【読書】「学生との対話」小林 秀雄(著)
本書は、昭和三十六年(一九六一)から五十三年の間に、五回にわたって九州に赴き、全国六十余の大学から集まった三、四百名の学生や青年と交わした対話の記録。
私にとっては、「読書について」以来の小林秀雄。含蓄ある言葉で、何度も私の考えを揺さぶってきた。
テーマには、「信じることと知ること」「現代思想について」「常識について」「文学の雑感」「本居宣長をめぐって」などが掲げられているが、これらを元に学生と対話を交わす。学生といえども、私よりも遥かに優秀で教養がある人物ばかりでひたすら感心した。
しかし、小林秀雄は彼らの質問について鋭く指摘する場面もあった。特に抽象的な質問には厳しい指摘が入っていたが、話の核に迫るような質問しないと答える方も難しいということだろう。
全体を通して、読み終えるのが惜しいくらいの本だった。
また読み返したいと思う。
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