映画『シルヴィア』(2003年)のザックリとしたあらすじと見どころ
映画『シルヴィア』は、
没後にピューリッツァー賞を受賞した作家シルヴィア・プラスを描く伝記映画です。夫、テッド・ヒューズとの関係がやがて精神の崩壊へー。プラスの半自伝的小説『ベルジャー』とあわせてどうぞ。
キャスト
・グウィネス・パルトロー(シルヴィア・プラス)
詩人
・ダニエル・クレイグ(テッド・ヒューズ)
シルヴィアの夫 詩人
・ジャレッド・ハリス(アル・アルヴァレス)
シルヴィアの担当編集者
・アミラ・カサール(アッシア・ウェヴィル)
自宅の賃貸契約を機にテッドと不倫関係になる女性
・ブライス・ダナー(オーレリア・プラス)
シルヴィアの母
映画『シルヴィア』の見どころと感想
幼いころから詩人になることを夢見ていたシルヴィア。
留学先のケンブリッジ大学で卒業生テッド・ヒューズと出会い、彼の書く詩に強く惹かれるようになります。
たちまち恋に落ちた2人はやがて結婚。
ボストンに居を移し結婚生活と創作活動の両立を図るシルヴィア。しかし、次第に被害妄想に取りつかれ始めー。
評)ああなるとわかっていても、映画的にはもうちょっと救われてほしかった
シルヴィア・プラスについては、以前『ベルジャー』という半自伝的小説を読んいて、どういう人物であったか、そして”オーブンに頭を突っ込んで自死”という衝撃の最後も知っていました。(本のレビューを書いていたつもりが書いていなかった……。多分、気が重くなったから書けなかった、ということにしておきます)
なので、この映画のラストもそうなるとわかっての鑑賞でしたがー。
シルヴィアの精神の崩壊の原因が夫にあるという直球解釈にかなりドンヨリした気分になりました。
夫は好きに創作活動をし認められ、おまけに浮気(事実です)。一方のシルヴィアは、家事や子育てに追われ創作に充てる時間もなく意欲も失われていく。夫よりも自分のほうが才能もあるのに、という思いも相まって精神が壊れていく。離婚(夫の浮気が原因です)した後は子どもを連れてロンドンに戻り創作意欲も高まるが、極貧の生活ー。
今だったらもうちょっとフェミニズム的な斬り込みを期待したいところですが、いかにもな悲劇のヒロインとして描かれていて残念。
とにかく暗いし重いしあの最後だしー。が、没後に評価されこうして映画にもなったのだから、そこはもうちょっと希望というか、光というか、救いを込められなかったのかな、と思えてなりません。
ギリギリの精神状態の中で詩や小説に自分自身を残そうとしたシルヴィア・プラスをグウィネス・パルトロウが好演。こういう役はホントにハマるパルトロウ。
一方、実生活でプラスの死後、非難を浴びることになる夫テッドを”007”になる前のダニエル・クレイグ。髪型が違うとこうも印象が薄いのか……。
シルヴィアの母オーレリアを演じるのは、パルトロウの実母ブライス・ダナー。2人の共演シーンでのソックリぶりは驚きです。
そして衣装は、パルトロウの出世作にして最高作の映画『恋におちたシェイクスピア』(1998年)ほかのサンディ・パウエル。本作でのお貧しい装いも魅力的です。
映画『シルヴィア』 ぜひ『ベルジャー』ほか、シルヴィア・プラス自身の作品とあわせてどうぞ。