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映画『ローマンという名の男 ー信念の行方ー』(2017年)のザックリとしたあらすじと見どころ

映画タイトル:ローマンという名の男 -信念の行方-
原題:Roman J.Israel,Esq.
製作年:2017年 アメリカ
監督:ダン・ギルロイ

映画『ローマンという名の男 -信念の行方-』は、

ある殺人事件をきっかけに、自身の信念と現実のはざまで苦悩する人権派弁護士の姿を描いた社会派ドラマです。

弁護士ローマンを演じるデンゼル・ワシントンが18㎏も増量したリアルな役作りが見ごたえのある1本です。

キャスト

・デンゼル・ワシントン(ローマン・J・イズラエル)
人権派弁護士 友人ウィリアムが経営する事務所で働いていたが、友人が病に倒れ職を追われる

・コリン・ファレル(ジョージ・ピアス)
ウィリアムと師弟関係の敏腕弁護士 自身が経営する弁護士事務所にローマンを雇入れる

・カルメン・イジョゴ(マヤ・オルストン)
人権問題に取り組む社会活動家 ローマンの信念に共感する

映画『ローマンという名の男 -信念の行方-』の見どころと感想

長年人権派弁護士として活動してきたローマンは、法廷は苦手で裏方の仕事が得意。ひと時代昔のさえない風貌の人物。

雇い主の友人ウィリアムが心筋梗塞で意識不明になり仕事を引き継ごうとするローマンですが、実はこの事務所、資金調達に不正があり経営はすでに困難な状況でした。自分で仕事(弁護案件)を探そうにも見つからず、他の弁護士事務所や人権活動団体への転職活動も失敗続き。ローマンの「古いやり方」が空回りします。

ウィリアムの仕事は師弟関係にあった敏腕弁護士ジョージに引継がれ、ジョージはローマンを雇い入れます。

そこでローマンが担当することになったのは少年による殺人事件。被告デレルは「やったのは自分ではなく逃走しているカーターだ」と訴えます。カーターの居場所を自白することで減刑を試みるローマンですが、検察との司法取引は失敗。あげく、そのローマンの動きが原因でデレルは刺殺されてしまいます。

仕事や自身のやり方に行き詰まりを感じたローマンは、カーターに10万ドルの懸賞金がかけられていることを知りー。

評)ローマンの苦悩をリアルに伝えるデンゼル・ワシントンの作り込み

今までの自分のやりかたがことごとく通用しないばかりか、世間から疎外されていく不安に駆られる。いますよね、そういう人。というか、よく分かります。このローマンの気持ちが。

ローマンはやり方は古いし、アピール下手だし、見た目もアレだけど、弁護士としての力はあるんですよ。法律や判例の記憶力は凄まじく、コツコツと丹念に調べものや仕事をする。依頼人にもキチンと会う。で、金は度外視。身近な人にはその良さは充分に伝わるのですが、初対面の人や若い人、今風の価値観の人にはサッパリなんです。ボランティア集会で若者相手の熱弁も伝わらない。

何もかもがうまく行かない自分に対し、ローマンはやけになってしまいます。自分のライフワークである司法制度改革は弁護士仲間には理解されないし、ホームレスに襲われるし、真面目にやってきたのにナンで!? 死の床にある朋友ウィリアムの姿を見て、自分の信念が揺らぐんですね。ホントに自分がやってきたことは、世の中のためになっているのだろうか、と。

で、ローマンは自身がとった行動により人生を大きく狂わせていきます。(ローマンが何をやらかして、どう始末をつけようとするのかは本編をお楽しみください)

信念を疑い、信念を裏切りー、でも最後にローマンを支えるものはー。

デンゼル・ワシントンがね、もうスゴイんですよ。太って、サイズの合わない服を着て、アフロで、歩き方までもちゃんと冴えなくてー。

デンゼル・ワシントンと言えば、若い頃からシュッとしてカッコよくて無敵(の役柄)の印象がありますが、この映画ではそんなイメージを全部吹き飛ばしています。映画の中にいるのは、デンゼル・ワシントンじゃなくてローマン。ローマンという名の男ですよ。

「自分このままでいいのか?」と思い悩み、「もう俺、昔の俺じゃないし」と不器用かつ分かりやすく贅沢三昧し、「やっぱ、トンデモナイことやっちまたんだ」と焦りー。そんなローマンの苦悩がリアル。作り込んだ役なのにリアル。いや、作り込みすぎて1周回ってきた感じでしょうか?

むしろリアルすぎて笑えてしまうほど。(ローマンがマヤを誘って高級レストランで食事をするシーンは、なぜか笑えます)

あ、ほとんど触れませんでしたが、敏腕弁護士ジョージ演じるコリン・ファレルも目の保養によろしいので、ぜひご覧ください。


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