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映画『ブラインドネス』(2008年)のザックリとしたあらすじと見どころ

映画タイトル:ブラインドネス
原題:Blindness
製作年:2008年 日本・ブラジル・カナダ
監督:フェルナンド・メイレリス

映画『ブラインドネス』は、

謎の伝染病によって視力が失われやがて無秩序化する世界を描くスリラー映画です。原作はジョゼ・サラマーゴ著『白の闇』 原作同様、多人種の名前のない人々が見せる人間の本質とは。

キャスト

・ジュリアン・ムーア
眼科医の妻 唯一失明を免れている

・マーク・ラファロ
眼科医

・アリシー・ブラガ
コールガール

・伊勢谷友介
最初に失明する男性

・木村佳乃
最初に失明する男性の妻

・ドン・マッケラー
最初に失明した男性の車の盗んだ男性

・ダニー・グローヴァー
老人

・ガエル・ガルシア・ベルナル
第三室の王を名乗る男

・サンドラ・オー
厚生労働大臣

映画『ブラインドネス』の見どころと感想

(C)2008 Rhombus Media/O2 Filmes/Bee Vine Pictures

車を運転中に突然視力を失った男性。これを皮切りにその車を盗んだ男、男性を診察した眼科医らが次々を視力を失っていきます。

共通するのは視界が真っ白になるという症状。政府は感染症と判断。隔離政策として視力を失った人は廃墟となった精神科病院に送られます。しかしそこには治療や看護にあたる者はおらず環境は劣悪。夫に付き添うために「自分も失明した」と偽って施設に入った妻は、目が見えると気づかれないように夫や他の入所者の手助けを行います。

感染者は膨れ上がり、施設の中で限られた食糧を独占しようとする「第三病室」の一団が現れます。彼らによる支配に業を煮やした医師の妻は「第三病室の王」と名乗る男を殺害。施設は火に包まれ、視力を失った人々とともに外の世界に出ますがー。

評)原作の「見通しの悪い閉塞的な世界観」をイメージ以上に映像化

どこの国なのかもわからず人々の名前もないー、原作を読んだときに感じた「見通しの悪い閉塞的な世界観」がイメージ以上に映像化されています。

誰も目が見えないということが、ここまで人間の理性や社会の秩序を失わせていくのかと恐ろしくなる。医師の妻のように、この世界の中で自分だけが見えるということは、はたして幸運なのだろうかと考えさせられます。

あらゆる絶望に瀕しながら諦めることなく周囲の人を救おうとする医師の妻にジュリアン・ムーア、いつもながら素晴らしい。夫の眼科医にはマーク・ラファロ、視力を失った演技もさすがです。ダニー・グローヴァー(老人)も存在感を見せ、第三病室の王のガエル・ガルシア・ベルナルもキレッキレで見ごたえあり。伊勢谷友介と木村佳乃もメインキャストで登場。日本語での喋りが妙に演技くさく感じるのは「無国籍世界」という設定のせいでしょう。そういうことにしておきましょう。

映画化には強く反対していた原作者ジョゼ・サラマーゴ(映画公開2年後の2010年没)も、この映画のデキには満足だったそう。フェルナンド・メイレリス監督の力作『ブラインドネス』おすすめです。


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