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欲望の見つけ方 要約

みなさんは自分の欲望について深く考えたことがあるだろうか。
自分がなぜそれを欲しいと思うのか。
欲望というのは、重力と同じようなものだ。
見えないところで絶えず働いている。
本書を読むと、自身の欲望に意識を向けながら、専攻を選んだり、仕事を選んだり、パートナーを選んだり、ニュースを読むことができるようになる。

欲望の研究に生涯を捧げた男がいる。
ルネ・ジラールという男だ。
ジラールによると、人間の欲望のほとんどは内在するものではない。
「模倣」によって生まれるものだと主張している。
要するに、「人は他人が欲しがるものを欲しがる」というのだ。

本書のキーワードは「模倣の欲望」である。

このnoteでは、大きく2章にわけて要約する。1章は欲望への理解。2章では、欲望へのアプローチについて紹介する。


1章 模倣の欲望の力

隠れたモデル

ジラールによると、模倣にはモデルとなる人が必ず存在するという。
欲望はモデルから生まれ、つくられる。

例えば、あなたが靴屋さんで靴を選んでいる時を想像して欲しい。
ある一足の靴を見たが、あまり好ましくなかった。
しかし、数秒後に大物俳優がその靴を手に取った。
その大物俳優はあなたが最もかっこいいと思っている人。
その人物がその靴を気になった瞬間に、その靴はただの靴ではなくなる。
模倣の欲望が生まれた瞬間だ。

欲望は、手に届かないものほど惹きつけられる。

模倣の欲望の力はビジネスでも大いに発揮される。かつてアメリカでは、女性が公の場で喫煙することはタブーだったという。
しかし、そのタブーさえなくなれば、タバコはもっと売れる。
その障害を突破するために、アメリカンタバコカンパニーは仕掛けた。
世界最大のパレードを舞台にし、モデルとなる女性にタバコを持たせ、火をつけるというショーを行った。
当時では、タブー行為だったことを大衆の前でして見せた。
そして、タバコを自由の松明と名づけ、一気に浸透させた。
女性差別が激しかった頃に、タバコに「自由」という印象を与え、あらゆる差別を乗り越えていく覚悟を示した。
ここに存在するのは、「差別に立ち向かう勇敢な女性」というモデルだ。
このモデルは、女性たちの模倣の欲望を作り出し、その欲望は瞬く間に広まった。

欲望は目に見えず、ほとんどの人は意識も向けないが、重力と同じように常に作用しているのだ。

ゆがめられた現実、2種類のモデル

模倣の欲望のモデルは2種類に分けられる。
場所、時間、社会的地位の遠い人と近い人だ。

あなたが羨ましいと思うのは誰か?
世界で最も金持ちのジョフ・ベゾスか?
それとも、同じ会社で、同じ能力があり、同じ時間働いているのに、収入があなたの数倍ある誰かだろうか?

羨ましいと思うのは後者だろう。
競争意識は、近ければ近いほど強まる。
そして、雲の上の存在であるほど、競争の対象ではなく、皆のモデルの対象であるのだ。

注意しなければならないのは、モデルを過大評価し、現実が歪んでしまうケースだ。

よくあるのは拒食症だ。
あのモデルのような体型になりたいと思う女性がいる。
十分体重はモデルに近づいているのに、食べてしまうと遠ざかってしまうという恐怖から食べ物を食べれなくなってしまう。
これは非常に危険だ。
欲望が生きるために食べるという欲求を超えてしまっている。
欲望の力はこれほどまでに強い。

ここまで、欲望を理解することの一助として、本書に書かれている一部を紹介した。
ここからは、欲望に対して、どのようにアプローチするかを述べる。

2章 欲望へのアプローチ

欲望を疑う

まずは今まで目を向けてこなかった欲望に向き合う。

欲望の一つとして、目標をがある。
目的を達成するための標だ。
目標を設定することは悪いことではない。
いつまでにこうする、これは具体的で大切だ。

しかし、なぜそれを達成したいかが明確になってない場合は多い。

なぜ稼ぎたい?なぜ痩せたい?それらは模倣によって生まれたものではないか?

あの人のような生活がしたいから。
あの人のような体型になりたいから。

そもそもお金稼ぎが私にとって重要な目標か?
そもそも痩せることが私の人生にとって大切なのか?

立てた目標の原点を疑わなければ、簡単に模倣によって動かされている。移動するゴールポストのように。

欲望を検証する

欲望を検証するのはシンプルだ。
複数の欲望に向き合って、それにより将来がどうなるかを想像する。
例えば、就職したい会社2社どちらにすべきか迷っているとする。
どちらか決断しなければいけない時、1社ずつ働いてる1日をリアルに想像する。
朝何時に起きて、何時に帰宅するか。どういった業務をこなし、どういう風に成長し、収入はどれぐらいになるか。
意欲的に仕事できているか、不安になりながら仕事しているか。
それらを比較するのだ。
また、究極の方法として、自分が死ぬ間際にその選択をしたことをどう思うのかを想像してみるのだ。
後悔はないか?胸を張って正解だったと言えるか?
タイムマシンは存在しない、だから想像力を働かせ、未来を見るのだ。

欲望の取捨選択

表面的な欲望に惑わされてはいけない。
表面的な欲望は、簡単に真似できて、たいていすぐに消え去っていく。
濃い欲望を見つけ、人生をかけて育んでいく。
濃い欲望は、深い深いところに眠っている。
それを見つけることは人生を充実させる大きなヒントとなる。
大抵の人は、本当に自分がなにをしたいかわかっていない。だから、表面的なことばかり模倣し、少ししたらやめる。
だが、これは重要なことだと思える。
表面的なことばかりをやり、さまざまな欲に触れてみる。そして、自分がどう感じ、何を欲し、何を欲さないかを検証するのだ。
欲望に意識を向けると、歳をとるにつれ、自分が何を欲するのかを認識できるようになる。
(意識を向けていない人は歳をとっても認識できない)
そうすれば、自分の人生の宝箱を開けるかもしれない。

欲望を識別する手順

ここで本書に書かれている欲望を識別する手順を紹介する


引用
(1)複数の欲望について検証するとき、心の中で起きていることに注目する-どれがその場限りの満足をもたらすか、どれが持続する満足をもたらすか。
(2)どの欲望が寛大で愛があるか、自身に問いかける
(3)死の床についた自分を想像し、そのとき心穏やかでいられるのは、どの欲望に忠実に生きた人生かを考える
(4)最後に最も重要な問いとして、その欲望がどこから生まれたのかを自分に問う。

欲望の見つけ方

本書に書かれている欲望の見つけ方の一つを紹介する。
この手法は、現代の多くの人には特に効果的であるはずだ
それは、画像やテキスト、音を発する物から身を離し、できるかぎり無の世界に浸ることだ。許されるのは読書のみ。
最低でも3日、できれば5日その状態に身を置くことを推奨している。
自身に影響を与えるものを極力なくし、自分の心の中の声を研ぎ澄ますのだ。
しかし、瞑想にチャレンジしたことがある人は多いだろうが、1日10分でも続けられないことがほとんどだ。
それゆえに、無の時間、空間を提供するサービスがあるほどだ。
サイレント・リトリートという。
それは声も出さず、誰とも目を合わさず、自然の音を聞き、数日間過ごすのだ。
あらゆる執着を手放し、表面的な欲望に排除し、自分の内なる声をきく機会となる。
逆を言えば、現代人はこの時間はほとんど確保されていない。意識せずには手に入れられない環境だ。

まとめ

欲望のほとんどは模倣から生まれたものだ。その背景には必ずモデルが存在する。模倣の欲望は決して悪いことでもないし、良いことでもない。
重要なのは、欲望を客観視し、自分が本当に欲してるものかどうかを見極めることだ。
それはあらゆる場面で生かされる。
仕事、恋愛、対人関係など。
選択に迷ったとき、本当に死に際に後悔しない選択か?
この問いだけでも重要な意味を持ち、自分の真の欲望を知るきっかけとなるだろう。

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