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「エシカルフード基準」セッション対話録 第4回

エシカルフード基準セッションDay1(2022年1月24日14-18時)

「エシカルフード基準の項目としきい値を検討する」
参加メンバー:五十音順
井出留美さん
河口眞理子さん
佐々木ひろこさん
須賀智子さん
中西悦子さん
平井巧さん
藤田香さん
藤田友紀子さん
ぺオ・エクベリさん
森枝幹さん
山本謙治さん
「Tカードみんなのエシカルフードラボ」事務局メンバー


(瀧田)
本日はお忙しい中お集まりいただき、本当にありがとうございます。いよいよ本日から2月末にかけて全4回のセッションの中で、『エシカルフード基準』の項目としきい値について皆さんの多様な観点をもとに対話を重ねていくことになります。

この1年かけて皆さんと『エシカルフード基準』を作ってきましたが、常に軌道修正を恐れずブラッシュアップしていく前提で、精緻化していきたいと思っています。エシカルフード基準が完成しても、そもそも食品メーカーさんの賛同と協力体制が得られなければ社会実装することができない、『エシカルフードアクションスコア』を作ることはできません。できた暁にも生活者に理解してもらい共感してもらって、『エシカルフードアクション』に繋げていくことがとても重要です。

とても壮大なチャレンジであるということは自覚をしていますが、目指したい未来が同じ皆さんと共に活動させていただいているので、不思議とポジティブな気持ちしか生まれないのが、エシカルフードラボのいいところじゃないかなと思います。

久しぶりに皆さん揃っての対話にて、いよいよ『エシカルフード基準』完成に向けてスタートしていくことになりますので、とても楽しみにしております。よろしくお願いします。
芝池さん、ここからバトンタッチをいたします。

(芝池)
瀧田さんからバトンタッチを受けまして、まず、今日、明日のセッションの全体像の位置づけの共有からスタートしていければと思っております。Googleスライドを皆さんと共有します。

今日から全4回のセッションで、『エシカルフード基準』の項目を確定させること、何を満たしていればエシカルフードとして紹介をしていくのかのしきい値を決めることを皆さんとご一緒していければと思っています。まず今日、明日に関しては、有識者の皆さんとの対話から『エシカルフード基準』としての項目と、しきい値を設定するというところまでいければと考えています。

それを踏まえた上で、2月18日の食品メーカー・流通の皆さんとのセッションで、直接フィードバックをいただいて、それを元に、2月25日の最終セッションを行い、項目としきい値、『エシカルフード基準』を確定させていければと考えております。

今日は、『エシカルフード基準』の項目、しきい値を設定するということで、目的と進め方を共有させていただいています。この後またチェックインでひと言ずついただき、事前に皆さんから頂いた「2022年度最低限満たしておいてほしい項目」のフィードバックを共有し、その内容について、全体対話をして検討していければと思っています。

その上で、事前に頂いたフィードバックを受けて、事務局で項目のアップデートをしたところがあるので、そこに問題がなければ、改めて「2022年度最低限満たしておいてほしい項目」に〇をつけ直していただき、それを踏まえた上でどこをしきい値とするか、できる限り対話を深めていければと思っております。

進め方に関してご質問などある方いらっしゃいますでしょうか。

では、皆さんが一同に会するのは久しぶりということで、簡単にここ最近「こんな感じなんだよ」というような近況とセッションに向けての期待を共有していただくところからスタートしていければと思っております。

ではニコニコ笑顔の山本さんからお願いします。

(山本)
ご存知の方も多いと思いますけども昨年8月に交通事故に遭いまして、骨折しました。もうリハビリも完了して走っておりますが、その頃ペンディングになった出張がどんどんと押し寄せてきていて、先週末から岩手に行ってその足で今度は佐賀に2泊3日とかですね、いろいろと撮影をしたり記事を書いたりとかやっています。

実は「エシカルフード」という書籍を書いています。その編集者から今週の金曜日に初稿を入れますと言われていて、実はあと2章ぐらい書かなきゃいけないので死にそうなのですが、皆さんの話も参考にさせていただきながら執筆したいと思います。

(中岸)
事務局の中岸です。有識者の皆さんのセッションに参加させていただくのは私も久しぶりなのですが、事務局側での『エシカルフード基準』を作るセッションにこれまで参加させていただいたりしながら、やっとここまで来たなという感じがしています。項目も一度拡散し増えて、収束してきた段階と感じていますので、今日もすごく楽しみです。

(藤田友紀子)
ご無沙汰しております。初めて皆さんとお会いして、もう1年なのだなと思いました。エシカルのことを考えながら、私自身お店のことに携わりながら、アップデートしながら、勉強しながら、この1年やってきました。

最近、テレビやイベントでも例えばNHKで平飼い卵のことをやったり、エコプロダクツなど、エシカルなものが取り上げられることが増えました。展示会でも環境省がエシカルについて語っていたので、エシカルとかSDGsといった単語がどんどん走り、消費者がそれについてきて、そこにまたメーカーさんがついていくといった、小走りに少しずつ浸透してきているなという実感があります。

お店としては今月閉店したり、リニューアルがあったり来月1店舗オープンしたり、コロナ渦でいろいろありましたが、前進していけるよう、皆さんと勉強して進んでいきたいなと思っています。

(須賀)
ご無沙汰しています。ようやくここまで来たなと感じています。議論の土台となるドラフトを数ヶ月にわたって作ってくださったことに感謝しています。

私自身は個人的には大きな動きがありまして、昨年秋に長年在籍していました料理通信社を退職して、食を通じたESDデザインをテーマに小さな会社を立ち上げたところにあります。

これまでのご縁にも支えられて、教育機関や自治体、食品メーカーと連携しながら持続可能な社会の担い手づくりとか、街づくりという切り口で関わらせてもらう機会をいただいています。

また料理通信での取材でご縁が始まった徳島県の神山町という中山間地で、この春立ち上がる食農教育のNPOにも理事として参加することが決まっていまして、そこでESDの視点を取り入れた体験プログラムの開発に携わる予定でいます。

あとは研究員として所属している慶應の大学院で小中学生の生徒を対象に、社会課題をテーマにした研究をわかりやすく伝えるといったオンラインプログラムの実装に向けて動いています。そういった形で神山や大学院を含めてフィールドをまたいでESD推進の活動を続けたい年にしたいと思っています。

(佐々木)
久しぶりの方が多いですが、秋からのドラフトづくりセッションを重ねて大変だったのですが、ここまでやってきたなっていう感じがいたしております。私の2021年は個人的に子どもの受験で大変でしたが、やっと落ち着きました。もう1つやっぱり大きな出来事としてはシェフスフォーザブルー京都が立ち上がったということで、視察や勉強会で月2回ぐらいのペースで京都に通う生活を続けています。このセッションを含めて、いろいろエンジンかけていきたいと思っております。

(瀧田)
これまで、皆さんと『エシカルフード基準』についてたくさんの対話を重ねて、これから全4回のセッションということですけれども、最終的には生活者にいかに共感してもらいアクションしてもらうのか、食品メーカーにどう賛同してもらい協働していただくのか、その二つが乗り越えていきたい大きなテーマでもあるというところで、基準作りをしながらも、この1年間、並行してずっと考えてきました。

いよいよ3月末に生活者向けのコミュニケーションイベントの実施と、『エシカルフード基準』のお披露目記者発表会を予定していますが、そこからがスタートなんだなと、ひしひしと責任も感じつつ、楽しみでワクワクする、ふたつの気持ちが同時に存在しています。

(河口)
皆さんいろいろな変化があるんだなと思って聞いていました。私は、今日午前中も商社の食品部門でプラントベースドフードの社内新規事業立ち上げをやっている人と話をしたりしていて、やっぱり食の未来を考えるということで情報発信をしたり、ちょっと本を読んだりなんていうことをしています。

食に関して言えばいろいろなところでエシカルについて話す機会が増えている中で、Tカードでこういうことをやっているというと、全員が全員なんと素晴らしいと言ってくれるので期待値はどんどん上げまくっています。「よくそういうことをやるようになりましたね」など評判が大変ポジティブです。

だからますます責任重大になっているというのと、皆さん食品会社だとか関係するところは大変協力的になると思いますから、そういう意味では追い風かなということで、今日も期待しております。

(井出)
セッションは久しぶりですけれど、いろいろやって頂いていたというのはずっと聞いていましたので、本当に関わった皆さん、ありがとうございました。

私は、2020年に本を3冊、2021年に3冊出し、その中の1つが6刷になりました。それで取材や監修を頼まれる中で、エシカルという言葉を聞くことが増えてきたと思います。講演が今月に入ってから、滋賀の大学で、明後日は静岡に行くのですけれども、農産物をロスにしない加工方法を頼まれています。三ケ日みかんとお魚という話でこのプロジェクトとも関わるかなと思います。

あとは、東大の農学部の広報の仕事を毎月やっていて、広報誌の卒業生ページを担当しています。桝太一さんが日テレをやめて同志社大学に移られるというニュースを見て、桝太一さんは東大出身なので、桝太一さんに広報誌の掲載をお願いしたいと投稿したら、数分で紹介しますという人が出てきて、今ちょっと興奮状態です。

わかりにくいことをわかりやすく伝える、3.11のときも科学分野をわかりやすく伝える人材が必要と思っていたので、今回の桝さんの民間からアカデミアというのは、若い人にとってもいいキャリアチェンジだと紹介したいなと思っています。

(ペオ)
ここは私たちのジャングルオフィスでザンビアのバナナペーパー工場にいます。竹の高さでモバイルWi-Fiをつけてアンテナを作っています。超マニュアルでできているので、通信があまり良くないんですよ。だから途中切れるかもしれません。最近の2ヶ月間でザンビアに行ってここではバナナペーパーを作っています。フェアトレード認証の紙。CO2を排出より吸収する量が多い紙です。
今回のこの『エシカルフードアクションスコア』に期待することは、インサイドアウトと、アウトサイドインがあります。インサイドアウトは、今日から何ができるかを考えて行動する、あとで結果がわかるんですけれど、アウトサイドインが足りていないと思っています。世界の状況を理解した上で、今日から何をすべきかということ。そこはやっぱりこのバナナペーパー工場の活動の鍵でもあるし、スウェーデンやヨーロッパの動きも含めて、『エシカルフードアクションスコア』にちょっとでもその遺伝子が入ればいいなと思っています。

向こうにソーラーツリーがあります。100%ソーラーで賄う工場で今みんなで準備中です。16名がここで働いています。貧困層のエリアに住んでいて、先ほどのプロダクションリーダーのジョナサンも、「先月人生で初めて綺麗な水ができた。いつもかなり汚れている水しか取ることできなかったのが、井戸を掘って、そこできれいな水ができました。」と、こういったのも、バナナペーパーの利点の一つです。

(平井)
皆さん、お久しぶりです。ぺオさんにも登場していただいた食の学校フードスコーレというのを、約1年間やってきました。今、生徒数が300人ぐらいいますが、今年中に倍にはしたいなと思っていろいろ仕込んでいる最中です。
オンラインスクールが食に限らず、いろんなテーマで広がってきている中で、そもそも人間は何で生きているのだろうとか、そういう哲学的な考えに立ち返る人がすごく増えてきたなと思っていて、環境によらずですが、そういうときの学びの意義みたいなものから今考えているところです。

フードスコーレとは別に、都内の高校で授業をやっているのですが、もうすぐ卒業式を迎える3年生との最後の授業でした。もう生徒と僕、大泣きしてしまって、この時期は毎年いろいろな学校で泣くというのが僕の中であります。涙腺が緩んでいます。
やっぱりそういう学校の現場にいるとプロセスが大事だなと思っていて、結果はもちろんすごく大事ですけど、例えばこういうセッションでも、どうやってその結果に辿り着いたかというプロセスをいかにいろいろ回り道できるか、寄り道できるかで、それを楽しめるかところかなと思っています。いかに批判しながら、それを創造性にもっていけるかっていうところだと思っています。
あまり人の言うことを鵜呑みにせずに、いちいちちょっと突っかかったり、批判的に見てみながらも、前向きに皆さんと建設的な議論ができたらなと思っております。

(森枝)
いつも批判的なこと言って話を止めている森枝です。12月は渋谷のお店も人の出が良くなってやっとと思った矢先、1月にこんな感じですね。平日はすごく厳しい日が続いていますが、週末は動きが良い感じです。最近の話でいうと去年から大豆ミートや代替肉についての取材が多く関心がすごく高くなっているんだなというのは、とても感じています。

(中西)
お久しぶりです。ドラフトをまとめていただい皆さん、ありがとうございます。私達の会社はちょうど1月に日本酒を出しました。発酵をテーマに入れながら初めて出したのですが、かなりいい動きがあります。日本のものが出ると、食品の動き方が改めて違うというのを実感したところでした。

今は食品事業と農業について、国内でどんな形で貢献できるのだろうかといろいろ考えていて、農水省の方にもお会いしたりとか、ちょうど若手の方たちがやっている「霞ヶ関畑」のほうでも携わったりしています。「緑の食料戦略」を担当している方たちとの意見交換でしたり、どうドライブかけられるか、手探りをしているところです。

個人的にはちょうど去年はAdobeさんと有機農業の面積をどうやったら増やせるかをテーマに、農家さんや大学生と農業の話をする、壁を越えるようなアクションを取ったりしていました。

また、自分たちが異分野交流でもっと研究をしたかったという大学生たちが集まってNPOを立ち上げて、高校生に研究の機会をつくる活動をしている学生たちがいます。今年「水」をテーマにいろいろな研究者を繋げながら、大学生が高校生にそういったプログラムをやるためのバックアップでお手伝いをしていたり、若い方たちが動けるようにというところも、サポートしています。

(藤田香)
私の近況としては、生物多様性をずっと追ってきているので、今年はCOP15があり、ポスト2020に向けて国の委員会があちこち立ち上がっていて、そういったものに参加しながらインプットなどをしています。

例えば次期国家戦略の委員会だとか、それから生物多様性のISOの委員会が立ち上がったり、あとはポスト2020のために発足した普及啓発委員会などですが、ここで議論している内容などもいろいろと整合性を取りながら、皆さんにもお伝えできたらいいなと思っています。

ちょうど環境省で次期国家戦略の議論をしているところですが、経済活動の話をすると、企業と消費者でよく卵が先か鶏が先かの話になりますよね。消費者が動かないから企業が動かない、企業が動かないから消費者も動かないというふうに。とくに日本の消費者はおとなしいので、声を上げにくいという話がありましたけど、「消費者の行動変革をするためにはこうしたほうがいい」、「企業のサプライチェーン全体での生物多様性への負荷を減らすためにはこうしましょう」という両方が議論されているので、そういったところも今後いい議論になっていければいいなというふうに思っています。

あとはこの自然の分野では、TNFDといって投資家に向けて自然の情報を企業が開示していかなきゃいけないことが来年始まるので、今年そのパイロットが国際的に始まります。この分野とも関係してくると思いますので、またそういったこともインプットできたらなと思います。

(湯浅)
セッションは初めて参加させていただきます。昨年の11月中旬にエシカルフードラボにジョインさせていただいて、皆さんのこの1年間のいろんな議論の軌跡を拝見させていただきました。どう世の中に浸透させていくか、また企業の皆さんにもご賛同いただくことがすごく大切なのでそこに注力をしたいなと思っています。

1月中旬にラボが主催しているエシカル消費研究会があり、そこにいろんな食品メーカーや流通企業の皆さんからラボの取り組みについてご意見をいただきました。やはり社会的に取り組んでいかなければいけないと皆さん仰っていました。ただ1社ではできないことなので、生活者をどう巻き込んでいけるのかに期待しているという声もたくさんいただいておりますので、今年については『エシカルフード基準』『エシカルフードアクションスコア』の浸透をやっていきたいと思っています。

(深井)
私は皆さんとの取り組みが、エシカルに関すること全てですが、別の仕事でスタートアップ起業のアイデアをデータで支援するというプロジェクトをやっており、先日その審査員をしました。そこでフードロスを社会課題として考えている学生さんが応募されており、そのピュアなフードロスへの思いをぶつけられて、改めてことの大切さを身にしみて感じることができました。それがちょうど1月なので、改めてこのプロジェクトを皆さんと一緒に進めていただけることに帯をしめさせていただき、一緒にできたらいいなという思いを更に強くしました。

(有福)
事務方としてドラフトをまとめていくというところを、山本さん、佐々木さん、藤田友紀子さんと結構な回数を重ねてやってきました。皆さんもいろいろ見ていただいたりしましたけども、3月末にいよいよ社会に出してくというところで、今年は皆さんと一緒に生活者、メーカー、社会を変えていくという具体的な動きになっていくんじゃないかなと思っています。その第一歩になる今日1日だと思っていますので、非常に楽しみにしております。

(芝池)
皆さん、ありがとうございました。では、年末に有識者面談で個別に面談をさせていただいたものと、事前フィードバックにて〇をつけていただいていましたが、そこでどんな話があったのか、改めて共有していければと思っています。

まず『エシカルフード基準』策定と『エシカルフードアクションスコア』構築までこの後どう進んでいくか、全体像のところをおさらいで瀧田さんから共有していただきます。
また、有識者面談のときに皆さんからしきい値についてのご意見をフィードバックいただいたので、それを踏まえて今回のセッションで決めていくにあたり、事務局で考えたしきい値の考え方を共有できればと思っています。

3点目に、有識者面談で項目についていろいろフィードバック頂きましたので、それを踏まえて、事務局でどんなアップデートを検討しているかの情報共有と、あとは皆さんに事前フィードバックで〇をつけていただいたときに、コメントを書いてくださっていた部分もありましたが、どんなコメントがあったかを全体像として共有していければと思っております。

ではまずトピック1つ目、全体プロセスのところですね、瀧田さんからお願いします。

(瀧田)
画面共有をお願いします。
チェックインで私も含めて何人かの方からお話が出ていましたが、今年はいよいよ社会実装に向けてどう世の中を巻き込んでいくのかという年になるかと思います。そのロードマップも含めて、あとは協働していきたい食品メーカーさんの温度感も含めて共有させていただければと思います。

おさらいとなりますが、『エシカルフードアクションスコア』です。
より良い消費行動を選択する生活者の指標やモチベーションとなることが目的です。
先ほどの話にもありましたけれども、生活者が変わると企業も変わるということで、社会におけるマルチステークホルダーに活用してもらえるような、消費の潮流を変えていくことにチャレンジできるような、そういうスコアを目指しています。

『エシカルフードアクションスコア』構成ステップです。現在、基準の精緻化をしています。セッション、メーカーさんのテスト採点、有識者の皆さんだけではなく、メーカーや流通の皆さんにも入っていただいてしきい値を決めていきます。

メーカーのテスト採点と、この基準・しきい値セッションについては、並行して進めながらそれぞれの観点を取り入れてブラッシュアップをしていく進め方になっています。『エシカルフード基準』ができた暁にはメーカーさんに採点していただき、商品データベースにエシカルフラグをつけて、その商品を買っていただいた購買履歴を集計して生活者にスコアを付与、見ていただくという流れになります。

エシカルフードをどう広め、共感を得て仲間を増やしていくのかということが非常に大切になってきますが、『エシカルフードアクションスコア』の実現においては何回もお話させていただいたように、食品メーカーさんに採点をいただくことになります。まずはメーカーや流通の皆さんの賛同を得るということが非常に重要かなと思います。その上ではじめて『エシカルフードアクションスコア』を社会実装することができて、生活者とのコミュニケーションがスタートできるということになります。

ただ企業に動いてもらうためには、生活者からエシカルフードの認知、理解、共感を得る必要があり、世の中の空気作りがとっても大切だと認識しています。

今後のスケジュールで言うと3月初旬に『エシカルフード基準』を完成させ、そこから生活者向けのコミュニケーションも開始していきたいと思っています。3月25日から3日間、エシカルフードをまず知っていただく、ノンエシカルフードとの対比の中で、どういう観点が大切なのかということに興味持ってもらい、理解をしてもらうためのリアルイベントと、それを受けてのオンラインサイトを立ち上げようと思っています。また、3月30日には『エシカルフード基準』のお披露目記者発表会を行います。

4月以降についても、企業と生活者向けコミュニケーションを連続的に行っていくことが重要だと思いますので、そのプランニングをしています。『エシカルフード基準』をお披露目した後も様々な観点からご意見を頂くことになると思いますので、一度決めたことだからと修正することを恐れるのではなく、どんどんブラッシュアップのために取り入れていくということも忘れないようにしたいと思っています。

ここからは食品メーカーさんにおける課題を共有したいと思います。少し共有させていただいたことがあるかもしれませんが、包括的にお話するのは初めてかなと思います。この1年間主に大手食品メーカーの皆さんと対話を重ねてきました。最終的には協働関係を目指したいと思いますので、メーカーの皆さんにも取り組むべきだと思っていただき、エシカルフード市場創出に向けて共創していくというマインドになって頂けたら理想だと思っています。ただこの1年間で見えてきたことは、課題がすごくたくさんあるということです。

一つ目は、消費者が動くイメージが持てないということです。なぜなら日本にはまだエシカルフード市場がないからです。『エシカルフード基準』を元に採点するという大変な労力をかけて協働していくのにメリットが少ない中で、それを企業としてどう位置づければいいのかが難しい、事業会社なので労力対効果が重要ですが、それが見えにくいということがありました。

また、エシカル先進諸国の外資企業に見られますが、自社商品を自らエシカルと謳いづらくエシカルフードラボに入り活動することが、思わぬ誤解をうむ可能性もあるという話もお聞きしました。そして、エシカルフードラボが公の機関ではなく民間企業主導であることへの懸念もありました。

エシカルフードの促進を通じて実現したい世界がラボにはありますので、メーカーさんの課題に向き合う必要があります。一足飛びに『エシカルフードアクションスコア』を構築するというよりは、そこに向かってスモールスタート企画をPoC的にぐるぐる回しながら拡張し、まずはβ版の完成につながるとよいのかなと思っています。

次のページは、直近生の声としていただいたことを、よりリアルに共有したいなと思って掲載しているページになります。先ほどもお伝えしたのはこの1年間のサマリです。この1年対話をしてきている中で、どんどん社会にSDGs、ESG投資が浸透していっていることもあり、メーカーの皆さんも意識は変わってきているように感じます。
その上でのこの数か月ぐらいの中で「1社ではできない。でも、国でも社会実装が困難である時に、メーカーと流通と消費者が共に活動することに意味があるので、こういうプラットフォームがあることはありがたい」という声を頂いています。

一方で「一企業の中で社内矛盾を多分にはらんでいるのでリスクが大きいと捉えている。ある商品がエシカルだとしても、残りの商品がエシカルじゃないときに、企業がエシカルな商品を世の中に打ち出していくところに対する批判を恐れている」というお話もありました。

その文脈の中で「そもそも食品なので栄養を安定的に(生活者にとっては安価に)に確保できる価値や健康価値の提供が優先される。エシカルについては当然やらなくてはいけないと思っているので、2030年、2035年といったいくつかのステップでたどり着こうと思っていて議論をスタートさせ、計画も作り始めている。ある年にそのプロセスの過程を切り取って評価されるというのはあまり本意ではない」というご意見もいただきました。

そして「なぜ民間企業であるCCCのプラットフォームに参加するのかの理由が明確に見いだせない。同じことを国がやっていれば参加する可能性はあるけれど」というお話もありました。

最後に、今回の『エシカルフード基準』の、特に「企業評価」項目はESG投資の評価項目と連動していますが、その開示についても「公開タイミングを図りながらやっているので、先行して公開されてしまうとリスク。企業のマネジメントの中で公開されるべき」というようなご意見がありました。

ということで、先ほど申し上げたように賛同してくださる数社のメーカーさんとPoC的にスモールスタート企画でとにかく形にして世の中に問うてみるというところから始めていきたいと思います。メーカーさんも2:6:2の法則で、まずは2割のメーカーさんにいかに賛同して頂き、徐々に協働できるメーカーさんの数を増やしていけるかが『エシカルフードアクションスコア』を完成させていくにあたって大切なことかと思っています。

また、生活者向けのコミュニケーションについてもスモールスタート企画、もしくは先ほどお伝えしたPR企画を通じて、理解促進から共感につなげていければと思っています。

今後についてはこのような形で考えております。この1年はまずは『エシカルフード基準』を作ることをしてきましたが、2月末までのセッションで何とか精緻化、完成させていきたいと思っています。
では、芝池さん、バトンタッチします。

(芝池)
ありがとうございます。冒頭にセッションの流れと位置づけをお伝えし、いま今後のロードマップについて共有させていただきました。ここまでで何かご質問や確認されたいことある方はいらっしゃいますか。

大丈夫でしょうか。今日明日のセッションではしきい値がトピックになってきますが、有識者面談のときにも皆さんにいろいろフィードバックいただきまして、しきい値の考え方をまとめています。多少繰り返しになるかと思いますが、改めて共有しておければと思います。

瀧田さんの話にもつながりますが、『エシカルカルフード基準』は、認証ではなくリコメンドするためのものであり、「全体の底上げ」を狙いとしているものです。しきい値に関しては「企業評価」「フード評価」の大項目ごとに、2022年度最低限満たして欲しい項目の設定をしていくことになります。この2022年度最低限満たして欲しい項目の数が少なくなると、すなわちハードルが低くなるということです。また、この最低限満たして欲しい項目に偏りがあり、バランスが悪いかもしれないと判断された場合には、大項目ごとに何個以上の〇を取って欲しいのか設定する必要が出てくると考えています。

全体のバランスを見ながら皆さんと一緒に決めていくことになるかなと考えています。

その上で「企業評価」「フード評価」ごとに大項目に☆をつけ、「企業評価」「フード評価」合計9つの大項目の中で☆が何個つくとエシカルフードとしてリコメンドできるかをしきい値として設定していくことになると考えています。

この☆の付け方のところですが、元々は、必須の項目すべてに〇がついたものをエシカルフードとして紹介するかしないかというイエスかノーの二者択一として事務局は考えていたのですが、有識者面談のときに、分かりやすさの観点でもう少し幅もあったほうがメーカーとしても参加しやすいのではないかという意見も出て、事務局の方でしきい値の考え方に取り入れている形です。

トピックの3つ目としましては、有識者面談で項目に関してもいろいろとフィードバックをいただいていました。その内容を踏まえて事務局のほうで、項目のアップデートについて検討をしたので、その状況について共有できればと思っています。

まず「企業評価」。「環境」のところでは「環境報告」という中項目が一番上にありますが、これは環境全体で統合報告書として監査を受けているかを問うほうがいいのではないかと指摘をいただいて、それを踏まえてアップデートしている状況です。
続いて「生物の生息域と資源」でも環境報告をCDPに合わせるとすると、森林、気候変動はあるけれど「水」の観点が抜けているのでそれも追加した方がいいと指摘をいただきました。現状、水質汚染に関する項目があるので、水の持続可能な使用に関する項目を追加することで担保できないかというふうにアップデートしています。

また「生物の生息域と資源」。ここで絶滅危惧種を含む野生動物の生息域、生息地破壊に関与していないかどうかという項目がありましたが、関与していないと言い切れる企業はまずないということで、生物多様性に負荷をかけない取り組みをしているかどうか。またそういう調達方針を持っているかというふうに質問項目を変えた方がいいのではないかということで、その方向性で項目の修正を行っています。
未利用魚の利用に関する項目でも、未利用魚の定義が重要だとご指摘をいただきました。特に日本における未利用魚と範囲を指定する必要があるのではないかということで、項目をアップデートしている状況です。

「企業評価」最後となります。「人・社会」の「人権」という中項目の中に抑圧的な政権を持つ国家や国家を不法に占領した地域に事業所があるかどうか、あると×という項目がありましたが、そういう国・地域であってもエシカルを推進するために頑張っている動きがあるはずで、そこに事業所があるだけで×になるのはどうだろうかという指摘がありました。確かにその通りということで、削除の方向で検討しています。

続いて「フード評価」。「調達」で2項目あります。

未利用魚の利用は「企業評価」に入れていますが、「フード評価」にも入れていいのではないかと指摘を受けまして、これを「倫理的認証を有する製品の使用」に項目とし追加をしています。

次にパームオイルの調達ではRSPO認証のどのモデルに該当するかを問うほうがいいのではないか、また、元々は原材料についての質問だけでしたが、製造工程における油の使用も含めたほうがいいのではないかとご指摘がありました。同時にそもそもRSPO認証のパームオイルを使いたくても現在供給が追いついてないので、RSPO認証と同等の自社独自の取り組みもきちんと評価できるようにしたほうがいいと指摘をいただき、それらをすべて反映する形でアップデートしています。

続いて「包材」ですね。ここは持続性と環境に配慮した包材として、FSC認証を挙げていましたが、FSC以外にも対象となる認証があるとのコメントをいただいて、FSCは例示の一つとして、第三者認証を取得し持続性と関係の配慮が明確であるものを使っているかどうかという表記の修正を行っています。

「表示」のところはアレルギーに関する表記もありましたが、そもそもアレルギーは開示が義務付けられているので削除しています。また「製造」に賞味期限、消費期限の延長努力を問うような項目がありましたが、「製造」だけではなく「表示」でも年月表示への切り替えについての項目があっていいのではということで、追加を行っています。細かい項目の内容に関しては後ほどエクセルのシートでもお見せできればと思います。

今ご説明したのが、アップデートを反映している項目となります。
それ以外にも、今まだ対応検討中の内容として、定量的な数値目標や例示はなるべく具体的に示したほうがいいということで、再生エネルギーの積極的な利用の数値目標、グリーンウォッシュや倫理的に配慮された畜産物の具体例を記載した方がいいというご指摘をいただいています。ここはどういう表記にするといいか、どれくらいの数値で示せばいいかを、まだ検討中となり、反映はできていない状態です。

もうひとつ、大企業だとCDPの質問書に回答していたりしますが、企業負荷を下げて参加のハードルを下げるためには、そういった他の仕組みや認証と相互乗り入れをする必要があるのではという話もありました。一方、中小企業にとっては今の項目だとハードルが高いことが考えられるので、レベル感としては環境だと「エコアクション21」くらいのものを参考にするといいのではないかというご意見をいただきました。全体に関わるところなので、まだ対応については検討中という状況です。

有識者面談での皆さんからのフィードバックとアップデートの状況に関して、瀧田さん、有福さん何か補足はありますか

(瀧田)
網羅されていると思いますので、特に補足はありません。皆さん、どうでしょう。頂いたご意見が反映されているイメージがあるでしょうか?

(藤田香)
少し気になったのが、FSCやRSPOのところで第三者認証取得に広げてしまっていいのかどうかです。例えばRSPOも同等の取り組みを示すのはいいと思うのですが、例えばISPOやMSPOみたいなインドネシアとかマレーシアの自国の認証の話や、紙の場合は、環境NGOのWWFは「PEFCだって違法伐採紙が混ざっていることがあるから認めない」ということで、オリンピックの基準作りの時にも議論になりました。魚のMELなども今また国際基準と整合性を取り始めて変わってきつつありますが、オリンピックの基準作りではすごい議論になったんですね。パームオイルもRSPO認証はまだいいけど、インドネシアのISPOとかマレーシアのMSPOがオリンピックの基準に入っていたので、そうするとまずいのではと、最後まで協議がされていました。

紙もやっぱPEFCが入っちゃうと混じるのではないかと。一方で、PEFCを使っている企業でしっかりやっている企業さんもいるのでそこを足切りにしてしまうとどうなのかなとも思います。かといってエシカルフードラボの『エシカルフード基準』はFSC以外のPEFCも第三者認証でさえあればいいのねと取られてもいいのかとか。国際認証とか第三者認証をどこまで入れるかを明記しておかないと、企業さんが回答する時にばらつきがでます。ここでいう第三者認証あるいは同等の認証というのは何を指すかを示さないといけない、と思いました。

(ペオ)
ありがとうございます。まず国際認証は、フェアトレードを忘れないでください。これは多分、今日本で最も進んでいる認証とされています。ヨーロッパ紙協会によると認証されていないヴァージンパルプというのは1キロあたり10キロ以上のCO2排出量があるし、WWFジャパンのデータによると、日本でのコピー用紙の5枚のうちの1枚はインドネシアから第三者認証されていないものですので、生物多様性に対しても非常に大きな被害があります。ですから第3第三者認証は非常に大事ですね。運転免許証と同じ。ただ、確かにどの認証を選べばよいかはある。私は、最初は幅広くて良いと思います。国際的に認められる第三者認証システムならほぼ何でも取り入れていいと思います。最初は。そこからどんどん厳しくなってもいいと思いますけどね。

(河口)
CDPを入れるとついていける企業がどれだけあるのかしらと。上場企業の一部の話なので、難しいことを入れるとあまり該当しないのでは。多くの企業が難しそうだと思ってしまう懸念があります。

私のポイントは、企業さんとの対話の中ででた課題に対して、みんなが参加できるようにするにはどの辺をしきい値にしたらよいかという戦略的な考えが大事になるなと思います。

8割なのか、6割なのか、2割でいいのか。広く参加してほしいとなると低めにする必要があります。だからペオさんが仰ったように国際認証があるなら、まずはひとつ当てはまればいいのではないか、など最初はハードルを低くしてそのうち段々上げればいいとか。そういう前提で基準を作るのか、それとも厳しいところで決めてやるのかで、皆さんの考えが変わってくると思います。

でも、実際の企業の声を聞いていたら難しいことが多いと感じます。食のサプライチェーンはすごく分断されていて、私は食品製造の会社にいてBtoBだから、BtoCのお客さんのことが分かっていない部分があります。
BtoCのメーカーは小売の窓口を主に見ているので、消費者のことがわかっていない部分があります。それぞれ自分の目の前の顧客のことしか見ていない傾向。開発部門というのが最上流にあるとすると、お客さんは一番遠いところにあるので5つぐらいレイヤーがあり、実は消費者ニーズを全然わかっていないというシステムになっているようにみえます。
なので、消費者からすると当たり前なことが、食品業界の人に聞くとわかっていないという話を聞いたことがあります。そういう現状を踏まえると、食は非常にドメスティックなタイプの業種であり、ごく一部のグローバル企業はついてこられるだろけど、そうじゃないところはかなり辛いと思います。
逆に地産地消で、認証は取ってないけど、誰がどう見てもエコな作り方しているという小さな会社もたくさんあり。でも北海道の大豆を作って有機で作っていても、マークがついているものもあるけど、ついてなかったりもする。そもそも認証の仕組みは、マスマーケットのためのものもあります。昔は認証なんてなくても自分でチェックできた近いところで物を作っていたから、作り方がわかったけれど今やそこが離れていて。作っている人を見に行けないから、代わりに第三者が見に行ってスーパーで売るときに大丈夫とお墨付きをつけてくれるというものです。一番いいのは生協の産直みたいに自分で行ってみること。それなら認証はいらない。本当はそれがベストなんです。

だからRSPO認証の代わりに自分で調べるのは大変だから、まず認証でグローバルがあり、ちゃんとやっていることが証明できるかというのがありますよね。

特にローカルなものの場合は、認証を取るのもお金がかかったりするので、そういう食品もたくさん取り上げていくのがエシカルフードラボの使命だと思う。そこも入るような仕掛けが必要だと思います。

だからRSPOみたいにマレーシアとインドネシアからしか買えないようなものは、ある程度単一の基準でもいいと思うし、そうじゃない例えばサツマイモで作った干しいもみたいなローカルなものでも、天日干しで非常にヘルシーだし、CO2を出してないし、そういう地味な食材も、のってくると私はいいなと思っています。そういうものも参加できるように自己認証や何らかの形で取り上げられるといいなと。地産地消型モデルに限るなど、やり方はあると思いますが。

(芝池)
基本的には、今、河口さんが仰ってくださったように、いかに企業が参加しやすくできるか形を整えたいというのが大前提にあります。解決策はまだ決まっていないので、最終的なしき値の見せ方も踏まえて皆さんにお知恵を頂いていければと思っています。

あとは藤田香さんとペオさんからの認証をどこまでにするのかのテーマですがこれに関しては実際に具体案を見ていきながら改善案をいただいた方がわかりやすいと思うので、この後時間を別途とって確認いただきたいと思います。

有識者面談で頂いた観点をどう反映させていくかというのがまずトピックとしてはあり、それに加えて、事前のフィードバックのときに、項目に関してコメントをいくつかいただいており、これもどう反映させていくか皆さんと決定した上でしきい値決めに入っていければと思っています。
「企業評価」では「生物の生息域と資源」で事前のフィードバック面談のときにもいただいた「野生動物の生息破壊に関与してない」というのは難しいのではないかというコメントをいただいていました。事務局の修正案で、カバーできているかご意見いただければと思っています。

「人権」の人権保護については国際基準に基づいたものにした方がいいのではとありましたが、皆さん賛成であればそのように修正していければと考えています。

「フード評価」では農作物や水産物について範囲をどう示すか、「表示」でもご意見いただいたので、ここの部分を合わせてこの後検討させていただければと思っております。

ここまでが有識者面談と事前のフィードバックでどんなコメントを頂いているかの共有です。もしご質問などがなければ、実際に項目ベースでの修正の話に入っていければと思いますが、大丈夫そうでしょうか?

項目の修正に関しては、エクセルを見ながら話したほうがわかりやすいと思いますので、
この後これを見ながら話をしていければと思いますが、1時間半経ち、聞いている時間も長かったと思いますので、休憩してから再開とします。

3時35分から再開をして、藤田香さん、河口さん、ペオさんからご指摘いただいたところをどう反映させていくのか、中身の話に移りたいと思います。お三方以外にも、今までのところで気になったところ、項目をこういうふうに変えた方がいいんじゃないかなど、全体に関して何かご意見があれば、それも踏まえていきたいと思います。

(芝池)
ここから、皆さんから項目に対して頂いたコメントについてディスカッションしていければと思っております。

私のほうで画面共有していますが、Excelのスプレッドシートは基本的に皆さんに〇をつけていただいたところに関して議論がしやすいよう少し加工したものになっています。

順番にいくと、面談でコメントをいただいて、事務局でアップデートした部分に関しては、黄色の網かけになっていますので、きちんと反映されているかと、コメントは一番右端の列に記載していますので、コメントが入っている項目に関してもあわせて確認をしていければと考えています。

まず「環境報告」のところですね。元々4段階の基準を設けていたんですけれども、ここは統合報告書に関してきちんと監査を受けているかという内容のほうがいいのではということで、事務局の修正案で、この黄色の網かけの部分で検討しています。これで皆さん問題ないようでしたら元々の内容を廃止にして、黄色を正としていければと思いますがいかがでしょうか?

異議がある場合だけ声を上げてもらえますか。ここに関しては皆さん、特に違和感なしで大丈夫でしょうか。

(藤田香)
統合報告書はハードルが高いと思います。企業によっては統合報告書を出してない企業もあるし、財務非財務を統合した本格的な統合報告書を出しているところもあれば、特に食品メーカーさんは中小企業が多いので環境報告書、あるいはサステナビリティレポートという名前で出しているところもあり、バラバラだと思います。統合報告書を公表しているという項目では統合報告書を出してないとだめなので、統合報告書でいいのか気になります。

「統合報告書ないしは環境報告書などのサステナビリティに関する報告書を公表している」のように広げたほうがいいと思いました。

(河口)
私もきつすぎると思っていました。これをクリアできるのは、上場しているトップテンぐらいのものなので、やり方としては、一部上場企業でプライム市場に上場するようなところは統合報告書、またはサステナビリティレポートで、それ以外のところは独自の環境情報の提供だとか、小さい会社だと「エコアクション21」とか地域にそういうデータを出しているなど、かなり幅広くしていく必要があると思います。大企業と中小企業を分ける。意味合いとしては何らか環境に関す会社の姿勢と取り組みと内容を対外的に公表できているかということでよいかと思います。

できればそれは第三者認証がいいけど、中小企業で第三者認証としてしまうと大変になるので情報を公表すればOKさらにできれば信頼性確保の取り組みがあるほうがいいというところで、ランク付けができるようにすればいいのではないでしょうか。藤田さん、いかがでしょうか?

(藤田香)
はい。私もそういう感じです。統合報告書とか環境報告書とか、環境に関する公的な報告をしっかりしているというのがまずあって、更に頑張っていれば第三者の監査も受けているという感じでいいと思います。

(芝池)
おふたりのお話を踏まえると、基準のステップの置き方としては、監査を受けているか公表なのかでいいのかなと思います。統合報告書に限定するとハードルが高すぎるとすると、統合報告書は例示として示すなど、対象を決められればと思いますが、どうするとよいでしょうか。曖昧だと企業の人も何を指しているかわからなくなると思うので、限定しすぎず、でも明示的にした方が良いと思います。

(河口)
「会社の環境経営に関する体制方針姿勢、実績と計画などを対外的に公表している」かどうか、まずは環境報告書、上場企業の場合は統合報告が望ましい、はどうですか?

(芝池)
何か一言でうまく言えないですか?

(河口)
一言は難しいと思います。だから統合報告って言葉を選んだのでしょうけど、全部上場企業ならそれでもいいけれど、中小企業のこと考えると、一言で言えるようなものはないので対外的に環境情報を報告しているかというふうにして、あとは説明を加えるなどはいかがでしょう。

(佐々木)
逆にもともとの旧バージョンでは難しいですか?

(芝池)
これは、元々「これって何のこと?」といった指摘があり、つまりこれは統合報告だよねというところから統合報告書に修正をしていた経緯があります。

(河口)
それは、会話をした相手が自分のところで統合報告を作っているからそう思ったのでしょうが、もっとそうじゃないような会社レベルの会社を想定すると、統合報告では無理かなと思います。

(瀧田)
そうすると、元々の項目の基準を生かしながら、環境に対する企業の姿勢取り組みと実績を公開しているかということで、それが統合報告書なのか、サステナビリティレポートなのかを記すということですかね。

(河口)
そうですね。統合報告書はまだ全部で500社とか600社とか。まだ環境報告書のほうが何らか開示しています。一部上場企業の場合は統合報告、サステナビリティレポート、上場していない企業はレポートみたいなものを出しているところもあります。それでも出さないところよりはよいと思います

(瀧田)
そうすると、環境負荷の低減に向けて定量的な目標を含んだ方針というより、大枠の話でもいいのでしょうか?

(河口)
「環境の取り組みについて対外的に公表しているか」くらいのレベルで。本当は目的・方針・体制があって実績報告をしているというところまで期待したいけれど、それはステップ2という感じになるのかと思います。

(瀧田)
今、旧項目と旧基準で言うと基準がAからDまで4段階あります。Aは非常に厳しく、第三者機関の監査を受けるべきということで、上場していない企業にとっては難しいので、皆さんBを選ばれると思います。基準の段階の刻み方としては旧基準のほうが合っているのではないでしょうか。

(芝池)
ここ固めていかないと最後にしきい値の判断ができないと思いますので、分かりやすい具体的なワードの設定まで皆さんと一緒にできれば認識の齟齬がないと思っています。

(瀧田)
環境に関する取り組みについて定量的な目標を含んだ方針を持っており、その取り組み結果を公表している(統合報告書やサステナビリティレポートなど)。

(河口)
上場企業ならそれでいいけれど、非上場企業向けのメッセージはなくていいですか?環境報告書も厳しいと思います。やっていることを何らかの形で対外的に報告するだけでもとてもハードルが高いので、出すだけでなく中身の質はどうなのかという問題はあってもちゃんと毎年報告しているだけでも偉いみたいなところがあるのではと思います。

(芝池)
企業規模によって項目と基準の見せ方をどういうふうにチューニングしていくかがまだ定まってないので大企業向けと中小企業向けで項目を二つに分けて、期待することの中身を分けていく方がよいのかも知れません。

(瀧田)
私もそう思います。エシカルフードラボでは、まず生活者が一般のスーパーで気軽に買えるような大企業の商品の中から少しでもエシカルなものを選択できるというのが大切だと思っています。なかなか売っていないものではなく、日常の中で消費を変える人が多いほど、ソーシャルインパクトが大きいと考えます。その前提に立つとまずは大企業向けとして、追って中小企業にまでこの基準を広げていくという、二つのステップを踏めばいいのかなと考えていました。

今ここでそれを明確にしないと、一つ一つの項目をどの企業規模にフォーカスするかですごく議論がぶれますよね。日本の食品業界の9割以上を占めている中小企業は大切だと思いますので追って基準を作る前提で、まずは大企業向けということで、ここの項目と基準を精緻化していくことでいかがでしょうか?

(河口)
それがマーケティング戦略上問題なければ、その方がシンプルですね。

(瀧田)
皆さん、いかがでしょうか?

(中西)
上場はしてないけれど小さいところでも積極的な取り組みをしているところをプラスで別に評価するっていう感じでしょうか?例えばポイント制みたいな?

(瀧田)
今作ろうとしている基準の中では、「企業評価」は対応できない状況になっています。「フード評価」もおそらく大企業より中小企業の方が実現しやすい項目があると思っていますが、本当に中小企業が〇をつきやすい構造になっているかどうか皆さんに見ていただいたほうがいいかなと思っています。

大企業向けと中小企業向けを同時に作るのはかなり難しいと思いますので、まずは大企業向けをつくるのだと思いますが、この基準が世に出たときに、協働したいと仰ってくださるよう中小企業の皆さんとどう連携していくのかは課題が残ると認識しています。

(河口)
出し方としては、まずは大企業向けと伝え、中小企業でもちゃんと取り組んでいるところはたくさんあるので、どんどんこの基準にアプライしていただくのは良いなと思います。
まずは、体力的に取り組めそうな大企業向けにこれを作っています、と。

皆さんからフィードバックを得つつ中小企業の方たち向けの異なるバージョンをこれから作りたいというメッセージを伝えるのが良いかと思います。たしかに大企業向けと中小企業向けを同時に作るのは難しいので、段階的にやっていくことをお伝えしていくと良いと思います。

(瀧田)
そうですね。そう思います。

(芝池)
それでは、まずは大企業向け、中小企業に関しては追って整備し、コミュニケーションしていくという前提で、この基準を見ていただければというふうに思っております。

(藤田香)
先ほどの「環境報告」のところですが、回答する企業さんにホームページでの公開でもいいかと聞かれるような気がします。だいたい統合報告書やサステナビリティレポートはPDFで出してはいますが、統合報告書やサステナビリティレポートでは方針の大枠だけ記載し、定量的な目標など詳細はホームページを参照とする企業さんが増えているので、ホームページでの公開もあるのかとなりそうです。

(芝池)
では「環境報告」は少し修正し反映する形にできればと思います。
続いて、藤田香さんからのコメントにあった「野生動物の生息域破壊に関与していないかどうか」という項目について。関与していないと言い切れる企業はまずないということで、生物多様性に負荷をかけない取り組みをして、「関与してない」ではなく「生物多様性の方針に基づいてちゃんと調達を行っているか」という形で修正するといいかと思っています。これで事務局がご指摘の意図をとらえられているか、皆さんにチェックしていただければと思っております。
(瀧田)
「生物多様性」については、おそらく原材料調達に一番関与するというコメントもいただいていて、このように修正しています。藤田さん、いかがでしょうか?

(藤田香)
そうですね。「関与しない」というのがちょっと厳しいと思ったのは、関与してない企業は多分ゼロだと思うので、サプライチェーン全体で生物多様性への負荷が少ないか、負荷を低減させる取り組みをしている、というふうに変えたほうがいいのではというつもりで書きました。

(芝池)
「サプライチェーンマネジメント」の中にある調達は人権寄りになっているので生物多様性の保全という観点だと、「環境」の中にあったほうがいいとお話をお伺いしていて思いました。

(藤田香)
そうなのです。サプライチェーン全体で自社がどこに一番負荷を与えているかを確認し、そこへの負荷を減らしていくという取り組みなのです。具体的にはやはり調達方針を持っていて、特にマテリアルな品目については目標値も持っているとベストだと思います。

(芝池)
そうすると「方針に基づいて取り組みをしている」だけだど、ざっくりし過ぎるので、マテリアリティの設定をここに追加した方がよいですか?

(藤田香)
ただ、企業の方針を見ると、必ずしも調達にばかり着目していない企業さんも多いです。例えば自然保護団体に寄付をしているとか、森林植林活動などが生物多様性保全の活動だと思っている企業さんが圧倒的に多い。サプライチェーンでの調達、サプライチェーン全体で大きな負荷をかけていないかという観点は入れたいと思います。
サプライチェーン全体で大きな負荷をかけている部分をちゃんと確認して、そこへの低減を図る取り組みをしている、まで書き込めるんだったらそれでもいいと思います。

(瀧田)
では、藤田さんが仰った観点を入れて、その中ですごく大切な調達のことを切り出して残しますか?

(芝池)
そうですね。踏み込んだ内容はあったほうがいいかなと。もしこの表現で問題なければ。

(中西)
確かに保全の取り組みだけじゃなく、調達に関することが入ると、取り組みが指しているものが、保全系の取り組みなのか、調達系の取り組みなのか、分かると思います。その上で調達のことは抜き出されるというほうが、望ましいと思います。

(瀧田)
サプライチェーン全体でという言葉をどこかに入れたほうがいいわけですね。サプライチェーンでやるべきことはサプライチェーン全体での生物への負荷を低減する取り組みをしているということ。その低減する取り組みはいろんなやり方があって一番大きいことは調達。

(芝池)
「すべての原材料調達」ここを変えると解決したりしますか?

(河口)
これは無理でしょう。いろいろなものを調達しているのですべてというと難しく、うちの会社だってカカオとパーム、それから大豆が主な原料ですが、方針を作った2016年以降、具体的な計画としては2年後にまずパームオイルとカカオができ、さらに2年後に大豆ができたというスケジュール感です。他の大量に使わない原料いわゆる小麦やひまわり油とかになってくると、なかなか手がまわらない。なので「主要な」とか基本マテリアルだけの方が良いです。

(瀧田)
いちばん高いAでも、主要なということでしょうか?

(河口)
これ超えられるのは、物理的に4つか5つぐらい。

(藤田香)
「重要な品目」じゃないですかね。調達方針は大きな傘であって、重要な品目についてやることは、調達方針というよりも、例えば目標を掲げるということ。調達方針というのは、その会社全体が持っている調達に対する考え方や姿勢なので、品目に関係なく会社としてあるもの。重要な品目については、調達目標も必ずしも定量とは限らないかもしれませんが、そういう目標を掲げているとか、分けたほうがいいですかね。方針と目標は違うのかなと思います。

(瀧田)
それでは「原材料到達の方針に基づいた取り組み」としておき、実際にどうであるかをいうときに「主要品目について」と言えばいいですかね。

(藤田香)
そうですね。一番に方針を持っており、保全や調達などで生物多様性保全への負荷を減らす取り組みを行っている、などに変えるとか?

(瀧田)
この中に原材料調達の方針も含まれるということなのですけど、それを明示しておき、さらに実際に行っているかという項目を別出しするという感じです。

(藤田香)
それでもいいと思います。生物多様性の負荷低減の取り組みを行っている、公表している、両方入っているといいと思います。基準を他の項目と合わせたほうがいいです。他の項目でも「方針」と「取組」と「公表」が3つあるからそこを明確に示せればと思います。

(芝池)
元々の構造としては、取り組んでいてきちんと対外的にも公表していることが一番透明性がある。公表までは行ってないけれど組織の中でちゃんとPDCAを回してやっているのが次のレベル。方針を決めて取り組みますと言ったけど、その後何もアップデートしていないこともあり得るかなというふうに考え1回方針を決めてもやりっぱなしではなく、ちゃんと実直に取り組んでいるかを見たいという話をしていたのですが、それがなかなかうまく伝わりにくい表現になっているということですね。

(藤田香)
今の説明を受ければわかりますね。他の「汚染と廃棄」や「気候変動」もそういう構造になっているのですよね?

(瀧田)
ペオさんが手を挙げていましたが、ここに関して手を挙げた感じですか?

(ペオ)
そうです。ついていけてないところもあるかもしれません。申し訳ありませんが、これは企業全体か、商品の作りに関するマテリアルのことですか?

(瀧田)
これは企業全体のお話です。調達は、自社だけではなく、サプライチェーンも含めてきちんとやりましょうということになっています。

(ペオ)
ヒントになるかどうかわかりませんが、フェアトレード認証のシステムの中の一つはフェアトレードタウンかシティがある。そこでは、町自体はある程度までフェアトレード認証のものを調達しないといけない。例えば5%や10%かとかで判断するんです。

(瀧田)
ということはつまり、何か数値的なそういう指標を持ったほうがいいということですか?

(ペオ)
最終的にはそうですね。例えばカフェやレストランが実際に調達したコーヒーなら基準のいくつかはもう既にやっているということがある。なので、それは近道になるのではと思う。システムを管理するためとか、FCSでもそう。

(芝池)
今のペオさんの話は「フード評価」の方で細かく具体的に入れているので、そちらでカバーできそうです。ここは生物多様性保全というトピックに関して企業がどう取り組んでいるか、その中に調達という観点もあるということで、生物多様性に重きを置いたほうがいいと思いました。

(ペオ)
二つあるんですよね。エコロジカルフットプリントと、エコロジカルハンドプリント。フットプリントは負担を減らそう。森林伐採に関連する森、インドネシア産とか、気をつけましょう、減らしましょうということ。認証されてないものを選ばないようにしましょう。

エコロジカルハンドプリントは、良いものを増やそうということなので、森を守っている、人権も守っているというのを積極的にやっているよというのは両方を意識したほうがいいかなと思います。

(芝池)
もう1回項目に戻ると、項目の書き方を少し修正したのと、元々調達のところは原材料単位というよりは、サプライチェーンにおいてちゃんと適用されているかということ。

(藤田香)
生物多様性保全の方針にもとづいた調達方針がある、調達方針があり重要な品目について目標値を設定しているぐらいがいいのではないでしょうか。頑張っている企業は調達方針を持っていると思うんですよ。いくつかの重要品目について、例えば目標値を(できるできないは置いておいて)設定しているというのはよりハードルが高いので、「方針もありかつ重要品目について目標値を設定しているということ」が一番高い基準になりますかね。

(瀧田)
「生物多様性の保全の方針に基づいた調達方針があり」と言えばサプライチェーンの話だとわかるので、そこは今削除しています。重要品目について目標値を持って取り組んでいるのは一番高い基準だと思います。次が、調達方針があるということだけでもいいよね、ということですね。

(藤田香)
そうですね。

(芝池)
次に「水」の観点が抜けているというところですね。水質汚染をしないという観点は「廃棄と汚染」の水質汚染防止で入っていますが、そもそも水の持続可能性を高めるという観点が確かに抜けていたので、そこもいろいろ悩んだ結果、水の持続可能な使用を設定し、循環利用、涵養に取り組んでいるという形で項目を追加しています。これで「水」の観点がきちんとカバーできているかどうか、ご意見いただければなと思います。

(河口)
「水」の観点ですが、結構難しいですよね。国内の工場でサントリーなどは独自に森を作って育てて水を守る活動をしています。海外だと水ストレスが高くて、そもそも水があんまりないところも多いので、そういうところでは水をそもそも使わないでとなります。インドでは農作物を育てるときにはその水を撒くときにも、ザーッと巻くのではなく、生えているところの根っこに水滴で垂らして余計な土のところに行かないような撒き方にしていくなど水を節約する方策がいっぱい出てきています。そういうものも水資源保全ということに入ってくると思います。

それから工場のレベルでいうとやはりその食物を作るのに水をたくさん使うので、そこでどのぐらい綺麗にして出しているかです。上場企業だと取水するよりもっと綺麗にして排水していような会社が多いですが、有機物だから流してよいと思っている会社もあるやもしれず、工場における水の管理をしているかどうか。

それから日本では水は循環するから、使ってもそのまま出すので綺麗にして出せば、全体量は変わらないという考え方があるけれど、海外に行くとそもそも水を使う量自体を減らせという考え方もあります。でも日本なので水をなるべく無駄遣いせずに使い、かつ綺麗に出しましょうということかと思います。

水でいろいろなものを洗ったりするので、水のマネジメントが大事かなと思います。工場でのマネジメントと作っている作物ができるような段階での、その地域の水資源の保全、ただそれは種を変えるというのもいろいろとあるでしょうね。その水がなくても育つ間伐について重要なものに他の種の品種を変えて、水は使わなくてもいいようなものにするということも含めて、水のトータルマネジメントができているかどうか。

(芝池)
水のマネジメントは多領域に渡っているので、どう表現するか事務局で悩んでいます。節水の話から涵養まで示していますが、うまく伝わるのか、と思っています。

(井出)
参考までですけれども、イタリアのパスタの大手メーカーでバリラ社というのがあって、彼らは水使用量が2010年に比べて何%削減できました、と数字で示しています。日本では難しいかもしれないけれども、一応サイトのURLをチャットで送ります。

(瀧田)
本来的にはそういう目標数値とセットで示していくことが大切なのですよね。

(ペオ)
それは、水のウォーターフットプリントも計算できると思います。

(瀧田)
数値的な目標を持ち、それを見直しながら、目標達成しているかを入れたほうがいいですか?

(井出)
そうですね。項目として。日本だと抽象的なことになるのかなと思ったんですけど、バリラ社の場合、もう何年も前から、CO2の削減量や、ニワトリに負担をかけないで飼っている卵の使用量などを、全部数値化にして開示しています。海外ではこういう例もありますよ、ということでお伝えしました。必ずこうならないといけないということではなく、事例としてですね。

(芝池)
あとは節水の量もあると思います。使う量を減らすだけではなく、いくつかポイントがある中で何を数値として表されるといいかというところが難しい。そこら辺も含めて、将来的に目標値設定できるようにしていけばいいかなと思います。

(ペオ)
ちなみに情報のためですね、日本人は1人当たり1日に280リットルぐらい使っています。例えばスウェーデン、STSのランキング結果トップの国は104リットル。そういった格差が世界にはあります。

(芝池)
次の項目にいきます。「人・社会」の「人権」の中に、抑圧的な政権を持つ国や地域に事務所があるという項目があって、ここは削除してもいいという意見があります。皆さん、同意いただけるようであれば、削除でいいかなと思いますが、いかがでしょうか? 特に今、異論がないということは削除でも大丈夫そうですね。

「企業評価」についてはこれで全部です。

「フード評価」は、認証の話があります。藤田香さんにコメントいただいていたのは、「倫理的に配慮された農作物の使用・調達」のところですね。JAS有機やオーガニック認証しか出てこないけれども、レインフォレストアライアンス、あとRSPO認証などもあるので、国際的な第三者認証にしたほうがいいのではないかと。パームオイルは別途出てくるのでどこまで含むのかちょっとわかりにくいというコメントをいただいておりました。

認証は、何の認証なのか具体的に示されてないと評価する企業側が判断つきづらいので、事務局では、分野ごとに認証をピックアップするような形で表記をしていた前提がありました。

(藤田香)
ここはただ単に階層がわからなかっただけです。倫理的な認証はどこまで入るのかなと思っただけでした。
全部見るとパームオイルは別だなとか、初めてそこでわかるので上の項目から回答していくとなぜJAS有機しか出てこないんだろうとか、単純にそう思っただけでした。食品やっている皆さんが特に違和感がないのであれば別にそのままでいいと思います

(芝池)
今の話を伺うと見え方の問題も大いにありそうです。

(山本)
この素案を作成したのですが、持続可能な生産方式を採用していることも基準の中に盛り込まれています。JAS有機だけではなく同等性を持つオーガニック認証ですので、そういう意味ではアメリカやヨーロッパのほぼ信頼のできる有機認証は網羅できると思っています。

レインフォレストを入れるというのは、そういう観点があったかというふうに思いました。この認証までは入れ込めていなかったというところがあります。ただやっぱりオーガニック認証にはその生態系の循環を大事にするであるとかそういう思想が入っているので、まず農産物に関してはオーガニックが先決かなというふうに思ってここの位置にあるというところでした。

(ペオ)
これは有機栽培に関することだけですか。

(山本)
オーガニックについてはそうですが、オーガニック以外の部分の話ですよね? 倫理的に配慮された農産物のところは、オーガニック以外でも触れるところはあると思うので、レインフォレストとかそういう認証も入れたほうがいいのかなと思いました。

(ペオ)
エコマーク協会、国際的ですべての第三者認証を集めておられますので、彼らにもとづいた認証ラベルがいいかもしれません。バックアップにもなりますね。

(瀧田)
それはアニマルウェルフェアとかも含めて、国際的な第三者認証を認証する機関で、信頼できるものが網羅的に載っている感じなのでしょうか?

(ペオ)
例えばヨーロッパやアメリカの認証マークがあります。認められるものをまとめてバックアップされていればいいと思います。結局認証は厳しいですから、もう普通免許証と同じですので、免許証がありますよねという話になる。

最初は完璧ではないけど、しばらくはいろんな意見が出てくると思います。それを集めて次の段階に持っていく。私達もみんな人間ですからそれ一緒に持っていくということが良いのではないでしょうか。

(芝池)
それでは具体的にどうしましょうか。

(河口)
これは「フード評価」なので、それぞれの食材にということですが、単一の食材というのはあまりないと思います。これは違うけど、この材料はオーガニックだよとか。やっぱり企業努力としてできるところからやっていくことが大切なので、塩は海の塩を使って、でもメインの大豆は普通みたいなところからでもよく、いろんなやり方があると思います。ただ会社としては頑張ってエシカルに作りたいと思っていたりするので、そこをどうするのか。何かちょっとでも何か頑張っていればいいとか。主原料だけでなく。

現状だと主原料なのかどうなのかも分かりづらく、上の項目から見ていくと混乱します。一体どんな観点なのかというのが最初にわかるといいのではないでしょうか。下の項目まで行けばいいんですけど説明資料のところに我々が考えるエシカルな主原料ということでは、原材料が有機かどうか倫理性でフェアトレード、パームオイルは別に考えているとか、何か説明があると良いと思います。

(芝池)
分け方については、分岐するなど分かりやすくしようという話は事務局でも出ていました。そういう工夫もされるという前提で見ていただけるといいかなと思います。

(河口)
そうすると、まずオーガニックがあり、次に倫理的な配慮があり、その下は何でしたっけ? その粒感も必要です。倫理的に配慮された畜産物・農産物というのと、オーガニック原材料の概念に対する順番や違いなどもわかりにくいです。

(中西)
倫理的に配慮された畜産になると、動物福祉みたいなイメージがあるのですが、倫理的な農産物はフェアトレードが出ていて、なんとなく労働のところは抜けている感覚があって、働いている方たちがどうであるかっていう産地もそうですし、オーガニック認証だけだと、そこまでやれているのか? と思いました。フェアトレードの項目もあるのでフォローできる部分ありますが、その視点もありそうです。

(芝池)
オーガニック、倫理的な認証の部分に関しては、製品にはいろんな原材料が使われていると仰っていた通りで、特に包括的な順番で並んでいるということではありません。

(河口)
ただ、項目を見ると単にオーガニックと、オーガニック&フェアトレードみたいな項目になっているので、回答者が推定する必要のある形になっているので、もっと分かりやすく悩まないようにしないといけないと思いました。

(瀧田)
対象原材料の例示を挙げようとしていますが、それで解決しますか?

(河口)
倫理的配慮とオーガニックの形容詞の関係性がこれではわからないということです。倫理的な配慮だとすると、農産物であればオーガニック&環境・人権に配慮しているもの。畜産物の場合は、オーガニック&環境・人権・動物の権利に配慮しているものとして、その下に環境に配慮しているオーガニックがくるなど。

(ペオ)
賛成します。フェアトレードの場合はオーガニックが抜けても、基準があります。人権、児童労働、生物多様性もあるので包括的ですね。

(瀧田)
この順番には、大きな意味がなかったのですが、包括的なものから見せていったほうが採点する側が迷いにくいということですね。

(河口)
そうです。あとは言葉の定義を明確にしないとどれにアプライすればいいのかがわからないです。

(芝池)
最終的に見せかたを含めてどうするかは考えていきたいと思います。
続いて、未利用魚に関して「フード評価」にもあったほうがいいのではということで、ここに追加しています。あとは養殖魚と天然魚。MSCとFIPおよびASCとAIPというのは分けないほうがいいのではないかというコメントをいただきました。事務局でもいろいろと検討した結果、分けるのが明確でいいのではないかという状況になっていますが、ディスカッションしていければと思います。佐々木さん、どういう前提でこういう分け方にしたのかあらためて共有いただけますか?

(佐々木)
藤田香さんも河口さんも漁業にお詳しいので僭越ですが、素案を作ったものとして説明させていただきます。まず認証という切り口でいうと、魚で信頼できるとされる認証は限られています。

個別の認証を取り上げるのではあればMSCとASCかと思います。あとはBAP。FIPとAIPは認証ではない、プロジェクトなので認証にはカテゴライズできません。
どんなふうにサステナブルな魚の加工品を切り取るべきなのかっていうのは、かなり悩ましいと思いました。もちろん種類は少ないのもよく知っています。ただそれに対して、加工業者もしくは食品会社が目を向ける指針の一つになればいいのかなという思いもありました。

(藤田香)
MSCとFIP、それからASCとAIPだけを認めるというのは全然構わないと思うのですが、MSCで90%とか、FIPで90%など、結構数字が細かく出ているので、MSCとFIPを分けないで、例えばアメリカの大手スーパーマーケットとかの目標値を見ると、MSCおよびFIPで〇年までで90%にするなどの目標値を掲げているところを見ると、それぞれでパーセンテージを設定しない方がよいのかなと思いました。

基準がとても細かい上に、FIPだけで何%、MSCだけ何%というのは細かすぎると思います。MSCも少ない上にFIPはおそらく裾野は広くなると思うので、認証は取れていないけどMSCに向かって頑張っているようなプロジェクトとして認定されているようなものであればそこも含めた形で数字を作ったほうがより現実的なのかなと思いました。養殖も同じです。

(佐々木)
他の農産物と揃えなくてもいいのであれば、認証だけに限らないという方針は私もいいかなと思います。

(河口)
特に日本の場合はこういう取り組みの歴史が浅いので、農産物で有機は昔からやってる人がいたから長い歴史あるけれども、魚の場合は最近取り組み始めたところが多いのでまだ時間が経ってないのでFIPの段階というのもあると思います。

何もしてないところからFIPの段階で頑張っているところを汲み上げ、グローバルに見て日本人は魚をたくさん食べているので、基準は緩く、だけどいろいろと細かく見ていくというような感じでしきい値は低めにしてあげて、だけど段階は結構厳しく見ていくという方針になっていると思うので、下の方の基準はFIPでもいいと思います。

(佐々木)
90%ではなく50%から始めるってことですね。

(河口)
より現実的だと思います。それから魚のところで未利用魚は出てきているけど、地場の魚を大事に使うとかは、中小企業が取り組んでいることが多いから大企業はあまり当てはまらないのかもしれないけれど、地場にある魚で季節に獲れたものをうまく活用している工夫はストーリーとして聞くので、吸い上げるところがないなとかと思っています。

(瀧田)
地産地消的な項目がありましたよね? そこに当てはまると思います。

(河口)
でも、多分そこに当てはまると企業の人は思いつかないのではないでしょうか。5番目のほうに入れた人は、6番目以降どういうふうに入れるのだろうともなるし、これ全部書かなきゃいけないってことですかね。

(瀧田)
そうです。一つのSKUについて、当てはまるものは全部採点するということです。

(河口)
全部採点するのですね。5にマルついて6についてマルがついても問題ない?

(瀧田)
当てはまる原材料と当てはまらない原材料があるので、そのSKUの中で使っている原材料について答えるということになります。

(河口)
5と6の位置関係がちょっと変な気もします。地産地消というのは原材料の一つの特徴なのでそれが5として独立していてあり、6以下はそれぞれ細分化されてさらに細分化されているということを考えると、なんでこういう違いになっているのかなと。

(芝池)
6はあくまでも認証について問うているからですかね。

(河口)
でもそうすると、5は地元といっても同じ県だったらいいのかなとか、どうとでも解釈できるというか、6番の各項目が非常に厳しいのに比べ、あまりにも緩くないですか。

(芝池)
基本的に他もそういうところが結構あって、基本的に企業の性善説に基づいて、皆さんチェックされるっていう前提でいます。

(河口)
地産地消についても同じように、その主要素材の何%の重量ベースとか必要かと思います。

(瀧田)
評価軸が、基準があったほうがいいということですね。ステップが。

(河口)
地産地消の地元で手に入ったらそのほうが楽かもしれないのに、JASもMSCも大変な思いをして調達しているので、5番目はアバウトで点数取れるみたいなことになってしまいますね。

(芝池)
認証に細かく数字があるのは、そもそも認証を取るのには何%以上その物を使ってないと取れないみたいなのが認証の性質としてあるので、6番は結構表記が細かくなっています。

5番は地産地消の認証がないので何%以上使っていたら地産地消で貢献していると言えるのか、50%は良くて60%は駄目な理由が事務局ではその設定しきれないのもあって、ざっくりしています。

(河口)
そしたら気仙沼のサンマは全部5に入ってしまうみたいになりますがそれでよろしいでしょうか。

(中西)
例えば、最初に大企業と中小企業という話もありましたが、中規模のところの人たちは、この地域のものが点数的に取りやすいと思います。大企業が別なところでは負荷がかかっているのですが、ここで地域ストーリーが1個あるとバランスが少し気になります。

(河口)
5番目は視点として悪くないので、入れるのであれば6番目以降があまりにも厳しすぎるので、6番目も2段階ぐらいにしたほうが今の段階ではいいのではと思います。

(瀧田)
皆さんどうですか、この認証についてかなり厳密に設定しています。

(河口)
認証は厳密に設定できてしまうので設定しているけれども、でも認証を頑張っているところに、より厳しいムチがあたり、そうではないところがお咎めなしみたいに見えてしまいます。

(瀧田)
議論をお聞きしていると、項目の粒感を合わせるっていうのもありますし、できるだけ始めやすいような設定というころでハードルを低くしましょうというのもあります。認証の設定がちょっと厳し過ぎるのでしょうか。どこにしきい値を置くかでだいぶ変わってくるのですが、これはこういうステップがあることを示す意味でもいいのかなと思い事務局のほうで作っています。どうでしょうか、皆さん。

(佐々木)
そうですね、認証のところはもう少しハードル下げたほうがいいかもですね。

(河口)
バージョン2、3はここまで行くっていう形で。

(ペオ)
地産地消or認証されているという意味ですか?

(瀧田)
地産地消と認証は別の項目です。地産地消は地産地消の観点があれば○がつけられるのに、認証はかなり細かく厳しくいくつかのハードルが設定されているというこのバランス感についてもどうなのかって話になっています。

(ペオ)
ですよね。だから認証を受けているものはもう運転免許証取っているから、それはマイナスにならないようにした方がいいです。ポイントになるならいい。私の目から見た地産地消と認証は両方ポイントになるのが大事と思います。バージョン2、3は厳しくてもいいけど、とにかく入り口を作りたいですね。

スウェーデンでは20年以上前から教科書を持って、フードマイレージを導入しましたので、例えばCO2の場合はできるだけ地産地消をやろうとなっています。えさは何を食べましたかではなく、何kg食べましたかっていう言い方です。だけど最近はCO2の排出量だけで考えると、地産地消かどうか近いかどうかとなるけど、その運搬とか配達は全体的な排出の1割から2割。8割は生産地の使い方とか森の使い方とかの問題だから、フードマイレージだけで考えると、地産地消はいつもベストというわけではないということがわかってきたんですね。でも地産地消は支えるべきなので、両方ポイントつけたほうがいいと思います。

(芝池)
今よりハードルを下げるとしたら、今90%か50%みたいな感じで結構細かく切っているので、この95%以上みたいな高い数字のところも削除してしまって、間の中間値の50%以上だけ残すか、フル取得しているか独自の取り組みをしてるかが着地になるかなと思っています。

あと変えたくないというわけではないのですが、変えるとしたら結構大手術になるので、項目数が変わると皆さんの「2020年度時点でどこは最低限満たさない」というラインも変わってくるので、今結論を出していかないと先送りにできません。肝心のしきい値の議論が前に進まないことになってしまうので結論出して次に進めればいいなと思います。

(藤田香)
質問ですが、これ「あ」から「お」のなかで、そこから一つ選ぶということですよね。数字が細かく出ているのは、認証を取れるときは50%なのですか?私もペオさんが言うように、認証取れている企業さんは努力して頑張っているから、それがプラスに採点されるべきだと思います。

地産地消があっても全然いいけど認証も取っているところは、プラスアルファの点数もらえるほうが良くて、そのプラスアルファの点数がもらえるときに、一番緩いのはどれになるのでしょうか?

さっきのMSCでもいいのですが、選び方が正直わかりませんでした。FIPとMSCがあったけど、FIPを選ぶとMSCもOKになるのでしょうか?

(芝池)
あいうえおの「あ」が高いレベルになっています。

(藤田香)
FIP以上のMSCを取っている企業さんはどう答えたらいいのでしょうか。

(芝池)
MSCをやっている場合は、50%か90%で「い」か「え」に◯がつきます。

(藤田香)
これはどれか一つを選ぶってことでみんなが◯をつけるのですね。もし「お」を選ばれてしまったらMSCという文字が消えちゃうってことですよね。

(瀧田)
しきい値としては一つを選びます。SKUに対しての採点ももちろん一つですけれども、皆さんが決めたしきい値が「お」だとすると、多い所に◯がついたものについては、どういうしきい値の設定の仕方になるかわかりません。

(藤田香)
「お」以上にMSCが残る記述はどこかにあることになるわけですか?

(芝池)
今の話は、詳細基準を少なくすると前提とした質問ですか?

(藤田香)
これみんなでマルつけて、どれを基準にし、評価基準にしましょうかってことをこれから選ぶってことですよね。「お」が選ばれた場合は?

(芝池)
「お」が選ばれたとしても企業の人にはこのまま見せます。あいうえお全部を見せます。自分はあいうえおのどこに該当するかっていうところにチェックをつけてもらい、「あ」か「い」か「お」を選んでいたら評価されますが「か」か「き」の場合は最低限に満たしてないってことなので評価されないっていうことです。

(河口)
そうすると、「お」が評価されるのはいいんですが、「お」と「あ」ではすごいレベルが違います。だけど「お」の人は評価がいって「あ」になるとプラスになるってことはないのですね?

(瀧田)
今のところそうです。その代わりファクトシートとしてこの採点結果を全部公開するので、消費者もどこまでこれを見るかわからないんですけれども、それを見たら、実際そのSKUがどうであるのか見えることになります。

(佐々木)
毎年か何年かに一度見直す段階でこのしきい値を上げていくという前提で話をしています。企業が採点するときに、今のしきい値はここだけれども、2年後はもっと上がるかもしれないというのはなんとなく頭に残るような構造になっています。階段の付け方をもう少し、河口さんとか藤田香さんがおっしゃったように、もう少し階段を現段階では少なくするのはありだと思います。

(森枝)
佐々木さん、MSC認証を50%使っているみたいに言うのはいいのでしょうか?商品にしたときに50%使っているものではMSCではないですが、半分でも入っているという情報という意味です。そのものは使っているということを今まで言えなかったと思っています。

(佐々木)
いえ、商品にエコラベルを貼るという行動に対しては、その条件が必要です。

(森枝)
そこだけなのですね、わかりました。

(藤田香)
MSC認証を50%さえ使っていれば残り50%がMSCじゃなくてもMSCのマークがつけられるってことですか?
50%以上MSCを取得しているものを使用しているというのはどういう意味ですか?

(佐々木)
魚を使った加工食品があります。「あ」はその商品自体にMSCラベルがついているということ、つまり水産物の重量ベースで90%以上がMSC認証水産物であってその商品にMSCのラベルが付いています。

「い」は製品としてMSC認証ラベルはついていないけど、使っているという条件があればそれは「い」です。その次がFIPです。「え」はMSC認証水産物を全体の50%以上使っているもの。もちろんそれでは認証ラベルはつけられないですが商品の原材料として調達しているという意味です。

(森枝)
僕もそれが最初聞いたときちょっとぴんと来なかったです。そういうことをする人がそんなにいるのかなと思いました。全部MSC認証の魚というのはありますが、半分だけ使っているという会社のメリットは何かあるのでしょうか?

(藤田香)
例えば事例としてはどういうことですか? 例えば、ファストフード店のフィッシュバーガーのタラはMSCを取っているけど、タラの中にMSCじゃない魚も使われ、50%使えている場合みたいなことでしょうか。

(佐々木)
それもあるでしょうけど、例えばシーフードグラタンとかありますよね。そのときに、たらとエビと何かが入っている場合たらに関してはMSCをとったものだけど、それ以外はないという可能性もありますよね。

(藤田香)
いろんな魚が混じっている場合ですよね。

(佐々木)
加工食品というのはいろいろなものを使う可能性があるので、こういうことも考えられるのかなと思いました。

(藤田香)
そうすると、単一の水産物だと◯がつけやすいけど、いくつかの水産物が混じっている加工食品だと満たせないよねというケースが、食品の種類によってだいたい傾向が出てくるということですよね。

(佐々木)
そうですね。加工食品なので、すごく難しいです。

(ペオ)
よくわかります。フェアトレードの場合は例えば15%は最低限とか、私達のバナナペーパーは20%以上ないといけないとか。2年、3年ごとに厳しくなる場合もありますし、だから入口としてやりやすい、レストラン業界にとってはとか、日本では何%でしょうとかというのは知りたい。

(芝池)
認証のルールは我々もすごく悩んでややこしくなっています。そこの正確な理解をしようということが今話されていて、その上でも最終的には、いろんな加工品がある中で、消費者からすると、本当にエシカルかどうかというのを知りたくなると思い、細かくなっていく部分もありますし、企業側からすると細かすぎるとわかりにくい、もしかしたら消費者も細かすぎるとわかりにくいっていうの両方あるかもしれないですが、いろいろ鑑みた上で、どういうふうな階段を見せてその上でどこを最低限満たしてほしい基準に置くのか。
全部ディスカッションができないのでまずは項目としての階段の置き方っていうところから、決めていければと思います。

(山本)
ちなみに先回りして説明しておきたいことがあるのですが、オーガニックの項目で、重量ベースが95%とかで、フェアトレード認証のところは20%など、そのパーセンテージの数字が違います。

それは実は理由があって、オーガニックに関してはオーガニック認証で、95%含まれてないとオーガニックにはなりませんよというのがあります。フェアトレード認証の場合はそのフェアトレード原料を使っているという表示をするためには、重量ベースで20%以上というのが、フェアトレードインターナショナルの方で基準化されているということを一応調べた上で、数字を当てはめていますということでした。

(佐々木)
魚に関しては、MSC認証製品としてロゴを貼付したい場合、その原材料となる水産物のうち90%以上にMSC認証水産物を使わなくてはいけないというルールがあります。50%としたのは、それに対してだいたい半分ぐらいの指標を作れば、90%という高いハードルを1個目に超えるのはそのぐらいかなということで、みんなで相談して決めた経緯があります。

(芝池)
結構細かくなっているのですが、一応、企業が何かちょっとでもエシカルなことをしようとして努力をしているのをなるべくすくい上げて、いいことしている人たちが評価されるように、詳細を見ればここはここまで頑張っていることがコミュニケーションできるようにというふうに思って作っています。

改めて事務局がどんな経緯で今この設定をしたかというころが、少しコミュニケーションできたかなと思いますが、そこら辺を踏まえつつこのままで行くのか、全体の粒度間、バランスを見て、認証だけ細かすぎるので、例えば上の表記のところはなくしてしまって50%だけ残すのか、階段を少なくしていくのか。皆さんと決めていければと思いますがいかがでしょうか?

(森枝)
認証側がこれを見てなにか言及されることはないのでしょうか?

(瀧田)
ラボとしての、こういうことが大切だと思っているという観点なので、そこに何か言及があったとしても、どうでしょう。どんなことを大切な観点として持っていて、だからこの項目でこのしきい値とみんなが胸を張って言えればと思います。いろんな意見言う人はいろいろいますよね。

(ペオ)
いろんな認証業界から意見が来ると思いますけど、それを受けて、それで一緒に次の段階に持っていくといいです。だから0から100はいきなりできない。このイニシアティブをちゃんと説明して目標も説明すると納得すると思いますので、ちょっとでもリスクを取るのは大事と思います。

(河口)
それもすごくよくわかるのですが、実際認証協会はめちゃくちゃうるさいです。私はレポートを書くので、認証のマークを事例として私のレポートにのっけさせてくれといったら駄目と言われました。それがついていると、その製品が認証のものだと思われるリスクがあるからと、本当に厳しいです。

商品ではなく私のレポートに記載するだけでも厳しいです。だからこれをやるのであれば、それぞれの認証マークのところにきちんと話をしないと駄目だと思います。

(芝池)
認証協会との関係性のところは事務局の方で今後巻き取っていく話かなと思います。

(河口)
そんなに甘くないです。せっかく見たことがない認証なのだから私のレポートでささやかにも書いて宣伝してあげようと思ってるのにそんなところに載せるなと。こちらは愕然とした覚えが何度もあるんで、そういう人たちだと思って話をしに行かないと、こちらは善意のつもりでとなるとびっくりすることがあります。

私の場合はレポートに書くぐらいだからよかったけれども、「お宅も結局ビジネスでしょ」なんて話になるとやたらと面倒くさいことになる可能性もあります。

(芝池)
1回方法論に戻します。今日のセッション6時までですが、思った以上に今時間が押していて、2日間でどこまでいけるか。この後のステップとしては最終的にしきい値を決めたいです。「企業評価」と「フード評価」でそれぞれ☆が何個ついていたら、推薦するかどうかのラインを決めるにあたっては、どの項目を2022年度時点で必須に満たさないといけないかを皆さんで合意していく必要があって、そのラインの合意をするためには、まずこの項目を確定しないといけません。

今この認証が細かすぎるという議論があって、そこについてまだ結論が出てない状態です。それだけではなく今、RSPO認証のところもアドバイスいただいて、この階段の置き方を変更しているので、ここについては皆さんに確認していただきたいと思っていますし、あとは包材のところですよね。

ここちょっと元々事務局の整理が甘かったのでちょっと再整理をして、さっきFSCだけじゃなくてフェアトレードみたいな話もいろいろ出てきましたが、そこも修正しているので、そこを皆さんに確認してもらいたいです。

まだ結構確認していただきたい項目が残っていまして、少なくても今日そこまでは6時までに終えないと、しきい値をみんなで設定するところまで2日間で行かないと思うのでそれを念頭に置いてこの後、議論していければと思っています。

(河口)
しきい値を設定するということだったら、このピンクに色分けしたところだけ見ていくとしたほうがいいかも知れないです。
ここで単に1か0をつけるためのどこが足切り点かっていうことだけを見る。そこだけにフォーカスして、階段の精緻化のところは、今議論しても意味ないですよね。

(瀧田)
そうすると、一応この階段があるからこそどこを足切りにするのかというしきい値を設定できると思うのですけれども。認証のところは、将来的なゆくゆくこういうところを目指すといいよねってことを示す意味でも現行のままで問題ないですか。

(河口)
それはまた別の議論でやったほうがいいと思います。今日の時間ではそれのつもりでやっていたのですが、1、0というので結構がっかりしています。1、0だったら1、0の決め方はあるし、ちゃんとした成績表を作るならそういう姿勢で取り組むので。これはしきい値ですから。

(中西)
自分も質問をしようと思いました。これ、点数的に123と上がっていくタイプで差がちゃんと出るのであれば評価をしたほうがいいなと思ったのですが、1か0かっていう話であれば基準を見ながら1、0だよなというところでお話されるといいのかなと自分もちょっと思いました。

(芝池)
1、0の話は初めて出た話ではなく、面談のときにもう皆さん多分前提として共有はしていて、情報が多いので時間も経って記憶が薄れているところもあると思うのですけれど元々そういう前提で話をしていたと事務局の認識としてはあるので、そこら辺が曖昧になっているとすると、もう1回基準の設計のところからおさらいしたほうがいいかもしれないですね。

(河口)
でも明日に向けてここどうだろうということで、もう1、0でいいであればもうちょっとシンプルな話になります。最低限これっていうのはそこで決めるのはわかっていたのですが、それより上の人は加算点があるのだろうと勝手に思っていたので、加算がないというのが結構びっくりです。

(瀧田)
今のお話少し議論しなくて大丈夫ですか。ちなみにそこは、このファクトシートを公開することで、きちんとその商品の頑張りを示していくと思っていたのですが、しきい値があまりにも細かくなってしまうと、その結果、すごく生々しい点数が表れてしまうとメーカーもかなりの拒否感を示す現状あり、点数化というよりかは、全部で9つの大項目に☆がつくかどうかと考えています。

消費者が知りたいのはどこに☆がつくか。この商品は環境に配慮しているのか、動物の権利に配慮しているのかまで表現し、ファクトシートを見るとMSCまで取得していることがわかるとか、そういうコミュニケーションしようと思っていたのですが、それだと消費者の観点からも、メーカーの観点からもちょっと不十分だなという感じがしますか?

(河口)
ハードルが高すぎると思います。意識高いメーカーと意識高い消費者ならそれでいいでしょうけど、普通の人にはちょっとハードルが高すぎるように思います。

(瀧田)
とすると、細かく点数がつけられて、それで商品のそのエシカル度合いが表現されてないと、わかりやすくないってことでしょうか。

(河口)
それもあるし、☆がつけられるかどうかで考えると、もう最低限の足切り点を決めていって、上のところはまた別途精緻化するほうが話は早いと思います。

あらまほしき姿をみんなで作っていると理解していたのですけど、ここで提示するのはそれをかなりデフォルメしたものしか提示しないっていうことですよね。だからファクトシートとは言っているけれども、基本のメッセージとしてはデフォルメした1、0になってるやつの1の数をどれだけ数えるか。それがこのツールのとりあえずの第1番目の目標であるのであれば、それもうちょっと違ったやり方があると思います。

あらまほしき姿を追求するのはこれでいいですがしきい値にするっていう話だから、その理想の姿を書くと企業の人がびびる可能性をどんどん高めていくリスクもあります。消費者もこんなのわかるのは専門的に勉強したごく一部の人なので、だからそこは背景にこういうのがあってもいいけれども、どこまで見せるのかという話です。

参考になるのは、東京都がやっているマンションのその環境規格で☆をつける制度があるじゃないですか。マンションの環境性能とか耐久性とか、「環境はだめだけれども耐久耐震性がいいから買うわ」というふうに消費者が選べる、それに近いものであれば、たとえば9つ軸があるんだから、そこに☆が5つつく、7つつくよというシートを見るのがめいっぱいで、細かいMSCの何割みたいなものを見に行く人っていうのは、どこまでいるんでしょうかっていうところです。

(ペオ)
真理子さんに大賛成です。本当にシンプルがいいです。多分みんなここでなんかすごい完璧に行きたいですね。やっぱり調べれば調べるほど、やっぱり進めたいし目指したいし、だけど同時に教育者にならないといけない。このシステム自体も。すべてを100%オーガニック全て100%フェアトレードとかもちろんやりたいけど、最初からやっぱり皆さん、多くのところが参加できるとかが大事。

(瀧田)
とすると先ほど芝池さんがご説明したしきい値で始めてみて、シンプルなコミュニケーションの中で少しずつブラッシュアップしていくっていうやり方で問題ないですか。

(中西)
私それで問題ないと思うんですけど、多分その話が地産地消みたいな部分とフェアトレードの細かさの感じが違うというところから、あれどうだったっけと私もなっていました。それ考えると、例えばしきい値でこれクリアしてれば☆いくつだけれども、例えば地産地消でもらっている☆と、認証で取る☆って全然度合いが違う可能性があって、認証をすごい頑張られている1と、地産地消の1、別にそれはそれでもいいよってことにしちゃえばいいそれでいいと思うんですけど、今だとそこの部分のその1の大きさが違います。あとそのMSCのとことかFIPのとこはしきい値以上のことをやっているところにプラス加算がないと、なんとなく頑張っている度合いとか頑張った人たちがもっと頑張ろうってなる部分がないので、インセンティブにするといいのかなと思っております。

(芝池)
それはおっしゃる通りだと思います。細かく見せられれば見せられるほど、明確に伝わると思うんですけど、多分このスコアの設計上、結構物によっても使っている、使っていないみたいな単一にならないっていう状況があります。加算にしていくっていうのが構造上どんなに考えても難しいよねっていうところが今前提条件としてあって、☆がどれくらいの数を取れているかとで、どうにか頑張りの差を見せようという構造になっているのですが、それではシンプルなコミュニケーションじゃないし、本当に頑張っているところが救われないんじゃないかっていう話になると、解決策を見つけるのはかなり難しいです。

(ペオ)
でも良いところでやっているかやってないかをはっきり区別しないといけないので。だから地産地消でもOK、フェアトレードもOKと思う。でも、やってないところはもうアウトっていうことを明確にしないといけないと思います。でもそれはシンプルです。

(芝池)
やっていないところはアウトというのは、最低限満たしてないと駄目だよねっていうラインだと思います。

(河口)
今言われたように加算が難しいということだったらば二つに分けるという考え方もあります。MSCを取っているかどうかとFIPを取っているかどうか、トップのMSCが取れているっていうところと、FIPが取れているっていうところの両方作るとFIPが取れているっていうところだと、MSCも取れたのがカバーされてるから、そこはMSC項目で1点1個、FIP項目の1個だから2個つくというテクニカルなこともできますよ。

そうするとだから1個の中で加算するのと同じように2個の評価軸にしたらば、1個ずつ一点取れるから、2個。またはMSC取れているというところに◯付けると自動的にFIPに◯がつくような仕組みにしておいてそしたら2個というふうに項目は別立てにする。

そういうふうにテクニカルにその一つの軸を二つに分ければ2回点数取れるチャンスがある。

(藤田香)
日本語的に、1、0の項目もあれば、「あ」から「き」みたいな6個ぐらいあるやつとあるわけじゃないですか。そしたらもう1、0で見せたらどうでしょうか。できている、できていない、細かいことは消費者も絶対わからないので説明は見ないと思います。

企業さんも例えば、FIPを最低ラインとすると決めるのだったら、FIPおよびMSCができているとこはプラス。FIPもできてないところはゼロっていう感じになるわけですよね。であればパッと見たときにFIP以上ができているかどうかがわかる項目にしたらいい。

ただみんなで決めるときはこの「あ」から「き」までは見えているけども、地産地消と一緒で1、0で見えるように説明をするというのだと、作業としては早いのではないでしょうか?

(瀧田)
企業に対して見せるのは、この「あ」から「か」まで全部あったほうが、どういう未来を目指していくべきなのかの指南になるんじゃないかなと思っています。要は採点シートですね。

(藤田香)
指南になる企業さんと引いてしまう企業さんと両方います。

(瀧田)
まずは大企業向けに始めるという点ではどうですか。

(河口)
大企業といってもさっきのメーカーインタビューの結果を見たら、これは敷居を下げたほうが良さそうだと思いました。自動車とか、エレクトロニクス業界だったらこういうことに慣れてていいですが、食品業界はこんなことやったらアレルギー反応の方が大きいような気がします。もうちょっとしきい値を下げる。ただこれは参考資料として見せるのはいいんですってことです。

最初からこれ見せるのではなく、こういう基準でさっき言った消費者向けにできている、できないとこと、これを計算する背景にはこっちがあるよっていう形で説明する。面倒くさい人は1枚目だけでもどうにかわかった感じにわかった気になる。それってどういう根拠なのっていう人にはこれを見せると、かなり厳しく見ているんだねとなります。その中でここを選んでいるのだねとわかるような2段構えにする。

学生だって成績何点ですかと聞いて満足する人と、納得できないので根拠を教えてという人がいます。

(瀧田)
toCとtoB向けのコミュニケーションのところでの工夫の話と思います。今日明日のセッションを受けて最終的にどういうふうな見せ方をしてコミュニケーションをして採点してもらうのがいいというところです。文言はこのままでもちょっといけない気もしているので、もう少しわかりやすい質問の仕方になっていないといけないと思います。最終的に見直しをかけようと思っているので、事務局のほうでも整理したいと思います。

その上で、芝池さん、今確認をしたいくつかの皆さんの論点が集まっているところを確認していくことにしますか?

(芝池)
そうですね。今いろいろ案は出たと思うのですが、最終的にどこで何を前提として置いて、この後の作業を進めていくかによるかなあというふうに思います。

(瀧田)
しきい値を決めるために必要なのは、この詳細基準だと思うので、今の詳細基準で良いのであればこれを基に議論をしていくのがいいと思っています。

(芝池)
そうですね。なので、見せ方はいろいろあるけれども、今の構造のもとで、2022年度最低満たすラインはどこかを決めて、そこより上であれば1ポイントがつく。そのポイント数を全部必要最低限満たしていれば、☆がつく。

「企業評価」と「フード評」価で☆がMAX9個ある中で☆がいくつあればエシカルフードとして評価するか。この前提でいいのか、何か変えたほうがいいのかという議論もあります。その前提でいく場合、この基準の今ある項目のまま進めていいのであれば、明日はその2022年度最低限満たす項目のラインが、今は赤で記されているところで、グレーが皆さんの意見がわかれたところなので、そのグレーを最低限満たす項目に追加するかどうかというところからスタートできます。

お1人ずつコメントいただいていきます。そのしきい値の考え方でいいか、あとはこの項目でいいか、もしこれだとちょっと問題があるところがあれば、そこは何なのかをお願いします。

(河口)
基本的な考え方はいいけど、その考え方に合うこの現実がちょっとあまりにも難しすぎてついていけないというのが私の意見です。それは、企業の方もちょっと難しすぎるし、最終的にその☆9つの分野の中で☆がいくつ取れるかというところで見ていくということであって、1個の☆を取るために環境の分野だったらば、10項目があるとしたら、その中の過半数で☆がついていますといった基準にするのであれば、その1個の点を取るための過程が難しすぎます。1個の点を取って、さらにそれが環境のところで6つ以上じゃないと☆にならない、さらにその☆が全部で数えて6つ以上にならないとエシカルじゃないっていう3段階ですがそれってかなり難しいです。だから最終的に点が取れるか、取れないかは選択肢3つの中のどっかのしきい値みたいなレベルじゃないと難しい。複雑な設計思想になっていると結構ハードルが高いので、最低限3つぐらいにまとめちゃったほうがよいです。

(ペオ)
わかりやすさは大切です。次のバージョン2、3は厳しくする。認証システムは既にいろんなプロセスを通ったから、自然に点数になるは間違いないんですけど地産地消とかそういったことは、認証システムがまだないから主に私達が決めることだね。だから直感的。

(藤田香)
今作った表があって、これはおそらく皆さんの知識ですごく項目が細かいやつと、知識やスキルは2段階ぐらいしかないやつになっていると思います。それはみんなの知見でこうなったのでいいと思うのです。これを基に段階を減らし、選んだ後に質問書を作る。企業に見せるやつには5段階まで深掘りしているのは、3段階ぐらいに浅くして、見せ方を後で修正していく。すごくシンプルなに見えるようにしたほうがいいです。もっと詳しく知りたい人は深掘りしたものも見られるような2枚シートにして、とりあえずこれを基にみんなで選んで、見せ方を後で考えるのがいいのではないかと思います。

(芝池)
そうですね。事務局も見せ方もパチッと決めて、示せばベストだと思うんですけど、結構試行錯誤でやりながらのところもあって、そこら辺も含めて一緒に考えながら、修正していけるといいなというふうに改めて思いました。

(平井)
はい、僕も今の意見に賛成で、もうここにあるものをベースにどう見せるかっていうところの段階に入ったほうがいいなと思いました。その上でもう1回行ったり来たりはあるとは思うんですけども、次のステップに行ったほうがいいなと思います。

あと、ちょっと話ずれるかもしれませんが、いかに企業側が、あとは回り回って間接的に生活者が、自分がわかってないか、こういう領域に対して。ということをはかる指標になってもいいかなと思いました。

わかりやすすぎることで思考停止感というのもあったりすると思うので、まだまだ一点はとったけどまだこの先、こんなに長い道にあるというようなことが見えるものが裏でいいので、エシカルフードを定義する意味がますます出てくると思いました。

(須賀)
やはり企業努力が公正に評価されるっていうことは一番重要視されるべきところだと思います。ただそれに対して、きちんとこのプロジェクト側が説明できていることが担保されていればいいと感じています。先ほどの後から見せ方を工夫するところは多くの議論の上に整理されたものではあると思うので、ここで決めた上で、見せ方を工夫する。それはわかりやすさというところもそうですし、ちゃんと評価されているということが批判されない形であればいいと思いました。

このエシカルフードスコアのそもそもの目的に立ち返ると、☆を取るためみたいになってしまうとよくないかなと思っていて、先ほど指南という言葉がありましたけれども、段階的に取り組んでいくべきものが示唆されることも一つ重要かなと思うので、その辺りが見えている基準であるということは、すごく意義のあることなのかなと感じています。

なので、私自身は、実は「フード評価」は2022年の1年間で達成すべきといったところにはかなりハードルがあると思っていました。2022年に満たすべき基準に◯がつけづらかったというところがあります。

それぐらいかなり厳密に組んでくださったと思うのですが、その中で、☆を取るということではなくて、企業側がちゃんとモチベートとされるというところが担保されて、評点をつけられるといいなと思っています。

(井出)
私も食品メーカー勤務だったので、もし自分がメーカーの立場でこれを出されたら、ちょっと腰が引けるな、と感じます。できる限りシンプルっていう言葉が先ほどから出ていますけれども、シンプルにしないと、多分もう「結構です」と言ってしまうと感じました。

冒頭で、瀧田さんが実際の食品企業の声を紹介したときに、「エシカル訴求にたどり着くのはまだ先」という言葉がありましたが、その考え方もちょっとよくわからなくて・・・エシカルは企業活動の根底にあるものではないのかと思いました。

「栄養を安価に確保できる価値が最優先」という答えは、安価ではなくて適切な価格という意味だろうと思います。常々、安ければいい、という風潮になっているので、そういったところが問題な気がしています。

本来の目的は何だったのかなと考えると、細かく細かく評価をしていくより、今の食品業界の姿勢そのものを問う第一歩になったらいいと思いました。

(山本)
佐々木さん、藤田さんとこの素案を作って、もう切ったり貼ったりしてということをやって、実は全項目に思い入れがあります。おそらく最低限満たしてほしい基準にマル付けしているところを見ていただくと僕が一番多いんじゃないかなというふうに思います。

ここからまたバサッと簡素化していくっていうことで明日の会議に臨みます。すごくご意見いただいている、こんなのを渡されても、みんなやらないよという部分は当然あろうかと思います。ペオさんも先ほどおっしゃっていたように、やっぱり教育の部分もある初期値で、簡単なものにするっていうのはもちろん、それはもうとっかかりとしてはいいと思うけれども、でもやっぱり世界的な潮流から見ると、こういうところも考えないといけないのかというふうにこの基準を見ている人たちが思うっていうのはとっても大事だと思っています。

そういう意味ではあんまりやすきに流れない方がいいなというのは、今もやっぱり思っています。

(佐々木)
山本さんとほぼ同じような感じではあるのですが、ただ最初にエシカルコンシューマーの評価項目を皆さんに◯付けしていただいた際には結構たくさん◯がついていました。
なので、皆さんすごく重要だと思っていることが最初は多かったのかなという感覚ですけども、いろいろ時間を置いて、目の前に現れたときにやっぱりこれは今の日本企業は無理だよなみたいな現実に引き戻されたというようなセッションだったのかなと思いました。

教育的な役割も果たしていかなければならない中で、どんなふうに見せていくのかなというのは明日皆さんと一緒に切り込みながら考えていきたいなと思います。先ほど川口さんおっしゃったようにいろいろ業界からの期待も高い中で、やはり高い目標を設定しておくというところも同時に叶えていかれたらなと思っております。

(中西)
皆さん言っている方向性で一緒ですけど、見せ方のところで、消費者の方とのコミュニケーションと、食品メーカーさんとのコミュニケーション、どうやって動いていっていただきたいかはそれぞれ違うと思いますが、明日はまず、もう決めて、ちょっと意見が違うところを議論してという流れが一番いいと思っています。

それぞれの対象者にどういうステップを踏んでもらう可能性があるのか。少しラダーをどういうふうに組むとよさそうです。まずは消費者に向けてというより企業さんのスイッチを入れようというほうが先なので。

それを受けた後に対象者の消費者の方たちにそれをわかりやすく伝えていくのが次、動いていただく中継とか、そういう両方の軸のどうやってはしごをかけていくのかというところのタイムラインを仮説的に決めておけると、今後の議論のときにはいいのかなと思いました。

食品メーカーが遅れているのはお聞きして、なるほどと思います。ある意味ESGみたいな基準でわかりやすい大項目みたいのが知らされたことで、企業が慌ててそんな項目があるのかとも思うし、多くの方たちがその項目がガバナンス化されたと思うところがあります。それよりかなり細かい柱を見せる形にはなると思いますが、まずこの柱がこれからのその企業さんや食に関わる方達には「大前提として重要視されますよ」というコミュニケーションができる。そこに何らか貢献しようとしている企業さんは、わかりやすくそれが見える。

地球環境としてどういう状況があるかを踏まえると、藤田香さんが今日たくさんおっしゃってくださいましたが、生物多様性のところはここから国際的にも大きな動きが出てきています。これまで気候変動だけが言われていた時期が長かったですが、やはりこの後は生物多様性も両軸で出てくると思うので、そこに合わせていってあげることもすごく重要だなと思います。

皆さんおっしゃっていた、下げたくないんだよねってところは下げる必要はないなと思いつつ、見せ方とかコミュニケーションでどこまでできるんだろうっていう議論が決めた後にできるといいかなと思いました。

(藤田友紀子)
いろいろ聞かせていただいてありがとうございます。私も基準を作るほうに携わらせていただいて、勉強しながらでした。本来私も小売であり、メーカーというか、物を作るほうで食品に携わっている側としていろいろ決めていながら「厳しいな厳しいな」と実は思っていました。その中の項目を見ていても今回◯を付けた分が自分で作っていながらすごく少ない。現状現場にいる者として認証だったり、地産地消のものだったり何かを作るのにこれ厳しいな、コストにかかっちゃうなとか、すごく悩みながら作り上げていくと、結局現場としては販売できるものをお客さんから支持されるものを物作りしているので、つい高いグレードを下げてしまうのですが、そういう部分では今回いろんな基準を作っていて、やはりその項目によって1段階か5段階なのかの違いはあります。

でも、これを作った当初は、大企業から中小企業の全部が対象に入っていたと思うんですよね。今日の話の中では、大企業向けとなったので、例えば途中で話にあった地産地消を入れるか入れないかは、中小企業にとってはプラスになるんですよ。でも大企業にとってはあまりないかもしれない。大企業は日本の食品業でも1%しかいません。。

先ほど数を見ていたら、大企業の食品製造業は543社、その他中小零細は5万以上です。その数の中で、543社に焦点を当ててこの項目作ると思ったら、ちょっと私の作っている段階とこの話で迷走した部分がありました。大企業を照準にあてるとしたら、また明日はこの項目をその皆さんの中で考えていく。平均とは言わないけれど、やはり環境とか生物多様性とか食品フードロスとかを踏まえて決めていったらいいのかなと思います。

(森枝)
企業にとってこれがどう映ってどう大切にしてもらえるか。「嫌だけどやらなきゃ」というものになるか、関係性をつくって、「そういうことしなきゃ」と思ってもらえるか。あるいは、そうなるためにどうしたらいいか。何が大事なのかを考えたいです。「いや、これは難しいからもう要らない」と思われないようにだけしていかないといけないです。本当にもったいないので、どっちからの目もある感じにするには、どうしたらいいのかなというふうに。

(芝池)
皆さんの一人一人のコメント聞きながら、改めてこのエシカルフードの基準がいろんな観点をはらんでるからこその難しさを改めて再確認したなというふうに思っている。

企業の目線もあれば消費者の目線もあるし、企業も大企業から中小企業まですごいいろんなアレンジがあります。彼らにエシカルについて考えてほしいという啓発教育的な観点もあれば、シンプルにわかりやすくハードルを下げたいという、結構本当逆張りするぐらいいろんな観点がこの一つの基準の中にいっぱい入っていて、それがあるからこそ、みんなどういうふうに見せてコミュニケーションしていけばいいだろうかというところで、今日いろんな意見が出たのだなというふうに改めて思っていました。

事務局もやっぱり正解がない中で、皆さんを頼りたくなる気持ちというか、それもあって少し揺らいでしまって議論が混乱したところもあって申し訳なかったかなと思っています。

ただいろんな観点はありつつも、1個ずつプロトタイプで形にして進めてかないと最後の見せ方のところも判断できないと改めて思ったので、皆さんがおっしゃるように、もう1回この項目を正として最低限のラインを決めるっていうところを明日やってみて、そのラインを決めたときにどう見えるかというところで、見せ方も含めてチューニングをしていくのがいいと最後、聞いて改めて思いました。

まだ明日続きますが、いやにならずに、よろしくお願いいたします。

(瀧田)
今日改めて、こんなふうにいろんな観点で議論が活発に行われたっていうのは本当に良かったなと。予定をしていたところまでは全然たどり着けなかったのですが、今日この場で、本当に皆さんが思っていること、もしくは異なる視点だなと思うことについて、ご発言いただいて対話ができ、本当に良かったなと思っています。

今までもそうだったんですけど、今後もすべてそのいろんな観点もしくはいろんなパートを同時並行で走りながら、それぞれの観点をそれぞれに生かしながら、平井さんもおっしゃっていましたけど、行ったり来たりしながら、解像度を上げていく。ブラッシュアップしていくってことだと思いますし、この基準を世の中に出したときに多分いろんな方たちからいろんなご意見いただくと思います。

一度決めたことをもう決めたのだからっていうことではなく、そのことに真摯に向き合いながら変化を恐れず、ブラッシュアップしていく。常にそういうラボになっていくと思うので、スタートとして今日このような議論ができたのは本当に良かったなと感じます。

明日はいよいよしきい値について議論をし、有識者の皆さんが考える2022年度のしきい値というものにたどり着くことができたらと思っています。明日も4時間、長丁場ではありますが、お菓子やコーヒーを片手にご参加いただければと思いますので、明日も引き続きどうぞよろしくお願いします。

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