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映画『エスケープ ナチスからの逃亡』(2019年)のザックリとしたあらすじと見どころ

映画タイトル:エスケープ ナチスからの逃亡
原題:The Birdcatcher
製作年:2019年 イギリス
監督:ロス・クラーク

映画『エスケープ ナチスからの逃亡』は、

戦時下のノルウェーを舞台にナチスのユダヤ人狩りから逃れるため男子になりすます女性の物語です。女性はある一家に匿われますがー。

キャスト

・サラ=ソフィー・ボウスニーナ(エスター)
女優になることを夢見る14歳のユダヤ人女性 

・アルトゥル・ハカラフティ(アクセル)
エスターが匿われる一家の息子 足に障害あり

・ヤコブ・セーダーグレン(ヨハン)
一家の父 親ナチスの農場主

・アウグスト・ディール(ハーマン)
ナチス将校

・ラウラ・ビルン(ハンナ)
妻 ナチス将校と不倫中

映画『エスケープ ナチスからの逃亡』の見どころと感想

(C)Reliance Entertainment Productions Scandi Ltd

第二次世界大戦下のノルウェー、トロンデンハイム。この土地にもナチスが侵攻しユダヤ人は次々に拘束されていました。

理髪店を営む両親のもと女優を夢見る14歳の少女エスター。ある日、父が強制連行され、逃げ出す途中で母も殺害されてしまいます。

エスターは一人、森の中を逃げ延び、髪を切り、男性の服に身を包み、男として生きる決意をし「イギリス兵に両親を殺された」と偽ってナチス将校に助けを求めます。

将校が連れて行った先は親ナチスの農場。そこには足に障害のある青年アクセルがおり、アクセルはエスターの正体を知っていました。
エスターは”ウーラ”と名乗り、男として下働きをしながら脱出の機会を図りますがー。

評)「男」に与えられた権威の危うさ

エスターが男になろうとした決断は本能的なものだったと思います。ナチスが行った女性(ユダヤ人のみならず)への迫害の人種イデオロギーの意図をどこまで理解していたかは定かではありません。

男だったら生き延びられるのかー。この映画は足に障害のある青年アクセルの存在によって「男」が単に生物としての性ではなく、社会が作る「権威」の意味を持つことを指摘しています。「男」に与えられた権威は、戦争という極限の状況によって女性だけでなく男性をも苦しめていきます。

アクセルを一人前の男を認めない父は、献身的に仕事をこなすウーラ(エスター)に期待を寄せるようになります。が、華奢で声も女性のままでおよそ男には見えないウーラ。そこがかえって個人が蔑ろにされた悲劇を物語っているように思えます。

ネタバレになりますが、終戦後ノルウェーで美容室を営むエスターの元に一家の妻ハンナが訪ねてきます。ドイツ兵の恋人、協力者と見なされたハンナの姿がまたひとつの悲劇を物語っています。

映画はいわゆる逃亡ものとしてのスリリングさも見ごたえあり。主人公のエスターを演じるサラ=ソフィー・ボウスニーナは若いころのウィノナ・ライダーを彷彿させます。

映画『エスケープ ナチスからの逃亡』、ぜひ。

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