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【映画日記】CGがない時代のエモい画に惹かれる

2024年2月13日

日本映画『ゴジラ-1.0』がアカデミー賞視覚効果賞にノミネートされ話題に。CMで見る、海上で襲ってくる(のかな?)ゴジラのド迫力はたしかにすごい。ぜひ受賞を。

とはいえ、この手の映像スゴイ系映画にはほとんど食指が動かない。
それよりも、CGがない時代にどうにかして取られたエモい画に惹かれてしまう。

今日の映画日記はそんな3本で。

『赤い影』(1973年/イタリア・イギリス)

幼子を不慮の事故で亡くした夫婦の身に起こるオカルトサスペンス。監督はトリュフォーの『華氏451』の撮影監督だったニコラス・ローグ。

細切れのカットと凝った編集、”赤”の印象使いにどこからどこまでが(主人公にとっての)現実がわからなくなる。その主人公をドナルド・サザーランド。イヤでも盛り上げてくれる音楽はピノ・ドナッジオ(のちにデ・パルマの『殺しのドレス』も手掛ける)

有名な『オーメン』や『エクソシスト』『サスペリア』など、オカルトブームのなか作られたものの日本での知名度はイマイチらしい。が、一部には一番怖いオカルト映画という声もあるのが納得の1本。


『スカーフェイス』(1983年・アメリカ)

映画『スカーフェイス』

麻薬ビジネスでのし上がっていくキューバ移民をアル・パチーノが熱演。監督はブライアン・デ・パルマ。

とにかく濃い。同じマフィアものの『ゴッドファーザー』とはまったく異質の、陽気なマイアミで繰り広げられるダサくて短絡的で下品な狂気。出世作となったヒロイン、ミシェル・ファイファーも安っぽい。

でもそれがイイ。そこが見どころ。1ミリも共感できない世界をかなり引き気味に見る面白さ。ドラマ『ナルコス』で描かれた当時のアメリカといったところ。

公開当時、話題にはなったものの興行的にも評価も散々だったというこの映画。時を経て評価を上げ、いまや時代を代表する1本。

『幸福』(1965年・フランス)

映画『幸福』

ヌーヴェル・ヴァーグの祖母と言われるアニエス・ヴァルダ。お初です。

妻と二人の子どもがいる絵に描いたような幸せな一家の男。が郵便局員と浮気。この男、ことあるごとに「自分は幸せだ、幸せだ」と口にする。が、この男、両方にいい顔をするためじゃなく本気でそう思っているから怖い。

全編にわたる怪しいほどの映像美。男と浮気相手を非常に短いショットで交互に捉えるシーンや、終盤のあのシーン(ネタバレしません)で挿入されるカットの意味など映画的考察のし甲斐もある1本。


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