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KITTE大阪の戦略は吉と出るか凶と出るか

7月31日に大阪に新たな商業施設、KITTE大阪がオープンした。
先週末、どんなもんか視察してきたので、その感想を書きたい。

この店が良かったとか、こんな店があれば良かったなみたいな、個人的な感想ではなく、できるだけ客観的かつ経営的な目線での考察という形で書きいてみた。



結論から言うと、良いところもあるし、心配なところもある。
ので、今後どうなるか見守っていきたいというところだ。


まず良かったところから言うと、地下1階の飲食店街はすごく良かった。

「うめよこ」と銘打たれ、17店の小型飲食店が路地裏の商店街のような雰囲気で営業している。
雰囲気としては、お隣のルクアのバルチカをそのまんま真似したなという感じ。(まるパクリが良いか悪いかは諸説あり)

ろくに歩けないほど人で溢れかえっていたが、これだけ活気があるのは開業したばかりだからというのと、各店の努力もあるだろう。
そして構造的には、以下のような統一的売り場づくりがなされていることも要因としてあるように思う。

  1. 入り口に壁が無い
    壁が無いためドアもなく、とても開放的な作りとなっている。
    僕のような陰キャは飲食店の中が見えなかったら「入って自分たちだけだとどうしよう」とか考えてしまって入りにくいのだが、「うめよこ」は入りやすい店ばかりだった。
    これだけ開放的だと、はしご酒もしやすいだろう。

  2. 外席が充実している
    壁が無いためどこからが中でどこからが外なのかがあいまいだが、通路沿いの外席がどの店でも充実していた。
    多くの店で外席が通路にはみ出す形で設けられており、床面積あたりの席数を多く取ることができている。
    そして、まるで天満の飲み屋街に来たかのような臨場感があった。
    この雰囲気の創出というのも、はしご酒に一役買っていると思う。

上記の点から、地下一階は間違いなくKITTE大阪の看板フロアとしてお金を生み続けるだろう。


さて、問題は1階と2階である。

1階は、レンタブル比が低すぎる。
これはビルの構造上の問題で、入り口のドアがやたら大きかったり、モニュメント部分などの何もない空間が大部分を占めている。
一番家賃をとれる1階をこんなスカスカの公共空間にしたのは、建築設計者のエゴであろう。
そして企業側のプロデュースチームはそこを変えさせないといけなかったのではないか。
ここもルクアをパクって、ぎゅうぎゅうの商業施設にするべきであったと僕は思う。

2Fは、都道府県アンテナショップをずらりと入れてしまった。
これは一見すると良さそうである。僕もご当地グルメや地酒は好きなので、それが大阪で買えるというのは嬉しい。
わが故郷、高知県のアンテナショップもあり、一番好きな日本酒「亀泉 cel-24」もあったので、ぜひ買ってみてほしい。



…だが、考えても見てほしい。
ご当地グルメを、大阪で、そんなに頻繁に買うだろうか?


ほとんど買わない。
今でこそ開業景気で盛り上がってはいるが、数か月すればそのほとぼりも冷め、客がスカスカになっている未来が見える。

東京でもこの手のアンテナショップは銀座や日本橋と言った賃料の高い場所に多く出ているが、高額な賃料と収益の採算が合わず、県の公費で補填してもらわないと営業を継続できない状態になっているという話を聞いた。
KITTE大阪もそこそこ高い賃料を取っているだろうから、東京と同じ状態になってしまう可能性は高い。

デベロッパー側からすると、そういう「自力で成り立っていない」店を多く入れるのは普通に怖い。
あるとき何かのきっかけで撤退ラッシュが起こりうるからだ。
こういった店が撤退するのは公費が切れたときなので、知事の交代などの要因で撤退されうる。

それに、1フロア丸々アンテナショップにしてしまったので、1区画空いても普通の店を入れづらい。
他の都道府県を誘致しようにも、高い賃料と先の自治体の失敗を見ていたら、この手の費用は抑えたくなるのが普通だろう。
数年後にはぽつぽつ空きテナントが発生して、寂れた感が出てしまっているかもしれない。

この先を想像するといろいろ大変そうだ。。。
まあその分地下1階が上手くいけばいいのだが。。


とまあ、いろいろ不安を煽ってきたが、うまくいく可能性も大いにあると思う。
ぜひ頑張って大阪の新たな目玉になってほしいものだ。


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