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映画『ザ・フューチャー』(2011年)のザックリとしたあらすじと見どころ

映画タイトル:ザ・フューチャー
原題:The Future
製作年:2011年 ドイツ・アメリカ
監督:ミランダ・ジュライ

映画『ザ・フューチャー』は、

ケガをした猫の最期を看取ると決めた30代後半の同棲カップルのストーリーです。生活の変化に備え「やりたいことをやっておこう」と思う2人ですがー。

小説ほかマルチアーチストとして活動するミランダ・ジュライの監督、脚本、主演作品。独得の世界観の中に、「これは私でもある」と思えてくる愛すべき1本です。

キャスト

・ミランダ・ジュライ(ソフィー)
35歳 体操教室勤務 恋人と同棲中

・ハミッシュ・リンクレイター(ジェイソン)

ソフィーの恋人 

・デヴィッド・ウォーショフスキー(マーシャル)
ソフィーが知り合う年上男性 子持ち

映画『ザ・フューチャー』の見どころと感想

(C)THE FUTURE 2011

LAの小さなアパートで恋人ジェイソンと同棲中のソフィー。同棲も4年目を迎え幸せながらも緊張感のないマンネリ生活を送る2人。が、ある日大ケガを負った猫を保護。シェルターに運び一命はとりとめたものの、そう長くは生きられないと告げられます。

その猫をパウパウと名づけ、自分たちで看取ることを決意。猫がやって来たら猫中心の生活になるー、引き取りまでの1ヶ月の間に自分たちがやりたいことをやっておこうと行動を起こす2人。

とりあえずネットを解約する。そしてジェイソンは不本意な電話サポートの仕事を辞めます。ソフィーは体操教室の仕事といってもほぼ閑職の状況。ジェイソンは地球環境保護のため訪問販売で木を売るボランティアを、ソフィーの30日間毎日ダンスを創作する活動を始めますが、いずれもうまくはいきません。

現実の壁にぶつかる2人。ソフィーは動物シェルターで知り合った子持ちの年上男性のもとへ通うようになり、ジェイソンとの間にはやがて溝がー。

評)ミランダ・ジュライが描く、自分らしく生きることの面白さ

35歳、モラトリアムも終盤です。恋人ジェイソン曰く、「40はほぼ50だ。50を過ぎたら後はー、微妙な変化。はっきりしたものは何も得られない」と。

この言葉で今のうちに何かを得なければ、何者かにならなければ、と焦る2人。35歳といえば、仕事や子育てで充実した日々を送る人も多いでしょう。が、そうした充実のなかにも、本当の自分を見失いそうになる心もとなさを抱いているのでは。この映画はそこを微妙に突いてきます。

2人が保護した猫はシェルターの中で足だけの出演でありながら、2人の心の言葉をかわいい声で代弁します。遠くから助言を与えてくれる「月」や、ジェイソンが身につけた「時を止める能力」など、現実と想像、希望、願望をないまぜに描きながら、自分らしく生きることの面白さを見せてくれます。

監督・脚本・主演のミランダ・ジュライは、映画製作、女優の他、小説やアート、音楽活動を行うマルチアーチストで、夫は映画監督のマイク・ミルズ(『人生はビギナーズ』『サムサッカー』ほか)。要注目です。


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