映画『ドリームプラン』(2021年)のザックリとしたあらすじと見どころ
映画『ドリームプラン』は、
テニス未経験ながら後の世界的テニスプレイヤーとなるウィリアムズ姉妹を育てた父の物語です。
実話に基づくこの映画で主人公リチャードを演じたウィル・スミスはアカデミー賞主演男優賞を受賞。授賞式での殴打事件も話題になりました。
キャスト
・ウィル・スミス(リチャード・ウィリアムズ)
ウィリアムズ姉妹の父
・アーンジャニュー・エリス(オラシーン・ウィリアムズ)
ウィリアムズ姉妹の母
・サナイヤ・シドニー(ビーナス・ウィリアムズ)
リチャード、オラシーンの娘 後の世界的テニスプレイヤー
・デミ・シングルトン(セリーナ・ウィリアムズ)
リチャード、オラシーンの娘 ビーナスと1歳違いの妹 世界最強と呼ばれたテニスプレイヤー
・ジョン・バーンサル(リック・メイシー)
ウィリアムズ姉妹のテニスコーチ
映画『ドリームプラン』の見どころと感想
リチャードとオラシーンの夫婦の間に生まれた2人の娘ビーナスとセリーナ。リチャードは2人の誕生前からテニスプレイヤーに育てる綿密なプランを組んでいました。お金もコネもないリチャードは独自にプロモーションビデオを作り有名コーチに売り込みをかけます。
そして実力が認められ、リック・メイシーの経営するテニスアカデミーに参加するため一家でフロリダへ。リチャードは自分自身も同アカデミーに雇用させ、指導方針に口出し続けます。
なによりも子供らしい生活を送ることを優先し、プレッシャーで押しつぶされることを懸念したリチャードは、ビーナスをジュニア大会に出すことも拒否。この件で妻とも衝突するリチャード。
しかし同世代の選手が次々とプロ転向していく中、ビーナス自身が大会参加を強く望むようになります。
話し合いの末、プロとして試合に出ることになったビーナスのもとには大きなスポンサーの話も舞い込みー。
評)後に2人が成功したという事実の強さに寄りかかり過ぎ?
ウィル・スミスがオスカーを受賞したものの、あの事件を起こしてしまった。そのことは一回忘れてこの映画を見てみました。
史上最強と言われたテニスプレイヤーのウィリアムズ姉妹。
映画はこの姉妹を世界一のテニスプレイヤーに育てるために、姉妹の誕生前から綿密なプランを作り実行した父の話です。
雨の日でも屋外で練習させたり、家でも父権を振りかざしたり、そこそこの毒親です。
が、一方では、勝っても謙虚であることやテニスだけじゃなく勉学も怠らないことなどもちゃんと教えていく。過度な期待で子どもを潰してしまう他の選手の親を批判的に見ていて、そこから若い頃から大会漬けにしたくない、子どもらしい生活が大事!という考えを持っている点は好感が持てます。
しかし、このリチャード、とにかく独善的。自分の”プラン”と合わないコーチはサッサを見切りをつけるし、ともに姉妹を育ててきた妻にもまともに相談もしないようなヤツ。原題「King Richard」に、なるほど、と。
が、この映画は実話。後の姉妹の成功を知っているだけにケチのつけようがありません。つけますけど。
素人のリチャードがなぜ練習メニューまで含めたプランを組めたのかは描かれていないし、いくらリチャードが押しが強いヤツとはいえ、当時超一流プレイヤーだったマッケンローやサンプラスのコーチ(ポール・コーエン)にサクッと会えたというのも信じがたい。
リチャードがそこまでの人物であることが映画の中でちゃんと描かれていたのかは疑問です。のちに2人が成功した、という事実の強さだけで納得させられてしまったような気分です。それもこの作品の強さなのかもしれませんが。
とはいえ、アフリカ系アメリカ人に対する差別、クソのような環境の中で夢を実現しようとするリチャードの姿や夫婦の衝突のシーンは見ごたえ充分です。
若いプロスポーツ選手の毒親の問題にももう少し切り込んでほしかった。毒親化の背景には巨額のスポンサー契約など現代のスポーツビジネスの問題があるのは明らか。しかしそこには触れず、むしろラストはガッツリ金の話で終わるのもなんだかな。ま、実話だからしょうがないのですが。
驚きはビーナスとセリーナは5人姉妹だったということ。他の3人はオラシーンの連れ子なんですかね? 下2人の扱いがぞんざい過ぎて......。そこは実話じゃなく映画的に手が回らなかっただけ、と思いたい。
妻役のアーンジャニュー・エリス、コーチ役のジョン・バーンサルは好演。ウィル・スミスの熱演も讃えたい。
しかし、のちのアレでこのリチャードの粗暴さを割増してしまったようでもあり、いろいろと物議を醸す運命だったのかもしれない映画『ドリームプラン』 ぜひ。
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