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映画『扉をたたく人』(2008年)のザックリとしたあらすじと見どころ

映画タイトル:扉をたたく人
原題:The Visitor
製作年:2008年 アメリカ
監督:トム・マッカーシー

映画『扉をたたく人』は、

気力を失った初老男性が移民青年にジャンベを教わったことを機に希望を取り戻していくヒューマンドラマです。

主演は本作が初主演となる名バイプレイヤーのリチャード・ジェンキンス。その名演に心打たれる1本です。

キャスト

・リチャード・ジェンキンス(ウォルター・ヴェイル)
大学教授 

・ハーズ・スレイマン(タレク)
シリアからの移民青年

・ヒアム・アッバス(モーナ)
タレクの母

・ダナイ・グリラ(ゼイナブ)
タレクの恋人 セネガル出身

映画『扉をたたく人』の見どころと感想

(C)2007 Visitor Holdings, LLC All Rights Reserved

コネチカット州で大学教授をしているウォルター。妻を亡くし、仕事の意欲もなく無気力な日々を過ごしていました。

そんなある日、ウォルターは同僚の代わりに学会に出席するため久しぶりにニューヨークを訪れます。が、別宅のアパートには見知らぬ外国人カップルが暮らしていました。

騙されてウォルターの部屋を借りている2人を一旦は追い出すものの、放っておけずしばらく住まわすことにしたウォルター。

タレクはシリア系男性のシャンべ奏者。彼にシャンべを習い友情が深まっていく、そんなある日、タレクが不法滞在で拘束されてしまいます。

数日後、タレクの母モーナがアパートを訪ねてきー。

評)名優リチャード・ジェンキンスの自分の「ふり」を嘆く姿に心打たれる

アメリカでの公開はわずか4館だったのが、270館にまで拡大したという逸話も納得の地味イイ映画です。

これまで数々の脇役で良い人も悪い人も演じてきたリチャード・ジェンキンス。あまりにも出演作が多いので、このブログのレビューにある出演作をピックアップしますと、

『キルトに綴る愛』
『バーバー』
『ディボース・ショウ』
『ハッカビーズ』*ノンクレジット
『スタンドアップ』
『迷い婚 -全ての迷える女性たちへ-』
『バーン・アフター・リーディング』
『食べて、祈って、恋をして』
『さよなら、私のロンリー』

こんな感じです。

そのジェンキンスさん(ウォルター)が移民青年と心を通わせ、シャンべを叩き、恋をしてー。

が、そんなほっこり系の映画ではありません。この映画にガッツリ横たわるのは移民問題。タレクが不法移民となった背景やシリアに送還されることの意味、そして理不尽な移民局の対応にやりきれない思いがこみ上げてきます。

そんなタレクとモーナ母子の事情に対し、無気力に生きる自分を振り返るウォルター。

「ふりさ。忙しいふり、働くふり、実は何もしていない」と吐露するシーンは私の心の扉をたたきました。(DVD字幕は、エッセイも面白い太田直子さん<*2016年没>)

映画『扉をたたく人』 おすすめです。ぜひ。

◆翻訳家、太田直子さんのエッセイ。こちらに映画『扉をたたく人』のエピソードが登場します。


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