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映画『グロリア』(1980年)のザックリとしたあらすじと見どころ

映画タイトル:グロリア
原題:gloria
製作年:1980年 アメリカ
監督:ジョン・カサヴェテス

映画『グロリア』は、

ニューヨーク、サウスブロンクスを舞台に、組織に追われる少年と少年を守ろうとする女の物語です。

監督はジーナ・ローランズの夫、ジョン・カサヴェテス。リュック・ベッソン監督の映画『レオン』(1994年)の原型と言われるこの作品は、とにかくジーナ・ローランズがタフでクールでカッコイイ! 「女」を語るときに、絶対に外せない1本です。

キャスト

・ジーナ・ローランズ(グロリア・スウェンソン)
サウスブロンクスのアパートに一人で暮らす中年女性

・バック・ヘンリー(ジャック・ドーン)
グロリアの隣人 ギャングの会計士をしていたが、命を狙われている

・ジョン・アダムス(フィル・ドーン)
ジャックの息子 一家でただ一人生き残るが、ギャングに追われる身となる

・ジュリー・カーメン(ジェリ・ドーン)
フィルの母 ギャングに襲撃され死亡

映画『グロリア』の見どころと感想

(*ちょっとネタバレありです)

Columbia Pictures / Photofest / ゲッティイメージズ

ギャングの会計士をしていた男ジャックは、横領とFBIへの情報漏洩がバレ、組織に追われる身。アパートまで追っ手が迫るなか、ジャックは6歳になる長男フィルを隣家の女性グロリアに託します。

一旦はこれを断ったグロリアですが、危機が迫るなかやむなく引き受ることに。その直後にジャックの部屋は爆破。ジャックほか一家は皆殺しにされてしまいます。

フィルは父親から組織の秘密を記した「手帳」を託されており、フィルの身も危ないと察したグロリアは フィルを連れてアパートを出ます。

ここからギャングに追われる少年と女の逃走劇が始まります。

評)母性愛を超えた大人の女と少年の信頼関係

冒頭に映し出されるサウスブロンクスのシーンから強烈なカッコよさを放つこの映画。ストーリーは、ギャングに追われる女(グロリア)と少年(フィル)、というだけの超シンプルなものですが、グロリアの存在感が半端ないんです。

グロリアは組織のボスの元情婦。子供嫌いで、ウンガロの服に身を包むクールなアラフォーです。

やむなく少年を守ることになった戸惑いを隠せないグロリア。
ギャングを相手に意を決して拳銃をぶっ放すグロリア。
小生意気なフィルにも手を焼くグロリア。

「かっこよさ」というのは、完全無欠の強さではなく、葛藤する姿にあるのかもしれません。大人の女性が少年を守るというと母性的な関わりに縛られてしまいがちですが、この映画にはそういったウェットな印象はありません。グロリアの「一大人、一女」としてのリアルな存在感に加え、6歳の少年の妙な色気もまた、この二人の関係を独特なものにしています。

人間同士の信頼と愛情こそが、この絶妙な関係性を作っているのでしょう。

愛情のかけどころに戸惑う(?)中年女性におすすめしたい、大人の女の映画です。



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