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映画『ブロークン・ポイント』(2013年)のザックリとしたあらすじと見どころ

映画タイトル:ブロークン・ポイント
原題:DAYS AND NIGHTS
製作年:2013年 アメリカ
監督:クリスチャン・カマルゴ

映画『ブロークン・ポイント』は、

湖畔の別荘に集う家族と知人を描いたヒューマンドラマです。チェーホフの戯曲『かもめ』をモチーフに、人間の孤独や嫉妬や交錯する、難解で緊張感の高い作品です。

キャスト

・ベン・ウィショー(エリック)
劇作家志望の青年

・アリソン・ジャネイ(エリザベス)
女優 エリックの母

・ウィリアム・ハート(ハーブ)
エリザベスの兄

・ジャン・レノ(ルイス)
医師 ハーブの友人

・ケイティ・ホームズ(アレックス)
エリザベスの娘

・マーク・ライランス(スティーブン)
アレックスの夫

・クリスチャン・カマルゴ(ピーター)
エリザベスの恋人 映画監督

映画『ブロークン・ポイント』の見どころと感想

病気の兄ハーブを見舞うために恋人ピーターとともに故郷に向かうエリザベス。エリザベスは女優としての人気が低迷し、ピーターが監督する映画にも起用されず恋人関係もギクシャクしています。

到着後、家族や管理人夫婦を交えて楽しく食卓を囲んでいるところに息子エリックが現れます。エリックは恋人エヴァとともに野外舞台でかなり前衛的な演劇を披露しますが、女優の母はこれを酷評。

その後、ピーター(母エリザベスの恋人。ちなみにこの映画の監督、脚本)とエヴァと親密にしているところを目撃してしまうエリック。エリックは深い闇に落ちていきます。

迷彩服に身を包みライフルを持って現れ、アレックスの夫スティーブンが熱心に世話をしているハクトウワシ親鳥を撃ってしまいます。ハクトウワシを撃ったエリックに対し、一同は家族裁判によって追い出そうとします。が、その最中に老兄ハーブが倒れー。

そして3年後ー。この家に再び集まった人々はー。

評)チェーホフの『かもめ』をベースにした、ある意味、喜劇

愛情不足の「母と息子」の関係を軸に、うまくいっていない「母と恋人」「息子と恋人」の関係があり、そこに病気の兄とその医者、親戚らが絡んでいきます。

とにかく登場人物が多くいずれもただならぬ存在感を放っています。ベン・ウィショーがこれでもかっ、というくらいに鬱々としていて、毒母のアリソン・ジャネイ、影の薄いケイティ・ホームズと歳の差夫のマーク・ライランス、軽快に踊る老兄とウィリアム・ハートと、それを心配するジャン・レノ。

悲劇には違いないのですが、こうも露骨に「悲劇ですよ」「嫉妬ですよ」「裏切りですよ」「破滅ですよ」となると「いや、これはある意味、喜劇ではないか」と思えてくる。

この映画の基となっているのは、ロシアの劇作家チェーホフの戯曲『かもめ』 チェーホフはこれを喜劇として書いたと言われ、長らく「どこが喜劇なんだ」と論争が絶えなかったといいます。

当事者にとっては悲劇であっても客観的に見れば笑える、という話は映画だけでなく実社会でもよくあること。これを不謹慎と一蹴してしまう今の閉塞感こそ、まさに悲劇です。

笑うのではなく、笑えるー。この感覚こそが人生を豊かにするのではないかな、と。

あ、話が壮大になりましたが、ベン・ウィショーをたっぷり堪能できる1本です。



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