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楽しみながら世界の課題を知る「(N)EF TRUCK(エシカルフード トラック)」

2022年3月25日(金)~27日(日)、代官山T-SITEに一風変わったフードトラックが登場しました。その名も、「(N)EF TRUCK(エシカルフード トラック)」。

注文できるのはコーヒー、フィッシュバーガー、チョコバナナサンドです。それぞれ、こだわりポイントを示した説明文のみが異なる2種類のメニューがあります。

実はこちら、エシカルフードへ興味を持ってもらうことを目的とした、「Tカードみんなのエシカルフードラボ」による取り組みでした。2種類のメニューの片方は、環境・動物・人・社会に配慮している「エシカル」なもの、もう片方は、倫理的に配慮されていない「ノンエシカル」の設定(あくまでも設定です)のもの。

メニューの説明文を読んで注文いただいたあとに、その商品が「エシカル」だったのか「ノンエシカル」だったのか、答え合わせ用のメニューカードをお客様へお渡ししました。この種明かしによって、エシカルフードについての理解を深めることができる仕組みです。

答え合わせ用のメニューカード

どのような思いから「(N)EF TRUCK」の取り組みを実現したのか。そして、生活者からはどういった反響があったのか。「Tカードみんなのエシカルフードラボ」公式note担当の東樹が、ラボリーダーの瀧田さんにお聞きしました。

「Tカードのみんなのエシカルフードラボ」リーダー 瀧田

(瀧田)
生活者のみなさまは、まだ「エシカルフード」という言葉を知らない方が大半だと思います。

ラボで有識者のみなさまとともに検討してきた「エシカルフード基準」が完成し、エシカルフードにおける大切な観点を世の中に公表できたタイミングで、この「(N)EF TRUCK」の取り組みを行いました。「エシカル」と「ノンエシカル」の対比の中でイシューに気づいてもらい、エシカルフードや「エシカルフード基準」に興味を持っていただくきっかけを作ろうと思ったんです。

「(N)EF TRUCK」出店期間中、「エシカル」なメニューを選んだ生活者は全体で63.7%でした。メニューごとに見ると、「エシカル」なコーヒーを選んだ生活者は64.5%、フィッシュバーガーでは56.9%、チョコバナナサンドでは71.7%となりました。

(瀧田)
代官山という1箇所で検証しただけなので、この数字が日本の平均なのかはわかりません。ですが、「エシカル」なことに意識を向けていらっしゃる方が多いからこそ、こういう結果になったのかなと思います。

現地では、「今までぼんやり考えていたことが、言語化されていたので気づきがあった」「考えたこともなかったけれど、様々な問題が食の背景にあることがわかった」など、「(N)EF TRUCK」が気づきのきっかけ、理解を深めるきっかけになったというお声をいただきました。

「エシカル」と「ノンエシカル」を対比させる構造で、エシカルフードへの理解を醸成することを狙った今回の取り組み。検討するにあたり、難しい点があったと瀧田は言います。

(瀧田)
今回、コーヒーでは「ノンフェアトレード」、フィッシュバーガーでは「IUU漁業」、チョコバナナサンドでは「児童労働」を社会のイシューとして取り上げました。この3つのイシューを選ぶのが、非常に大変でしたね。

「エシカル」と「ノンエシカル」を対比させるという今回の企画の建て付け上、「ノンエシカル」なことを「ノンエシカル」だと言い切ることが必要です。ですが、倫理観は時代とともに変わりますし、今も議論が継続されているイシューがたくさんあります。なので、「ノンエシカル」であると100%言い切れるイシューとは何なのか、ということを有識者の方々と何度も議論しました。

最終的に、世界中が「No」と言っているノンフェアトレードと児童労働、国際法に触れるIUU漁業を「ノンエシカル」と言い切ることにしました。ただ、「工業的畜産は?」「有機農業以外の農業は?」など、他にも考えるべきことがあると思うんですよね。そこには答えがないので難しいんです。「有機栽培の野菜がいいよね」となっても、そうではない生産をしていたらどうなのかというところに答えはないですし、工業的畜産も、世界的にはアニマルウェルフェアと環境への観点でよくないとされているものの、IUU漁業や児童労働のように100%「No」にはなっていません。

「No」と言うことで、現状を改善しようと頑張っている誰かを傷つけてしまうかもしれません。また、世界中が「No」と言ってないことについて、「No」と言い切ることには危うさもあります。そんなことを考えながら、議論を重ね、最終的に3つのイシューを選びました。「ノンエシカル」を伝えるというのは、本当に難しいことですね。

代官山への「(N)EF TRUCK」出店は、期間限定の取り組みでした。また、どこかに姿を現すことはあるのでしょうか。今後の展望を聞きました。

(瀧田)
「エシカル」と「ノンエシカル」のメニューがあって、それぞれのこだわりポイントを見ながらどちらかを選ぶ。その場で種明かしがあり、世界にはこんなイシューがあるんだと気づく。最終的に「エシカルフード基準」に辿り着き、より深い情報を得る。

この「(N)EF TRUCK」の枠組みを、大学や高校の授業に使いたいという話が挙がっています。「(N)EF TRUCK」そのものが教育現場に行くという方法もありますし、教材として、メニュー、答え合わせ用のカード、そして「エシカルフード基準」のみをセットで提供することもできると思います。授業の中で、楽しみながら世界的なイシューについて学べたらいいですよね。

「(N)EF TRUCK」を企画する際に重視した、「楽しむ」ということ。これは、今回の取り組みに限らず、ラボ全体に通底する考え方です。

(瀧田)
ラボのバリューの一つに、「楽しく、真摯に、オープンに。」というものがあります。持続可能であるためには、楽しさを忘れないことが大切です。

「世界的に大事なイシューを考えようよ」と押し付けるのではなく、体験しながら楽しさの中で気づいたり学んだり、そういったことが重要だと考えています。

「(N)EF TRUCK」はまさに、ラボの価値観を形にできた取り組みと言えるかもしれません。いつかどこかで見かけたら、ぜひ立ち寄ってみてください。

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■ (N)EF TRUCK(エシカルフード トラック)についてもっと知りたい方はこちら!

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