
映画『ザ・バニシンク 消失』(1988年)のザックリとしたあらすじと見どころ
映画タイトル:ザ・バニシンク 消失
原題:Spoorloos
製作年:1988年 オランダ・フランス
監督:ジョルジュ・シュルイツァー
映画『ザ・バニシンク 消失』は、
忽然と姿を消した恋人を探す主人公に3年後犯人からの接触が―、というスリラー映画です。
血はおろか凶器1つ出てこないのにこのスリル。この異色さが話題となり同監督でハリウッドでもリメイク(『失踪』こちらのほうは評価はイマイチだったもよう)された作品です。
キャスト
・ベルナール=ピエール・ドナデュー(レイモン・ルモン)
恋人とともにオランダからフランスへ旅行中
・ジーン・ベルボーツ(レックス・ホフマン)
レイモンらと同じドライブインに居合わせる男
・ヨハンナ・テア・ステーゲ(サスキア・ワグター)
レイモンの恋人
映画『ザ・バニシンク 消失』の見どころと感想

レイモンはサスキアとともにオランダからフランスに向けての旅行に出かけます。
が、途中立ち寄ったドライブインで買い物をしようと店に入ったサスキアが一向に戻ってこない。
レイモンは写真を見せながらサスキアを探しますが、「男と一緒に店を出た」という証言のほか有力な手掛かりのないままー。
評)凶器は好奇心!好奇心が極限に達した結果のラストの衝撃
ネタバレは禁ですが、もう少しだけストーリーの先を。
場面は変わってある男性の一家の様子が。山間で暮らす大学教授のレックス・ホフマンとその家族です。レックスは子煩悩な一方、クロロホルムを使って女性を誘拐する計画を立てておりー。
そうです。ここでサスキアを連れ去ったのはこのレックスだとわかるのです。犯人が誰かわかるのです。そうなると「なぜサスキアは連れ去られたのか」「連れ去られてどうなったのか」。見ている側の関心はそこに誘導されていきます。
そして誘導されるのはレイモンも同じ。
行方不明から3年が経ち、新しいパートナーはいるもののサスキアへの思いも残るレイモン。もう生きていないだろうと思いつつもTV出演や貼り紙で情報を求めていました。そこに犯人であるレックスが接触してくるのです。
レイモンはレックスに、サスキアはなぜいなくなったのか、どうなったのか、「真相を知りたい」と詰め寄ります。(この先はネタバレ禁です)
温厚な人間の裏にサイコな一面を持つレックス。この手の映画の犯人像としてそれほど特異なものでもないでしょう。一方のレイモンは非常に感情的で支配的。その性格(の悪さ)は冒頭のシーンで描かれています。
犯人からの誘いはどう考えても危険。しかし、「真相を知りたい」「真相を知らないオレはオレじゃない」くらいの万能感を持つレイモンは知らずにはいられないのです。自分自身を保つためにも真相を知らないといけないのです。
そしてこの映画を見る者もレイモンと同じくらい「真相を知りたい」が高められてしまうのです。もう知らないでは済まされない。
そこに用意されているラストとはー。
スタンリー・キューブリック監督が「これまで観たすべての映画の中で最も恐ろしい映画だ」と賛辞を本作の監督に伝えたというのも納得のラストです。
ジョルジュ・シュルイツァー監督がこの賛辞に気を良くしー、てかどうかはわかりませんが、本作は1993年にハリウッドでリメイク(映画『失踪』)されています。ジェフ・ブリッジス(←犯人)、キーファー・サザーランド、サンドラ・ブロック(←失踪する女性。めちゃ強そうなサンドラ姐さんなのに……)という超魅力的なキャストながらオリジナル版ほどの評判ではなかったそうな。
が、そうなるとますます見たくなる性分なのでそのうち見てみようと思います。うっ、これも好奇心に操られているということかー。
映画『ザ・バニシング 消失』 ぜひ。
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