ハッシュタグ

繋がれるアイドルにハマる落とし穴

繋がれるアイドル。すぐに想像できるのは、握手会に行って実際に会って交流を持てること。または、握手会がなくともSNSでタレントのアカウントにリプライなどすること。実際に返事はこないが、次の更新で返事のような内容をあげてくることもあるだろう。あるいはリプライしなくとも、共通のハッシュタグを使うことで意思の疎通ができることである。発信者はタレントで、ファンがそれに応えるのが通常であるが、ファンが発信したことにタレントが応えることも稀にある。もしあなたが応援しているタレントがいたら、こんな意思疎通ができたら嬉しいことだろう。

但し、ここには落とし穴がある。タレントを攻撃する人がいることもあり得るが、この場合はファンではなくただの嫌がらせなので論外である。その逆でここではタレントを盲信しすぎることについてお話ししたい。

タレントを盲信する。これはどういうことかというと、
「自分含むファンのツイートを見てくれた。それでタレントに力を与えることができた」という喜びだったり、タレントが新しく変えた自分の髪型や、ラジオで自分が話した内容についてファンの反響に対してコメントがくると繋がれている!と実感する。
ファンはこの状態が続くと、「私たちのことをいつも思っていて私たちを愛してくれている」と、嬉しさのあまりそのタレントとSNSに依存しやすくなる。
「いつもSNSを見られているし、こんなに私たちを愛してくれているのだから、愛のあるツイートしかしてはダメ。何があっても」
本来は自由にタレントについて意見を言っていい場であるはずが(悪意のある悪口はいけない)、次第に多くの賞賛と同じようなことを言わなければSNS内で攻撃、無視され排除されていく。
「間違っていることは、間違っている」と言わせない空気が流れ、「彼(彼女)より優れているタレントはいない」という風潮になっていく。本来、アイドルは本業である歌や踊りの「芸」でファンを魅せられれば良く、「芸」でファンから財布を出させるべきであるはずが、そうではなくなってしまう。繋がることが中心で悦びを見出し、どんな演技でもどんな歌でも表現でも、タレントの全肯定マシンと化してしまうのだ。

例えば、前回あげたブログ内容での女性軽視発言とか、ラジオでの悩み相談に答えた内容など、あなたを含む大概の人が「あれ?」と思う回答でも、ファンの「それでいい」「悪くない」という弁解で溢れかえる。少し違うかもと感じた気持ちさえ無かったことにし、右に倣えの、"こうでなきゃいけない"世界の中に埋もれてしまうのだ。

アイドルの場合、グループで活動していることが多いので、別グループのファンから別のグループのファンに移ってくる場合もある。
一部のファンでは、勝手に自分の中で気に入らないグループとそのファンに対抗心を燃やしたり、自分のグループのオンリーファンを歓迎し、「掛け持ち」を敬遠する傾向があるが、「掛け持ち」のほうが視野が広いファンが多い。それだけいろんなタレントを見てるからだ。先ほど上でもお話したとおり、タレントと交信もせず、全肯定マシンにもならず「芸」だけ見てファンになったほうがとてもシンプルだし、健全で理に適っている。そして「芸」を重視するファンは長続きする。
 今後、いろんな分野で多様性が求められる中、ファンも客観的、俯瞰的な視点を持って「井の中」の蛙にならないでほしいなと思う。自分も含めて。


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