2022/08/27 晴れ

 きょうはL字金具と端材でノコギリ用の治具を作ってみたが、L字金具の取り付けが正確な直角とならず微妙な出来となった。そもそもこういう金具を決まった位置に取り付けるにはどうしたらいいのか。穴の位置を測って取り付ける箇所にアタリをつけるのがいいのかな。現物で合わせるのはうまくいかなかったからな。
 あとは『知能低下の人類史』を読了した。産業革命以降の先進工業社会ではIQが低下してきており、いずれ文明が崩壊する、ということを述べた本。本書の主張を内容を要約すると、まず、IQは遺伝する。高IQほど繁殖率が高まる。自然選択により社会のIQが高まっていく。IQが一定まで高くなると福祉国家が現れる。福祉国家では自然選択が弱まり低IQが繁殖するのに対し高IQが繁殖をしなくなる。社会の低IQ化によって文明が維持できなくなる。……という感じか。ローマもオスマンもこうして滅んだという。フムン。本書はまず冒頭でコンコルドが運航停止に陥ったのはこの知能低下が原因だと述べる。コンコルドは墜落したが、それはコンコルドの前に飛んだ飛行機の部品脱落が原因で、コンコルドには問題はなかった。でも低知能の現代人にはコンコルドを安全に運用する知能も自信もなかったので運航停止された、と。むしろ採算が合わなくて飛ばせなくなったって聞いてたんだけど、そのへんに触れてないのはどうなんだろう。知能水準が高いままなら採算も取れるようになってたはずだという含意があるんだろうか。その可能性はある。読んでいてところどころ論のつながりが明示的でないと感じる部分があったからだ。それと気になったのは人類の知能低下を扱うことによる所謂「道徳的」な反対意見に対する予防線の張り巡らし。自信があるなら堂々としていればいいのに「この本を読んでいる人は賢いから道徳的な反対意見が馬鹿なことだと分かるはず」「俺は道徳の話はしていない、科学の話をしている」とことさらに煽っているのはどうなんだ。それでも社会的階層とIQの関係とか、出生率とか、IQが遵法性や共感性とも正の相関があるとか、そういう話は肌感覚として納得できるものがあったのも事実である。ちなみにでは優生学の復興に話が進むのかと思ったけどそうでもなく、著者はこの段階で優生学が台頭しても文明の発展に寄与する人類は増えないと考えているようだった。替わりに文明のタイムカプセルを作って次の文明へ残すのがよいと。悲観的。あとは翻訳と校正がちょっと。「戦士である王は戦場で戦士することが普通」ってなんだよ。「戦うことが普通」なのか「戦死することが普通」なのか。たぶん後者。それにしてもどこかで聞いたことある話だったな。26世紀中年だっけ?
 ほんでそのつながりでアマプラにて『26世紀青年』も観てみた。中年ではなく青年だった。結構しっかり作ってあって驚いたな。普通に面白かった。そして同時に怖くもあった。真に迫るものがある。『知能低下~』の著者の言うタイムカプセルが主人公だったというわけだな。しかしあの冬眠マシン、スタンドアロンで500年耐えて保存状態も完璧ってもはや魔法である。塩害の畑に水を撒いて1日で芽吹く作物もこの技術力による改良品種なんやろなぁ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?