います。
まずは参画してもらい、最初はなかなか難しくても、今後徐々にエシカルになっていただく、決して厳しくし過ぎたいわけではないよねと。かといって甘くしすぎてエシカルの意味がなくなってしまってはいけないので、ちょうどいいラインはどこかを有識者セッションでも探求してきた状況です。

そのため皆さんに考えていただきたいのは、全部の基準を満たすことは可能かどうか、難しすぎないかどうかが一つ目の観点になります。難しすぎる場合には、最大の数のうち、例えば8割満たしていればいいんじゃないかと変えていくことになります。どっちで設定するといいだろうと考えていただけるといいかなと思っております。

今回2社の食品メーカーさんにご協力をいただいて、テスト採点をしていただいた結果、有識者の考える2022年に最低限満たして欲しい基準のうち、満たさなかった項目は、ここに記載しているものになります。「企業評価」は、1つ目、排気と汚染のオゾン層破壊の項目、2つ目、生物の生息域と資源の二次供給者を含めサプライチェーンで森林破壊を防ぐための働きかけを行っているか、ここは二次供給者も含めてというのがハードルが高いというコメントをいただいています。3つ目は動物の権利に関する項目、4つ目は無責任のマーケティングのガイドラインを設定しているかという項目です。この4つに関しては、2社のうち1社または2社両方で満たしていない項目でした。

「フード評価」に関しては、表示の項目4が基準を満たしていませんでした。あとは未回答もありました。現状のテスト採点の結果としては、こういうような状況なので、心配していたよりも大企業はクリアできるんだという感覚を事務局としては持っています。

以上修正のポイントと、しきい値の考え方、2022年最低限満たして欲しい基準を共有させていただきました。瀧田さん何か補足ありますか。

(瀧田)
皆さんにご不明点をお伺いしたらいいかと思います。

(河口)
私達はいっぱい議論しているので、テストしていただいた企業の方から先にご意見を賜る方が良いのではないでしょうか。

(芝池)
ありがとうございます。河口さんおっしゃってくださった通り、今回松岡さんとAさんが参加してくださっていますので、この基準のラインが適切かどうか、厳しいと感じた場合はどこを厳しいと感じたのか、場合によってはその基準値のラインを3から例えば4に下げた方がいいと思う部分や反対に、これじゃ甘いよという場合もあわせてお伺いした上で、しきい値の置き方のパターンのどちらがいいと思うかもご意見を伺いながら深めていければなというふうに考えています。

(河口)
ご意見を伺う前に「適切」について。それぞれ適切の考えは違うと思うので何をもって適切とするのか。例えばお客さんが買い物に行って何気なく物を買っていたらば、エシカルな商品にヒットする率がある程度の割合ないとこのような基準を作っても絵に描いた餅じゃないとなるので、例えば市場があるマーケットで、チョコレートだったら10%は最低あるよね、2割ぐらいはあるよね、半分あるよね、全部やっているね、みたいなのもあると思うので、そのレベル感が重要だと思うんです。

2割ぐらいのものをエシカルと言いたいのか、1割のものをエシカルと言いたいのか、3割ぐらいはあるようなものをエシカルと言いたいのかということがないと、何に対して適切か、答えようがないような気がします。

(芝池)
まさにおっしゃる通りで、実際に商品作りをしていたり、消費者に接しているそれぞれの立場によって、どこが適切かと感じる根拠が違ってくると思うので、今おっしゃったような2割ぐらいは満たしてないとそもそも意味がないねという根拠の部分も含めて、この後皆さんが何を適切と考えるのか話していければと思います。

この後話したいポイントは今、河口さんが補足してくださったように少し共有できているのかなと思いますので、少し休憩をとりつつ、改めて適切とはどういう考え方で言えるのかなど、それぞれ考えを整理する時間を取れればと思っています。

(芝池)
有識者の皆さんはこれまで何度も見ている基準なので疑問もなかったかと思うのですが松岡さんAさん、わかりにくい点、気になられた点などありましたか。

(松岡)
昨日、再度回答を考えてみましたが、まず「企業評価」です。確かに今のESG評価機関にうちも対応しているので、それに近しい、あるいは外から求められているものであるという気はしました。ただ、個別に見るとちょっと答えづらい部分もあります。
気候変動の01番の国際協定に沿ったというのは、何を指すのか。もちろんパリ協定とかだと思いますが、例示した方がいいと思います。廃棄と汚染のところ、汚染物質排出に取り組んでいますかの項目も色々書いてあるのですが、どういう物質のことを指しているのかを書いた方が答えやすいですね。例えば、大気汚染でしたらVOCとか。

オゾン層の項目も、国際協定がどれを指しているのか、モントリオール議定書とかの話でしょうけど、その辺はかっこで書いて頂けると、わかり易くなると思います。

あと、生物の生息域と資源のところで、例えばワシントン条約に関して、上記に当てはまらないという基準はできていないという意味なのでしょうか。関わってないので該当しないという選択肢も入れた方がいいかと思います。
あと動物実験は先ほどご説明があった通りです。法で求められる場合を除くとして頂くと、弊社も該当します。

あと工業型畜産のところはちょっとピンときません。動物の権利は必ずしもすべて定量的な目標設定ができないので、定性的な目標でもいいのではないかと思います。もちろん数値的なものが必要なところは入れないといけないと思いますが、何でもかんでも定量的だと答えづらい気がいたしました。

最後の方の地域コミュニティ、社会への貢献というところで、次世代に残す意義のある伝統的な製法の継承に取り組むというのは、正直弊社だとあまりないと思います。条件に当てはまらないという意味で、該当しないがあったほうがいいですね。もちろん細かく見ればあるのかもしれませんが、創業以来製法を変えてないというのが、伝統的製法になるのかどうか、ちょっと抽象的だと思います。

「企業評価」の分量はこのぐらいあってもいいと思います。ただ「フード評価」は、私の印象としてはちょっと多すぎます。商品に落とし込んで答えるのは、結構難しいと思います。弊社はミルクチョコレートで評価しましたが、商品は何百品もあり商品の改廃が結構激しいので、一品一品答えるのにこの分量ははっきり言って厳しいと思います。
それと調達の項目4のところ、これは物流の温暖化ガスの排出量ということですか?弊社でいうとScope3になると思いますが、計測するという表現が正しいのか。基本的には何トン車で何キロ走ったと仮定して、それに係数をかけて算出しますが、それを計測と呼ぶのか、いずれにしろ、実測は殆どできないので、この辺の表現は変えられた方がいいのかなという気はいたしました。

あとは倫理的な認証の製品というのは結構つらいですね。例えば、パーム油は非常に一生懸命取り組んでいるつもりで、RSPO認証はマスバランスで80%ぐらいは切り替えている訳ですけど、もう少しシンプルに、使っているか、使っていないかぐらいが答え易いかと。先ほどご説明の中で、ISEALに認定されているものとありましたが、それを調べてみてもRSPO認証が認定されているかどうか正直わかりませんでした。そうなると、もうそこだけで皆さん嫌になってしまうのではないかぁという気がいたしました。

製造関係はやっていることばかりだと思います。ロジスティックは、特に商品ごとよりかは「企業評価」に組み込んでいった方がシステムや企業姿勢的なところも多分にあると思いますので良いかと。

全体を見て商品評価は、もちろんフードなので重きを置くのは当たり前だと思いますが一品一品やるという話になってくると、なるべくシンプルにして、「企業評価」の中である程度まとめたほうがいいのではという気がしました。

(芝池)
ありがとうございます。Aさんからも、ざっと見てみてどう思ったのか気になったポイントですとか所感をいただければと思いますがいかがでしょうか?

(A)
スーパーにもいろいろあり、こだわりやさんみたいにセレクトされているお店さんと、上から下まで全部丸抱えしているスーパーやCVSとかがあります。うちの例で言ったら、多分売り場の商品にこれやっても、ほぼ数%しか並ばない、並んでいるうちの数%?10%15%ぐらいなんじゃないかなとざっくり感じます。

あともう一つは、明治の松岡さんが言われたように大企業は対応ができると思います。例えば漬物でいくと、一社はできるけど、その他は全部駄目、対応できない。そうするとお客様がエシカルな消費をしたいと思って漬物売り場に行ったけど、「漬物はエシカルじゃないんだ」で終わってしまいかねないという懸念があります。例えば練り製品で言ったら、大手二社がどうにかできたとしても、それ以外の地方の小さな笹かま屋ができるかと言ったらできないと思います。

だからすごく偏ったカテゴリーになってしまう。先ほど言われた伝統食品のところもCO2削減しようと思って電気ではなく俺らは絶対炭火で焼くと言っているところに、駄目というわけにもいかないと思います。それから畜肉のところは、鶏卵使っているところが多かった場合は難しかったり、細かく商品の単品単位で見ていくとすごく難しいと感じます。このスコアが企業選別になってしまわないか、超大手だけになってしまう可能性があるかなと、小売から見ると懸念しています。

こういう基準はどこかにしきい値を設けないと、☆がつかないと思うので、やらなければいけないとは思いますが今のこの基準でいくと、お客様接点となる我々の売り場では、なんとなく違和感をお客様が抱くのではないかと感じます。

(芝池)
ありがとうございます。お2人の話を踏まえると、現状のままだと大企業は結構◯がつくかもしれないけれども、そうでない企業は難しく、なおかつ取りやすい商品カテゴリと取りにくい商品カテゴリが偏って、結果として、お菓子なのかコーヒーなのかそういったものばかりにエシカルの認定がついてしまうんじゃないかというのが、ご指摘のポイントですね。また松岡さんからは、特に「フード評価」項目が多すぎて、なかなか現実的にやろうと思うと難しいのではないか。具体的には調達のところの項目が細かすぎだり、ロジは商品単位というよりは、「企業評価」の方に移動してもいいのではないかというご提案だったかと思います。

ここからは有識者の皆さんにも意見を伺いながらですが、食品の基準なので、「フード評価」をしっかりつけたほうが消費者として知りたいポイントが抑えられていたのではないかというお話も、作っている段階ではしていました。「フード評価」の項目を削っていくと大工事にはなりますが、有識者の皆さん今のお二人の意見を伺いして、どんなふうに感じられたかお伺いしていければなと思いますがいかがでしょうか。

(河口)
今のお話を伺って、「フード評価」はプラスを評価するか、マイナスをきるかの両方軸があります。エシカルというからにはこれをやっていちゃ駄目だよという「やっていません」と、ポジティブなところはこれ全部やらなくても、一つか二つか満たしていたらOKというセットにするといいのではないでしょうか。これやっちゃいけないよというネガティブなのは大体、企業方針ですし、このチョコレートはこういう調達だからポジティブだと、選べるようにしないと項目がたくさんありすぎます。
消費者の方も、これとこれとこれがあるからエシカルですと言われるより、RSPOを取っているからエシカルだよねとか、平飼い卵だからでエシカルだよねと言えるくらいシンプルでないと訳がわからないと思うので、項目を全部満たさなくても、その中の必要なところ、一点豪華主義でもいいからポジティブなところと、ネガティブなことは最低限やってない。二つのセットで考えたら、もっとやりやすそうです。

(芝池)
今の話を鑑みると「フード評価」の調達以外、製造、包材、ロジスティックス、表示に関しては、比較的全社の大きな方針に関わるので「企業評価」に移し、調達の部分に重きを置いて、少し項目を絞って、こだわって作っているものを評価するぐらいにした方がいいのではないかというお話ですね。

(河口)
逆に中小企業の方がやりやすいのかな。例えばさっき遺伝子組み替えとゲノムというのは大企業だったら研究開発で取り組んでいる前提の話は、中小企業の例えばこだわりの漬物屋とかは、そういうの関係なさそうなので逆にそういう部分は中小企業の方が高く評価される、逆にそこがポイントになるような気もします。大企業と中小企業の見る軸は完璧に変えないといけないですね、最低限のところはあるにしても。大企業だけが対象となるとさっき言われたように、漬物は大手の2社だけみたいになり、頑張っている中小企業が排除されてしまうので、地元で頑張っている中小企業も同時に評価できるようセットで出していかないと、実際に運用するときには変なメッセージを消費者に与えかねないってお話、まさにそうだなと思いました。

(芝池)
今、中小企業向けが整備できていないので、大企業と中小企業の二つを比較して整理することができず、モヤっとするところかなと思いますが確かにそもそも全然着眼点が違うのではないかというのはあります。

(河口)
売り場では、大企業のものと中小企業のものが棚に混在していろんな製品がいっぱいある中で、大企業しかクリアできていないじゃないかということはリスクなので、中小企業バージョンを作っておかないと、最終的にはですね。

(瀧田)
そうですね。おそらく食品メーカーさんとの共同という点では、かなり時間をかけないと食品メーカーさんに採点をご協力いただけるまでいかないと思っていまして、今までご説明もさせていただいている通り、まずはPOCで小さくスモールスタート企画ではじめて、食品メーカーさんの数が増えた暁に『エシカルフードアクションスコア』ベータ版というものにたどり着くのかなと思っています。

Aさんとか河口さんにご指摘いただいた点、確かにスーパーさんには、かまぼこでいうと大手メーカーさんも、小さなメーカーさんもいらっしゃるわけで、本当にそれはその通りです。POCを小さく回していくところから、メーカーさんをどんどん仲間に巻き込んでいく過程の中で中小企業向けの基準をきちんとリリースをして、ご説明をして仲間に入っていただくことを同時並行でやらなくてはいけないと改めて感じました。

まずは、この大企業向けのものからスタートしてスモールスタート企画で、要は象徴的な何社さんかとキャンペーン的にやるとしても、ゆくゆく『エシカルフードアクションスコア』になった暁にはたくさんの企業が対象になってくると思うので、そこはきちんと皆さんが参加できる形にしないといけないと思います。

(芝池)
棚に偏りが出るのではないかという観点でAさんにもう少し聞いてみたいと思ったのですが、前提としてやっぱり大企業と中小企業は分けていかないといけないですね。そこが整備できているわけではありませんが、基本的に今ある基準は大企業を前提にしたときに、大企業だったら、この基準であっても、製品カテゴリの偏りがなさそうだなというイメージを持たれるのか、それとも大企業であってもカテゴリの偏りが出るようなイメージを持たれるのか、いかがですか。

(A)
やっぱりカテゴリによると思いますね。大手のメーカーさんがすべて自社工場で作っているわけではなく、下請けの中小企業で作るケースやOEMもあります。これは不可能ではあると思いますが本来であれば、製造は工場単位で認証するというのが仕入れをしている人間からすると、あるべき姿かと思います。

(芝池)
そうするとさっきの松岡さんのコメントで、「企業評価」は答えづらいところもあるけど大企業だったらクリアできそう、「フード評価」は項目が多く細かいし、難しいところがあるというご意見は同じですか?

(A)
そうですね。

(山本)
Aさん、松岡さんにそれぞれお伺いしたいです。松岡さんも先ほど商品数が多く評価する手間を考えるとなかなか難しいとおっしゃっていて、Aさんも同じようにおっしゃっていたと認識しています。基準を作った側の人間からすると、そこら辺は全く考えられておらず、申し訳ないと思うのですが、例えば明治さんの場合には、チョコレート、ビスケットがあったとして、それぞれの製品の開発担当の人たちがそれぞれ記入をするのではと思っていました。でも今のお話だとそうではなくて、担当の人が自社の例えば20とか30という商品がある中で、それを全部自分が記入しなきゃいけない体制でしょうか。松岡さんにまずお伺いしたいのですが、いかがでしょうか?

(松岡)
そうですね。始めてみないとわかりませんが、私のイメージだとサステナビリティ推進部の担当が軸になって、答えられないところを都度、商品開発や生産などの担当者に聞くことになります。誰かが中心になってやらないと漏れてしまうので、そういう進め方になるのかなという気はいたします。
「企業評価」は、サステナビリティ推進部で殆ど回答できると思います。

(A)
そうですね。大手企業であればそういう部署がまとめることもできますが、例えば小さいインポーターさんが、ものすごく現地にお金も投入しながら貧しい子たちにお金配りながら、正しい形で取引をしたチョコレートを仕入れて、それを現地で作って雇用を生み出しながらやって努力したっていう人たちの商品があった場合。本来であればそれがすごくエシカルだと思ったところで、この基準を評価できるようなリソースがあるかどうかは非常に疑問があるかなと思います。多分そのインポーターは社長さんと奥さんと3名4名でやっていてという話になると、極端な話ですが。

(山本)
あと鶏卵で、工業的畜産であるとか、アニマルウェルフェアがあったときに、大手さんだったらありうるかもしれないけれども、とおっしゃっていましたが、私は実は逆に思っていました。というのは例えばその平飼いの鶏卵を使いましょうとなると、平飼い鶏卵は調達しにくいので大手さんであればあるほどやりにくく、例えば地域の本当に良心的な中小メーカーさんのお菓子屋さんだったらやりえるよねという想定をしていたのですが逆でしょうか?

(A)
大きなメーカーさんでいろいろ政治に関わっているところはやりきると思います。あとはもう一つ鶏卵の業界でいうと、平飼いというのは話としては出ているけど、平飼いの卵なんて世の中に流通していないので、平飼いではなかったりします。その辺を本当にクリアにして明らかにしていいのか思うと、小さなところは、のってこないとも思います。どちらかといえば大きな企業の方が、販促に使えるからという理由でのってくるのではないかという気はします。

(山本)
ありがとうございます。想定していた部分と、やっぱり現場の声を聞くとかなり違うところだなと実感しました。

(芝池)
今のお話を聞いてこうチューニングしていくといいのではという絵は浮かびましたか。

(山本)
今すぐ浮かぶかというと分かりません。宿題をいただいたという感じです。

(瀧田)
このタイミングで、Bさんが入ってきてくださいました。事前にお送りした基準については、ご確認をいただいていると思いますが。芝池さん短くラップアップをしていただけますか。

(芝池)
どういうふうに『エシカルフード基準』を設定したらいいかを共有し、2022年度最低限満たして欲しいしきい値がどこかを議論しています。大企業を想定したときに、「企業評価」はまあまあ答えられますが、「フード評価」のところが項目数も多くて、いろいろな製品があるので、現状の基準だと、どうしても評価を取りやすい商品カテゴリと、取りにくい商品カテゴリで、カテゴリ偏りも出てきそうという話が出ています。実際にスーパーに並んだときに、一定のカテゴリばかりエシカルで、それ以外はエシカルじゃない見え方は消費者にとってどうなのかと。項目ごとの課題はまだまだありそうです。大企業向けと合わせて、中小企業向けを整理しなくてはいけない状況ではあるのですが、まずは大企業を想定して、「フード評価」のところを現状からもう少し答えやすいように修正する必要がありそうです。
では、Bさんに簡単に自己紹介いただき、この基準に関してどんなふうに感じられたのか、もし可能であればご意見をいただければと思います。

(B)
スーパーマーケット勤務のBと申します。よろしくお願いいたします。商品開発を15年やってきまして、一次生産者から販売までを見ております。環境問題を含めてお役立ちできればと思って本日参加させていただきました。よろしくお願いいたします。

外側から見える実態の部分と、リアルな部分の階層の差というか、分離が世の中おきている部分あると思いますので、一次情報をどうやって入れていくかという作業もすごく難しいと感じました。そこが課題だと思うし、そこが解決できればもっと進むのではないかなというふうに感じました。

(芝池)
ありがとうございます。今出ている観点として、「フード評価」をどんな感じに調整していけるといいか。松岡さん、Aさん、Bさんの話を聞いて、皆さん何か感じられるところがあったらシェアいただければと思いますがいかがでしょうか?

(河口)
何度も言って申し訳ないとは思うのですが、戦略として、消費者にどういうメッセージを与えたいのかをもう1回共有した方がいいかもしれないですね。今お2人の方からは、消費者目線でこういうものが出てくると、どういう発想なるのかというお話がありました。

私達はどちらかというと供給サイドに立って環境や社会課題を考えることから話をしているのですが、大企業と中小企業の差が非常に大きいということと、企業規模が違う商品が普通にスーパーの棚に並んでいる、その中で好きなものを選んでいる消費者の実態があるので、小売サイドから見ると、どうやったら棚に並んだときにイコールフッティングで、エシカルというメッセージを発せることができるかのデザインが必要なのかなと思います。

大企業向けと中小企業向けは当然中身が違うので、大企業からやるのはいいと思いますが中小企業は大企業のミニ版にしようみたいな話だったと思います。逆に言えば、中小企業は評価するのが難しいというお話もありましたが、1人とか2人、夫婦でやっているインポーターでエシカルなチョコレートを作っている人たちの登竜門にするやり方もあると思うんです。

昨日ニューエナジーという食やアパレル関係の会社が120社ぐらい集まったイベントに行ってきたのですけど、完璧なアップサイクルで、ブドウの茎からとったブドウ汁をベースに作った化粧品とか面白いものがいっぱい売っていました。そういった人たちがこれはとんがっていてエシカルだよねという商品があったときに、ショーアップできる、一つのプラットフォームになるという使い方もあると思います。

また、フランスのカルフールでは2019年に作ったエシカルなプラットフォームがあって、カルフールに納入するサプライヤーに声掛けをして、気候変動と生物多様性と倫理的な調達など五つの軸の中で三つに賛同して方針や計画を作らせています。五つの軸の中の三つでいいよと言っているわけです。
そういうやり方もあります。調達もパッケージもカバーするのは大変なので一点豪華主義で、すごくエシカルな調達にこだわっています、エシカルなパッケージにこだわっています、などにすれば敷居が低くなるし、取り組みやすくなるんじゃないかなと思います。

(芝池)
河口さんのお話をもう一度再確認すると、大企業と中小企業、棚には関係なく並ぶ中で、それぞれ大企業と中小企業をどういう観点を見ていくかっていうところを再整理する必要があるのかなと思いました。

その中のポイントとしては、それぞれ頑張って欲しい、拾い上げないといけないポイントと、今既にエシカルで頑張っているところを拾って評価して、消費者に見せてあげたい。という二つのポイントがあると思うので、それがそれぞれ大企業と中小企業でどういうところにあるのか。

今の基準は大企業向けだけど、きちんと表現しきれているのかを確認できるといいかなというふうに思います。もしよければ、大企業と中小企業それぞれ、もうちょっと頑張って欲しいよねってポイントと、ここはぜひ拾って評価したいねっていうポイント、Aさん、松岡さんからもここはうちも頑張っているからぜひ拾って欲しいというところがあれば言っていただけるといいかなというふうに思います。

(松岡)
「企業評価」は先ほど申し上げましたが、ESG評価みたいな形になっているので生産者目線でいくと、いわゆるESG評価対象企業向けみたいな項目でかなり広範囲にわたってテーマ設定されていますので、全部やるのは厳しいと思います。

弊社でもESGに対応するために、かなり無理をしてやっている部分もあるのが実態です。そういった意味で大企業の方はやらざるを得ないということでやっていますが、中小企業さんの場合は項目を絞らないと、とても対応できないという話になると思います。折角良い取り組みでも広がらないと意味がないので、少し項目を絞った方が参加しやすいという気はいたします。

(芝池)
皆さんいかがでしょうか?絞ったりするときにどういう観点で縛るといいかっていうところがもう少し見えてくると良いと思います。

(A)
絞るもあると思いますし、先ほどの一点豪華主義の話もあった通り、大企業に課すべきものと、中小であれば本当に一点豪華主義にする。捨てちゃうものを使って作っているとか、それを高く評価してあげたほうがいいと思います。それをこの基準で認められことで大企業と同じマークなのか、同じ評価をいただけるとなったらやってみようとなるのではないでしょうか。我々小売が情報をメーカーに流して、この評価が付くといいらしいよという話をすれば、お金かからないならやってみようという小さいメーカーはあると思います。

でも最終的にはさっき言ったように、棚で見た時に色々な企業が取り組みをしているのがわかりやすいのが1番のポイントだと思います。どこか一つだけ大手だけが独占するようなことがなければいいと。

(芝池)
ありがとうございます。この一点豪華主義の観点はいろいろありそうです、そこをもう一度整理するのもいいですね。

(A)
包材メーカーには大手があります。大手メーカーが開発した包材の型を中小企業にも提供してあげて、結果的に環境としてよくなるとかをやっていくといいですね。例えば、練り製品の包材はだいたいプラスチックで、海を汚している実態があるが、大手が海を汚さない包材を作ったとすれば、それを地方の練りメーカーにもすり身と一緒に供給してあげるとか、そういうところまでできると、エシカルが多方面から広がるような気はします。

(芝池)
そうですね。もうちょっと先になるかもしれないですが、全部1社ですべてを作りきっているわけではないことを考えると、食にまつわるいろいろなサプライチェーンの皆さんをこの仕組みの中に招き入れていくのは、まさに考えなきゃいけないポイントだなと思って聞いていました。

(佐々木)
さきほど松岡さんから「フード評価」の項目がとても多いので手間がかかり大変というお話がありました。確かに大手メーカーさんは商品の改廃も多いのでその度にと考えると大変だろうなと改めて思いました。一方で今の文脈からすると、中小企業さんの方は項目が多い方が逆に拾い上げられる可能性が出てくるのかなとも感じました。

なので、今後中小企業向けを作っていくときにはこの方向でそのフード項目は厚くしていくという今までの考え方は、このままでいいのかなと思います。できるだけ広く評価できる項目を作り、いろんなメーカーさんが、自分たちも評価されるというチャンスを作ってあげることも必要です。
(芝池)
「フード評価」に関しては、もしかすると中小企業も大企業も、もっと一点豪華主義で評価する方向性で考えると今は全てを満たしてないとダメという置き方をしていますが、1個でもやっていたらいいねとなるように加点評価な感じに変えていくと、一点豪華主義として評価されますね。多分それが大企業と中小企業両方に通ずるところかなと思います。

(河口)
もしやるのであれば、大企業の場合は、企業の取り組みはちゃんとしているので、「フード評価」を一点豪華主義で、エシカルの調達をしているとか、パッケージがすごく環境に配慮していることを評価するところからスタートもあるかもしれないです。この基準自体を更新して行く時に、一点豪華主義から二点豪華主義にするなどしていけると思うので、最初は1つとか2つでいいと思います。佐々木さんが言われたように広い視点があって、本当は全部をやってもらいたいけれど、最初から全部は無理だからまず1つからでも始めたところを褒めて、段々厳しくしていく。1つが当たり前になり、2つになりと増えていくといいですね。

(芝池)
方向性としては、「企業評価」は、中小企業は難しいところあるかもしれないけど、今の形を生かしつつ、プラスでやっていることを評価する方式に変えていけるといいんじゃないか。それは大企業も中小企業も一緒というふうに見えてきた感じがします。

(松岡)
今の河口さんのご意見に対してですが、確かに「企業評価」はまさに企業姿勢なんですよね。企業としてやるべきことをやらないといけない。ただ企業の規模によってその範囲は変わってくるはずなので、私は河口さんのご意見に非常に賛同いたします。
また「フード評価」について、実はうちもチョコレート、乳製品、ヨーグルト、アイスクリーム、冷食と色々あった場合に、それぞれ抱えている課題は違っていて幅広く全部が全部クリアできるかというと、できないと思っています。その商品のカテゴリーによって選択制にするのか、1個か2個選んでやるのか、そんなふうにした方が我々としては非常に取り組みやすいですね。

(芝池)
「フード評価」を1点豪華主義、要は加点方式にもっと変えてしまうというふうにすると、元々作っていた基準の考え方とはちょっと変わってくることになります。今までずっと一緒に議論してきてくださった有識者の皆さん、この考え方を変更することに関して、どんなふうに思われますか。
(中西)
質問も含めてですが、河口さんや松岡さんがおっしゃったような企業姿勢をしっかり見ましょうというところはいいなと思います。そのとき包材の企業方針としてはどういう現在地があるかはしっかり見えるような状態にしておく。

また「フード評価」は1点豪華主義というか「しっかりここはやっています」が見えるように切り換えていく。元々は大企業の方からやっていきましょうという話でしたが中小企業や、スタートアップ、そういう方たちからこの基準が盛り上がっていくのもあるかもと思いました。逆にそちらからすごくいい盛り上がりができて消費者がそういうことを応援する中に、大企業さんのしっかりやられているものも入ってくるみたいな感じになって、大企業の後に中小企業じゃないステップが踏めるのかもしれないという気もしています。

先ほどの棚の話も踏まえて考えると、もちろん段階はあるけど、第1段階のときにも同時にできるのか、第2では必ずスタートアップも入ってこられるようなものになるのか、ラダーがきちんとある状態を意識してスタートすると、その一点豪華主義をどういうふうに設計するかも変わってくるのかなというのが自分の印象です。

あと、やはり大企業さんにはしっかりやっていただきたい環境の状況とか、土地利用のこととか、世界の状態とかから考えていくと、そこに責任や、ある程度調達とか関係性があるからこそ、役割を果たしてもらいたい部分が大きいです。もちろんしっかり緩やかにやっていくということもありますが、時間軸を考えると、企業のところでしっかり見て、フードで頑張っているところをぐっと押したいという感じになります。

(芝池)
やはり環境面では大企業の影響が大きい部分があるのでそこはリードしてほしいですね。皆さんいかがでしょうか?

(B)
皆さんの議論を聞いて非常に建設的でいいなと思いましたが大企業を優先的に取り組んでいった方がいいという反面、逆効果としてはやっぱりその大企業から結局いろんな仕事を受けるのが中小企業だとも思います。例えば包材でエシカルのものを使った時、10円あがったとしてその10円をどう転嫁していくのかというと、今の小売業とメーカーさんの取り組みにおいては課題になると思います。

それから大手のスーパーでもいろんな商品が値上がりしている中で、価格を据え置きますと宣言してやっているところがあると思いますが、そのしわ寄せは中小企業にきており、経営が圧迫されています。表向きお客様の支持を得ようとしてやっていること自体が、本当にエシカルな活動につながっているのかみたいなところも、実態としては今、現場で起きていることです。

そのため大きな企業が今それを宣言しているというのも、課題感としてはすごく大きいと感じています。大企業からやるとか中小企業からやるというよりは、最終的にはどういう状態に持って行きたいのかという部分を、消費者とメーカーさんの分離しているものを統合して、理解をいただくようにしていかないといけないですね。

例えばプラスチックの包材を紙にしました、エシカルな包材にして20円価格が上がりましたといったときに、どこまで今の消費者がついてくれるかを考えていかないと、リアル感としては非常に難しいものがあると感じました。

その上でじゃあどうするかは、やっぱりお客様を含めた全体でイメージをしっかりやっていく、お客様の環境やエシカルに対する考え方も理解できる人が多くなってきているので、そこをしっかり訴求していく。もちろん国も含めてやっていかないとなかなか1大企業がとか中小企業でできる課題感ではないと思います。

(芝池)
そうですね、ちょっと答えを出すのは難しいところですが、有識者の皆さんも、きっとBさんの考えには同意していて、消費者が安かろうではなく、価値あるものをきちんとお金を払って評価するという方向に向かうためにも『エシカルフード基準』が活用されると良いと思われているのではないかなと、過去の議論からも思います。

(B)
あとアサリの国産の問題、うなぎの問題、それから昆布、わかめが海外産のものが国産として売られているような実態はまだあります。これは何が一番の課題なのかというと消費者が国産に求めすぎている、でも安く手に入れたい。というところが非常に深い根をはっているのではないかと思うんです。実際に直輸入の仕事をしていて、例えばラーメンに入れるメンマ。日本では安く買うことできますが、実態としてメンマメーカーは過去最高の売り上げなのに初めて赤字になっています。赤字になっている原因は、日本だけが値上げを許してくれないからです。このままだと輸入に頼っているこの国に商品が入ってこないという状態になってくるのではと思います。

その辺の価格思考、とくにコロナ禍で国民の所得が上がらない中で、環境にお金をどれだけのお客様が使っていただけるかは結構リアルな課題として残ってしまいます。それをそのまま言っても地球環境として解決できないので、しっかりベクトル合わせてみんなで価格転嫁をしていくことに対して、説明責任をしっかりやっていくことが、全方位で必要なんだろうと思います。

(芝池)
一歩踏み込んでお伺いすると、全方位で理解を深め、本当に消費者も理解しなきゃいけないっていうところでは、この『エシカルフード基準』がどういう形であれば、どういう発展ができると思われますか?

(B)
例えば、スーパー各社はアプリを持っていて大手になるほど会員さんが多いと思いますが販促費用をいただけるメーカーさんの商品に50ポイント、100ポイントとつくように、エシカルな商品を買ったときにポイントがつくとかを、国から予算をとって消費を普及させていくといいと思います。値上げに消費者が厳しい中で、20ポイントとか30ポイントつくなら、まずそっちを買ってみたいというところから少しずつ消費の購買行動を変えていく。そこからみんなでやっていかないと、なかなかマークがついたから買うというのは、相当意識が高いお客様だけになってしまうので、一般のお客様まで広がることを考えると、各社で分断しているものを横断的に取り組んでいくことが必要だと思います。

(芝池)
最初からの連携は難しいかもしれませんが『エシカルフード基準』でTポイントと連携し、みんなこういうのを買うんだとなれば、流通が連携して仕組みを取り入れていくのも足がかりになるかもしれません。

(B)
まさにその通りです。弊社で社内を巻き込んでできたら一番いいなとは思います、うちもそういうことに今一生懸命やろうとしている企業でもあるので。でもまずは一社一社がやって検証した上で、効果がありますということを出さないと、日本の企業は上に上げられないですね。結果が出ていないものに対してお金を投じるのが非常に難しいのでどこかで結果を出すべくしっかりやっていく必要があります。

(芝池)
消費者の意識にアプローチしようとしても、そもそもの消費数が少ないと、母数が少なすぎて働きかけにならないっていう観点では、最初、Aさんがおっしゃってくださったカテゴリの偏りとか、松岡さんおっしゃってくださったハードルが高いみたいなところをクリアして、なるべく選択肢を増やしていくことはベースとして担保したほうがいいのかなと改めて聞きながら感じました。

(B)
あとは商品にならずに捨てられているものは年600万トンぐらいあります。実際、海洋で捨てられているものや、メーカーさんで捨てられているものなど数字にならないものを合わせると、年1200万トンぐらいが捨てられている現状がある中で、それを共同で使えないのかみたいなことに連携して取り組むのも手としてあると思います。コストが安くて、お客様にもよくて、産地にもいい商品がたくさんあるのですが、そういうものを情報共有する仕組みがない。

例えば、うちの取り組みとしては、三陸の海洋で捨てている昆布を佃煮屋さんに運んで、煮込んでしまったら色も関係ないし形も関係ないので、それを店内の手作りおにぎりの中に入れて売り出します。今まで捨てられていたものですが、ふんだんにおにぎりの中に入れて、売り出すことで、美味しく売れるとなれば、今度はコンビニエンスストアさんにも使ってもらったりとか、エシカルの原材料を使っていますとか、そういう形で今捨てているものでも十分角度を変えたり情報共有することで解決できることもたくさんありそうです。

(芝池)
今の話を一点豪華主義と重ねると、豪華の仕方は多分いろいろあって、取り組みの内容を合わせてナレッジ共有していくってことができると、うちも一点豪華ならできるかもというふうにエシカルに広がりが出そうですね。

(B)
いろいろ読ませていただいた中で、今皆さんずっとこう議論されてきたことは、きっかけ作りだと思います。きっかけの後に認定とかがあると思うのですが、要はきっかけをいろんな人に配って、そのきっかけにひっかかる人をどう増やしていくかが大事だと思います。中小企業も大企業も関係なく、いいねという文化をみんなで作っていく最初のきっかけ作りの評価点だと思います。ですから、評価取ったからいいとか、取ってないから駄目とか、そういうことではなくて、こういう現実があることをしっかり理解して、そのきっかけをつかんでくださいねという発信の仕方というのがすごく大事なのではと思います。

(河口)
戦術的なところであらゆる製品をターゲットにしようとするとすごく大変になるので、例えば最初はチョコレートだけとか、水産資源とかカテゴリを絞ってまずローンチしたほうがいいです。例えばチョコレートだったら、明治さん以外にもお声掛けして、エシカルだと出せるような商品を出していただき、中小でもビーントゥーバーのメーカーにもお声掛けする。まずチョコレートだけでやるといいかもしれません。チョコレートと漬物など一緒には考えられないので、チョコレートの次は、水産物で未利用魚とか。
今お話があったような昆布とかそういう面白い取り組みがあれば応募してきてというスタイルでやるのもあります。

あと消費者がお金を出したがらないっていうのは本当に日本のよろしくないところで、マスコミの報道もよくないです。今原材料の価格が上がっているけれども、消費者が値上げを認めないから結局赤字だとか悲しい話がありますね。それも新聞の書き方が、油の値段が上がる、マヨネーズの値段が上がるなど、消費者の財布はますます厳しいみたいなことで必ず締めるので、価格が上げるのは悪で消費者がかわいそうというストーリーになってしまいます。そのあたりのマスコミの意識もセットで変えていくっていうことも一緒にしていかないといけないですね。

消費者の絶対善は安いことだというマスコミの絶対論調があるので、そこも物によってはちゃんと適正な値段を払わないと消費者の首も絞めるということ、それはエシカルフードラボだけでやるだけの話ではありませんが、少しでもそういった方向に向くようなメッセージになるといいなと思いました。

(芝池)
ありがとうございます。戦略的にカテゴリを決めるところは、瀧田さんがスモールスタート企画で考えてくださっています。

(瀧田)
スモールスタート企画の中で、まさにそれを検討しています。親和性が高いカテゴリから始めて、どんどんカテゴリや企業を増やしていく活動ができたらいいなと思っています。

(河口)
それを発表するときに、ロードマップを見せておかないと、漬け物業界どうするんだという話になるので、まずはチョコレートで、次こういう形でだんだんこうやってきますという話をしたほうがいいですね。欧米のWBAとかの基準は、まず最初にこの業界をやります、これが終わったら次自動車というふうに決めています。決めたロードマップの中で、これで得た知見を次の業界にと見せていますから、スモールスタートでやっていくというのを見せた方がいいと思います。

(瀧田)
いつもは競合同士のメーカーさんがこのエシカルを浸透させるために手を組み、エシカル同盟のような形で一緒にコミュニケーションする、発信していくことができたらいいなというのは、実はアイディアとして考えていました。メーカーさんがどこまで受け入れてくださるかはわかりませんが、そういったことができるとソーシャルインパクトは大きいなというふうに思っています。

(河口)
そういうことであれば、チョコレートの大手企業の方にもお声掛けできますよ。

(芝池)
そこはぜひ皆さんで打ち合わせに入っていただければと思います。

(瀧田)
そうですね、Aさんにもご協力いただいて、スーパー連動でできたりするとすごくいいなと思います。結局消費者は棚を見るというのがありましたが、そこはまた改めてご相談させていただければと思います。

(芝池)
基準とは別の企画の部分も何かいいセッティングができそうですね。

(松岡)
やっぱりエシカルな消費を盛り上げていくためには、確かにきっかけ作りがないといけないですし、お客さんは意識を変えて、メーカーもいいことをやっているのだからそれに対して少しお金払ってもいいよねとか、そんな気持ちになってもらうのが非常に重要だと思います。

チョコレートというお話が出ましたが、今カカオ豆の調達で児童労働とか、森林破壊が問題になっているのも事実で、弊社だけではなく他メーカーも社会課題として取り組んでいるはずです。チョコレートメーカーもみんなこんな取り組みしているよねというのを打ち出して、いい事やっているから少しぐらい高くてもとなればいいです。そういう社会課題の解決に取り組んでいるという事をまず分かってもらうことが必要じゃないかなと思います。

他社と一緒にやるのは、私はまったく反対しません。ただチョコレートのマーケティング部門の人がどう思うか、彼らはライバル同士なので、抵抗感があると思います。

(佐々木)
日本のメーカーさんは、自分たちがやってらっしゃることを前に出すことが謙虚だからなのかわかりませんが、下手というか、なさらないですよね。アメリカのホールフーズには、チョコレートのパッケージが児童労働の写真のものがありました。うちはこんなの(カカオ)を使っていませんというメッセージを打ち出していて、消費者がそれを見て買う。説明にも写真にも、ものすごいインパクトがありました。このラボが日本でもっとやってらっしゃることを前に出せる機会になるといいのかなというふうに、思いました。

メーカーさんだけではなくて、流通さんもその企画に一緒に乗っていただくというのはとても稀なことであって、でもこれがその横に広がっていくと、エシカルな活動も広がっていくのかなと、いつもは競合でいらっしゃるけれども、同じような目的に向かって進むというのはメーカーさんも流通さんもあると思います。それを作れるようなプラットフォームがエシカルフードラボなのかなというふうに私は理解しております。

(芝池)
あくまでこの『エシカルフード基準』は手段であって、この手段を通じて、どんな食の未来を、メーカーと流通さんとあとは消費者と作っていけるといいだろうかっていうところでも、いろいろとアイディアが出たり、確認できたのかなと思っています。

今日のセッションは6時までいうところで、しきい値のところに関しては、今設定している基準をすべて満たすのか、パーセンテージで決めるかを考えていましたが、「企業評価」はしっかりやってもらいたい、特に大企業ですね。フードは、大企業、中小企業問わず、一点豪華主義でいい取り組みをしているところを拾い上げて発信し、その内容を消費者にも伝える。メーカー間でも共有できるようにという方向性が見えてきたのかなと思います。

今の基準をどう変えて落とし込むかは、もうちょっと考えないといけないと思うんですが、事務局で少し整理させていただきつつ、来週また有識者の皆さんとも時間をいただいているので、そこで着地について話せるといいと考えています。

最後におひとりずつコメントをいただければと思います。

(山本)
松岡さんとAさんとBさんのお話を伺って、基準を評価する側のご苦労であるとか、実現の難しさがよくわかったなと思う上でなんですけれども。やっぱりこの基準を作っている側としては、最終的にこうなってほしい、今は手が届かなくても、最終的にこっちに向かってほしいというところを提示しておくのはすごく大事と思いました。記入のしやすさであるとか、提出のしやすさ、応募のしやすさは、何とか実装していく必要はありますが、それが基準を安易化する方向には行かないようにしていかないと、とも思いました。その辺のバランスのすり合わせをこれからやっていかなくてはいけませんので、またお力をお貸しください。

(河口)
いまの山本さんの懸念は大変ごもっともです。だから私はロードマップが大事だと思います。例えて言えば、学校に入って1年生はここのレベルまでやれば修了、2年生はここのレベルまでやれば修了、でもこの学校を卒業するなら6年生までは全部やってという形にするといいですね。卒業レベルか、0かではないので、卒業レベルは下げないけど、1年2年3年と修了証書を出すよという設計に変えるということかと思います。

今の基準は今の理想としてきっちり掲げた上で、1年生の修了はここまで。そういうロードマップを最初からしっかり示した上で、かつ非常にわかりやすい業種、話題になりやすい業種でやってみるのがいいのではないでしょうか。大手さんはそんなに数もないので、エシカル談合をしていただいて、それをうまくアピールしてマスコミで広げていく。そんなストーリーがいいと思いました。

(中西)
河口さんがおっしゃっていたように、簡易化する方向性は違って、方向性は見せておくんだけれども、これをしないと駄目だよっていうことではない。ちゃんとコミュニケーションの段階で見せられるようにしなきゃいけないし、参加していただくときにもそうだと思います。

今までの20世紀型とかそういう考え方でやると、検査テストされているという感じかもしれませんが、Bさんに共感できるところが多いです。単純化してしまうのではなく、むしろ複雑だから置いてきた問題、やってこなかったことが一気に山積みになっているのが今の社会だと思うので、どちらかというとその複雑性をどうやったら解決できるか、それに先陣をきって取り組んでいる皆さんだと思います。その辺の複雑性のものに取り組んでいるということを私達も理解して、若い人たちに渡していかなくてはいけない。

結果、一番よく作れるのは次の世代になるかもしれないけど、逆にこの世代だから今まで見えてきた失敗とかもわかっていると思うので、その中で皆さんがチャレンジできるようになるといいですね。どうやったらやろうと感じてもらえるかもすごく大事なのかなと思います。それから、一点豪華主義については、ここの企業がすごかったみたいなアワードがあってもいいのかな、調達分野ではここがアワード、人権分野ではここがアワードというように分野ごとのアワードと、トータルのアワードがあるといいかなと思いました。

(佐々木)
とても学びの多いセッションでした。皆さんがおっしゃっているようなラダーというか1年生は低い階段からという話、メーカーさん、流通さんとのコミュニケーションとして消費者を育てていくんだみたいなメッセージ性をもっと打ち出していくといいのかなと思います。

メーカーさんにしても、いろいろやりたいけれども、結局消費者が付いてこないからできないというところが多分にあると思います。結局売れないからコストもかけられないし、人員も割けないみたいなところがあると思うので、消費者を一緒に育てていきましょうと。それは裏テーマかもしれないけど、コミュニケーションの中でマスコミも一緒に巻き込んでいく。エシカルに向かうことが結局のところ、日本の未来にとって必要ということを打ち出していくことが必要なのかなあと。

先ほど、Bさんのお話の中で物が買えなくなってくるというお話がありましたけれども、実際本当に買い負けがあちこちで起きています。水産物は完全に買い負けていまして、最近自給率がちょっと上がったのは、日本人が食べているからじゃなくて単に買い負けているだけだったりします。そういうメッセージをどういうふうに危機感として出せるかも考えていければと思いました。

(平井)
僕も佐々木さんの意見に大賛成で、消費者を育てていくというと上から目線になっちゃいますが、わかりやすくすることなのかなと思いました。僕は女子高で認証マークの授業をやったときに、事前の宿題として、自分がいつも通っているコンビニとかスーパーで、何かマークの付いたものを自由にこれぐらいの予算で買ってきてください。それについてどういう意味があるのかを調べていきましょう。という宿題を出しました。そのとき、みんな初めてマークを意識して買い物したので、こんなにあるとは知らなかったと言っていました。環境についての授業はこれまですごくやってきているので、頭でっかちになっていて、勉強すればするほど何か暗くなっているんです。何か未来がないというか、買い物に萎縮してしまうというか、スーパーを周っても減点方式で見てしまったりするので、「この商品はこれができてない」みたいな見方になってしまうのですが、180度違う見方が少しでもできればいいなと思います。

もしかしたら環境面からすると60点70点の商品かもしれないけど、去年は50点だったから10点アップしているんだよみたいなことがあれば、ここの企業を応援しようとか、この商品を応援しようとなるのではないでしょうか。山本さんもおっしゃったように、妥協しない部分を理想だと見せつつも、何でそれができてないのかというところも、子供レベルでもわかってくるといいのかなと思いました。
(須賀)
松岡さん、Aさん、Bさんのお話を伺って、より消費者のフロントにたつ皆さんにとっての実感値がリアルに感じられました。ここに集まっているメンバーの意識とは乖離のある消費者も多くいらっしゃるとイメージはしていますし、日々そういったところとも向き合っていますが、リアルな声として受けとめて非常に学びになりました。

ですが、日本での基準策定にあたり、これまでエシカルコンシューマーさんの英国のリストを参考に現実的で、網羅的なリストにしてくださっていますし、その後議論した上でしきい値の判断をしてきたものなので、説明責任、アカウンタビリティ的にもここは担保した方がいいのかなという印象を持ちました。安易化の方向ではなく、企業にとっては向き合いやすさだったり、消費者にとってはコミュニケーションのわかりやすさだったりで、消費者と巻き込みたい企業へのコミュニケーションの課題を提示してくれたのかなあというような印象を持ちました。

先ほどの佐々木さんのご意見と重複するところだとは思いますが、インタラクティブなコミュニケーションは内々には続けていきながらも、これをスモールスタートである程度カテゴリを定めてロードマップを作っていきながら実装していくにあたって、どう説明していくのか。どうコミュニケーションをとっていくのかが次の課題になっていくと強く思いました。

それから、一点豪華主義のナレッジ共有はすごくいいなと思っています。見えてないところでどういうことがあるのか、定量的なところではなく定性的な部分になると思うのですが、そこから発展できるところがあると感じました。

また何度か言い続けているところですけれども、このプロジェクト自体、少し良い買い物、ちょっといいものを選ぶ目を持つ消費者を増やしていくというスタートから、だんだんと消費の潮流を変えていくことをすべてのステークホルダーで足並みを揃えてやるということだったと思います。

その点でいうと、中小企業、大企業関係なく物作りを担っている企業側、その中にいらっしゃる方たちに、この課題をエシカルに向かう課題の障壁になるようなものと、実際の市場課題という二律背反的に捉えるのではなく、市場課題として転換するという視点を持ってほしいという想いがあります。その視点があらたな事業開発としての価値を生むというところを、うまくモチベートとしていくスコアになってほしいです。

トップダウンからの「オープンイノベーションで、どんな形でもいいから社会課題解決に繋がる新規事業を進めてほしい」という要請で開催されるワークショップをサポートすることがありますが、その担い手の社員達は、それで儲かる気がしないとか、稼げるような感じがしないとか、市場が見えないといったところを感じています。そのため、うまく消費者も巻き込めるような取り組みであるということから働きかけていけるといいと感じています。そこはずっと自分の中で課題感として持っているところであり、今日の話を聞いても同様に感じたというところです。

(芝池)
最後おっしゃった課題のとらえ直しは、一点豪華主義を本質的にやると、結構できるのかなという気がしたので、そこら辺を踏まえながら、基準に盛り込んでいけるといいなと改めて思いました。

(森枝)
課題と相反させないまとめ方というのはいいなと思います。そういう中で順序立ててやっていくという一点豪華、一方で意識の高い方からしょうもないと思われると悲しいので、意識の低い方への取り組みもありながら、意識の高い方に対しても仲間になってもらうことも必要ですよね。これから僕たちこういうことを考えていて、まだこの段階と伝えること。意識が元々ある人は、影響力もある人なので、そういう人たちを切らないようにできる何かがあるといいと思います。また、アワードとBさんの昆布の話は聞いていてやるべきだと思いました。

(芝池)
目線を下げすぎない。いろんな目線の人がいるから、それぞれの人がそれぞれの関わり方ができるようにしてというのも森枝さんのコメントで再確認できたと思います。

(藤田友紀子)
私も小売と商品作りをしている立場として本当に同感できる部分があります。やっぱり意識の高い人だけにわかってもらうだけではないほうがいい。皆さん全員が自分の利益とか、自分のことだけを優先させずに、環境配慮とかいろんなことを考えて買い物をしてもらうことには意識があると思うけど、食品業として支えてくれる人、買ってくれる人、応援してくれる人、理解してくれる人、それにお金を使ってくれる人っていうのは、商品作りをしていて考えるところが多い。コストは誰が支払うのかを考えるとなるべく安く作らなければ理解されない、買ってもらえない。作る立場として考えるところではあります。一点豪華主義は心が動いたのですが、この基準を作っていて理想だったり、グレードが高かったり、一つでも平飼い有精卵を使っていますよとか、包材頑張っていますよとか、きっかけがあるといいです。それでメーカーさんが動く、小売店が販売する、お客さんが買ってくれるという結果に繋がることで、いきなり高いグレードでなくてもいいから、少しでも環境に配慮しようといったきっかけ作りができたらいいなと思いました。よりメーカーさんが参加しやすく、小売店が参加しやすく、お客さんが手に取りやすくという、その三角関係でいろんな基準をクリアできる人たちが少しでも増えるといいなと思いました。

(井出)
Aさんと松岡さん、Bさんもお話ありがとうございました。エシカルコンシューマーの、いわゆるペルソナを置いたときに、その人は何を選ぶのかなと思ったら、必ずしも大手のものではないですよね。この場で言ったらいけないのかもしれないですが、大企業を先に始めるというのはわかりつつ、こだわる人って、必ずしも名の知れたブランドを買うとは限りません。その上でエシカルということはなんだろうと考えたときに、持続可能であると。では、持続可能って何だろうって考えたときに、大量生産、大量廃棄ではないですよね。適量生産なはずです。なんとなく、今の評価項目の議論は「質」の方に入っていて、「量」、つまり、適量生産で持続可能というところが議論されていないような気もしてきました。

例えば静岡市の創業260年のわさび漬けの会社は、昔ながらの製法で作っていて、大量生産できませんので、適量生産にならざるを得ないです。榮太樓本舗も創業200年以上ですけれども昔ながらの作り方で守っています。絶対に下請けという言葉を使わない。農家さんのところに行って一緒にその栽培のところから見て、対等な関係を築いているという意味では、私は榮太樓本舗みたいな会社もエシカルだと思います。でも、大企業になると、そういった会社が入らない。将来的には入るのかもしれないけれども、超大企業と、1人2人の小さい企業、というふうに、二元論にならないといいです。

(松岡)
皆さんのご意見を聞いて、非常に参考になりました。ありがとうございます。
私もエシカル消費はこれからの未来の世代のためにも盛り上げていかないといけないと思っています。そもそも企業活動で地球環境にいろいろ負荷を与えてきたので、それのつけは払っていかないといけないと思いますし、外部不経済を内部化していく動きは企業としては当たり前のことで、しなくちゃいけません。

今日「企業評価」でお示ししていただいたのは、その一部だと思っています。やはりこれはやらないといけないし、お客様にそういった活動をどうコミュニケーションしていくか非常に重要じゃないかなと思います。消費者教育という概念もあり、それは1メーカーだけでできる話じゃないので、いろいろなメーカーさんや業界の人、小売業、省庁などと連携取りながらやっていく。その仕組みもできれば作っていきたいですね。そのような仕組みがあれば、喜んで参加いたします。あと企業は何をやるにもコストがかかるので、使命感を持って自助努力で吸収するのは、はっきり言って限界があります。

また、どこかのタイミングで商品の価格に反映していく動きを取っていかないと、この活動自体がサスティナブルにならない。このコストは一部お客さんにも負担していただく考え方を持つ必要がありますので、その辺りも、皆さんと連携を取らせて頂ければと思います。

(B)
ちょうど去年の今頃、海の幸ということで海トロンの海洋の取り組みを、売り場を作ってやっていました。1店舗だけの取り組みでしたが、それから2回目の取り組みができるなど発展もありました。

うちの会社の場合、私もそうですが、エシカル消費という言葉を知っているかどうかのレベルです。そこは目線を合わせていくのが大切だと社内でも感じています。やっぱり誰かが試してみるということを活動的にやってかないと、絵に描いた餅になってしまいます。先ほど皆さんからお話いただいているように、まずやってみるっていうことが大事です。
こだわっている方というのはどういうメーカーさんなのかということで、昨日スーパーマーケットトレードショーに参加しましたが、例えば次世代の赤ちゃんに向けた1歳から食べられるポン菓子や玉子せんべい、それから卵ボールだとか野菜スティックだとか。すぐお金にはならないけども、やっぱり次世代に良いものを提供したいという企業は、たくさん出店している中で四、五社しかないです。多くはまだまだ資本主義の中でやっています。資本主義ももちろん大事ですが、先ほど皆さんからあったように持続可能な次の世代にどうつないでいくか、環境、地球から考えていったときに、実際に行動して試してみるということを、やっていく必要があると今日改めて感じました。

(A)
非常に勉強になりました。Bさんも言っていた通り、多分スーパーマーケットの従業員自体がエシカルという言葉聞いたのはつい最近のことだし、それについて詳しく知見のある人なんて誰もいません。一部の環境推進とかをやっている人たちは勉強して知っているけど、現場のバイヤーは120人ぐらいいて、1人いるかいないかぐらいだと思います。バイヤーも知らなければ、ボードのメンバーも知らない。彼らが一番好きなのは営業利益ですから全くその辺は知らないし、お金にならないことには全く興味がありません。説明しに行くけど、それをやらないと銀行から評価されませんよという言葉を出さない限り、全く先に進まないのが現状です。

我々もこういった勉強をする機会、皆さん知見のある方がいっぱいいらっしゃるのでバイヤー勉強会でちょっとずつでもいいからエシカルであるとか、今、世の中でどうなっているとか、そういったことをお話いただく機会を作りたいと思います。お客様教育をするなどおこがましくて、私どもも言えないです。まず僕らが勉強しなきゃいけないのかなというのが今日の感想です。

(芝池)
では最後瀧田さんに締めの言葉をいただいければと思います。

(瀧田)
今日も本当にありがとうございました。食品メーカーさんと流通さんという新たな観点が入って、今までとはまた違った観点で対話できたのかなと思っています。私自身もすごく面白くて学びになりました。未来に繋がる食の循環はフードチェーンに関わる皆さんで実現していくため、そこにいろんな人たちが集まれるプラットフォームということでラボがあります。河口さんはじめ何人かの方からお話ありましたけれども、それをどう実現していくのかというロードマップが、今まだあまりきちんと描けていないのを改めて実感しています。
もちろん、スモールスタートから始めて、徐々に徐々にソーシャルインパクトを出せるように、多くの生活者の皆さんを巻き込めるように、という大まかなところの考えはあるにせよそれぞれのステークホルダーの方たちと、どういう対話をして、何から実現して、その小さな実現をこう重ねてステップを刻んでいくのか、ロードマップをもう少しきちんと作らなければいけないなというのもすごく感じました。

今日は幸い『エシカルフード基準』以外のところのアイディア、芽も生まれたところもあるので、ここでのアイディアを大切にしながらも、実現に向けて進めていきたいなと思いますし、来週25日にまた最終セッションがありますので、今日の宿題をどういうふうにまとめることができるのかは、かなりハードだなと思いますが、引き続き進めていきたいと思っていますので、お力添えの程いただければと思います。

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