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映画の辻占い 新しい発見と出会いのために

「辻占い」とは、辻(交差点)に立って通りがかりの人の言葉を聞いて吉凶を判断する占いのこと。「道行く人の無意識に発する言葉の中に神慮を感じとり、それを神の啓示とした」という。

某日、この辻占いさながら、Twitterのタイムラインに上がってくる映画のうち、アマプラ見放題かNetflixで視聴できる”最初の3本”を問答無用でみる、ということをやってみました。

問答無用でー、です。苦手なジャンル(邦画、韓国映画、アニメ、グロ強めのホラー、マーベル他ヒーローもの)の映画も見なければなりません。

今回選ばれしは、この3本

で、今回”神が啓示”したのがこの3本です。

『バーフバリ 伝説誕生』(2015年/インド映画)

いきなり「知ってはいるけれど苦手」なヤツです。古代インド、濃い顔の人々の濃い話(多分)
救いはシリーズ第1作ということです。アマプラ見放題にあるのは吹替え版。これも苦手ですが「問答無用」なので吹替え版で見ます。

『ブラッディ・スワン』(2018年/アメリカ映画)

全然知らない映画。ナタリーポートマンの『ブラック・スワン』とは違うのか。ホラー映画らしい。キャストはひとりも知らない。アマプラにありました。81分という短尺なのはありがたい。

『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』(2011年/アメリカ映画)

3本の中では一番自分でも見そうな映画。タイトルは知ってはいたものの手が伸びなかったのはなぜか。Netflixで見ます。

発端はある人気作家の奇行!?

なんでこんなことをー、というのは、ある有名作家がこんなことを書いていたからです。

自分で選んで読む本は、どうしても自分の趣味や興味のある分野に偏ってしまいがちだ。ここはひとつ、車内で偶然隣り合った人が読んでいる本を、私も手に取って読んでみる、というのはどうだろう。<中略>車内で乗客が読んでいる本のうち、タイトルが判明した最初の3冊を、私も問答無用で読んでみようと決めー

『三四郎はそれから門を出た』より

結果、その作家が読むことになったのは、こういう機会がなければ自分では読まなかったであろう本ばかりだったと。しかもその1冊は『白い巨塔 第2巻』 文庫で全5巻なのに電車の乗客が読んでいたのが第2巻なのでいきなり2巻を読む。

こんな酔狂なことやる作家といえば三浦しをんさんのなのだが、しをんさん曰く、新しい発見と出会いに満ちていて、やってみると非常に心躍るものがあった、と。

というわけで私もこれに倣っていざ視聴!

視聴後の感想

圧巻の押しの強さ! 映画『バーフバリ 伝説誕生』

いやぁ、面白かった。前半は主人公が驚異の身体能力で滝を登り、途中から謎の美女にぞっこんになるなんじゃこりゃ展開。

村のご神体みたいなでっかい岩を馬鹿力で持ち上げるシーンは、映画『カッコーの巣の上で』(1975年)の名シーンを思い起こしたけれど、こっちは清々しいほどの馬鹿で笑いが出た。

映画『バーフバリ 伝説誕生』
映画『カッコーの巣の上で』

どのシーンもとにかく煌びやかで作り物感アリアリ。あー、まさにインド映画だな…、なんて大してインド映画を見ていないクセに思ったりして。

が、中盤から俄然面白くなってくる。滝の上の世界で美女を助けるために支配者と戦うことになる主人公。で、無事に勝利するものの、ここからの畳みかけがスゴイ。王家に仕える剣の達人ジジイが語って聞かせる王国の過去。気づけば私も「バーフバリ!バーフバリ!」と大興奮。

そして「続くんかーい! 」というラスト。もう絶対続編を見なければなりません。

濃い、とにかく濃い。ストーリー、登場人物の濃さもさることながら、その過剰どころではない映像演出に度肝を抜かれました。

「これ、やり過ぎじゃないですかね?」なんてことを言うスタッフはいなかったんだろうか。いや「もっとこうしましょう」「コレも足しときましょ」「うんうん、もっとやろう!」みたいな現場なのかな、なんてことを思ったり。

ものすごいエネルギーの映画です。思えば、ふと思い立ったこの企画(「映画の辻占い」)で初っ端にこれが目にとまったことすら、この映画の押しの強さじゃないかと思うのです。

懸念材料のひとつだった吹替えも問題なし。声優さんもアツくなっただろうな。

見どころは超グロ描写 映画『ブラッディ・スワン』

原題はBloody Ballet。スワンじゃないのよ。で、本編はー。

幼い頃に両親を殺された少女が今はバレエ学校に通う若者に。が、心を病んでいて恐ろしい幻影に悩んでいる。一方、ある精神科病院の過去を調べるジャーナリストがー。というストーリーでした。

とにかくグロい。グロ映像の連続です。首はかっ斬るし、目ん玉はエグるし、腸は飛び出るし、アキレス腱も斬る、脳天からもブッ刺す。

もともとはこういう映画は苦手なんですが、今回は”神の啓示”。苦手なんて言ってられないのです。

とはいえ、ストーリーのほうが途中で「…だろうな」と真相に気づいてしまえる意外性のなさ。なので不思議とこれらグロ映像も冷静に見ることができました。

こうした映画にリアリティもなんもないのですが、恐怖は映像と音楽(いかにも、な効果音が多用されています)だけでは作れないのかな、と。

見て良かった! 映画『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』

(C)2011 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

タイトルは知ってはいたものの手が伸びなかったのはなぜか。

そうでした。「9.11モノ」で子どもが主役。これは絶対に泣かせるヤツだな。しかもこの子どもがありえないほどうるさいのかもしれんな、と思ってなんとなく見るのを避けていた映画でした。

いい映画でした。賢いけれどアスペ気味の11歳男児。大好きだった父(トム・ハンクスよ!)を9.11で亡くしたという辛すぎる経験のなか、父が遺したメッセージを探しあてようとするストーリーです。

大きくは「どうやっても埋めることのできない大きな喪失を引き受けて生きていく」というテーマ。子どもがガッツリ主役で、けっこううるさい。涙がこみあげてくるシーンもありますが、だからといって忌避してきた自分がバカでした。見て良かった。ホントに良かった1本です。

で、この悩ましいタイトルは同名の原作小説のもの。
映画の中で母(サンドラ・ブロックよ!)がそれに近いことを言うシーンがあるのですが、「大切な人やものはなくしてもなお、ものすごくー」という意味なのかな、と思いました。

新しい発見と出会いのために

趣味の映画鑑賞なので、好きな映画を好きなように見ればいいわけです。
が、今回あえて自分が選んだものではなく、神が選んだもの(スイマセン、少しおかしなことを言っています) を見てみました。

「自分が選んだ映画」を見るのとは一味違った楽しさと発見がありました。「つまんなくても自分が選んだわけじゃないし」という言い逃れ(誰に? )ができることも、いつもにはない寛容な姿勢につながったのではないかと思っています。

とはいえ、自分のTwitterのタイムラインですし、アマプラ見放題、Netflixという「自分好み」のフィルターがかかっていたともいえなくもない。正直、アニメや胸キュン邦画じゃなくて良かったと思いました。

また、そのうち「映画の辻占い」をやってみようと思います。


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