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映画『コーダ あいのうた』(2021年)のザックリとしたあらすじと見どころ

映画タイトル:コーダ あいのうた
原題:CODA
製作年:2021年 アメリカ・フランス・カナダ
監督:シアン・ヘダー

映画『コーダ あいのうた』は、

聴覚障害者の家族を持つ10代の少女と家族のストーリーです。
フランス映画『エール!』(2014年)のリメイク版で、第94回アカデミー賞の作品賞ほか3部門を受賞した話題作です。

キャスト

・エミリア・ジョーンズ(ルビー・ロッシ)
高校生 家族の中で唯一の聴者

・トロイ・コッツァー(フランク・ロッシ)
ルビーの父 聴覚障害者 

・ダニエル・デュラント(レオ・ロッシ)
ルビーの兄 聴覚障害者

・マーリー・マトリン(ジャッキー・ロッシ)
ルビーの母 聴覚障害者

・エウヘニオ・デルベス(ベルナルド・ヴィラロボス / V先生)
ルビーの音楽教師

・フェルディア・ウォルシュ=ピーロ(マイルズ)
ルビーの友人

映画『コーダ あいのうた』の見どころと感想

(C)2020 VENDOME PICTURES LLC, PATHE FILMS

マサチューセッツ州グロスターで漁業を営むロッシ家。父フランク、母ジャッキー、兄レオはいずれも聴覚障害者。ただ一人耳の聞こえる高校生のルビーが通訳として家族を支えています。

新学期を迎え、合唱部に入ったルビー。歌が好きなのに思い切って歌うことのできないルビーに対し、その才能を見抜いた音楽教師はレッスンをつけ、音楽大学に進学すること勧めます。

しかし、ルビーが通訳の役割を果たさなくては家業もままならないロッシ家。ルビーが仕事を手伝うものと思い込んでいた両親は進学に反対します。

そんなある日、政府の監視員がロッシ家が漁に出る船に同行することに。しかしルビーはこの日、家族への反発から船に乗ることをサボってしまいます。結果「安全な走行ができない」と判断され、ロッシ家は漁の資格を停止と反則金の支払いを命じられます。

進学をあきらめ、家業を手伝う決心をするルビー。
合唱部のコンサートで歌うルビーの姿をはじめて見た家族。

そしてー。

評)社会がほしがりがちな視点を鮮やかに覆す名作

2022年のアカデミー賞作品賞受賞作品です。
個人的には激推ししていた映画『パワー・オブ・ザ・ドッグ』が受賞できなかったことにクサクサしてしまい、ずっと見るのを先延ばしにしていました。

そんな心の小さい私の涙腺を容赦なく刺激したこの映画。

といっても、ありがちな「お涙頂戴もの」ではなく、むしろ絶対にそうはさせない、障害者が困難に立ち向かう美談という社会がほしがりがちな視点を鮮やかに覆していくものです。

聴覚障害者の両親の利己的な一面を打ち出し、ヤングケアラーという問題をしっかりと見せていきます。

聞こえないがゆえのお構いなしの生活音、身体で感じるために爆音で慣らすカーステレオ。聴者にとっては我慢するしかない「騒音」です。が、聴覚障害者にとってはそれらのすべてが「静寂」であるとあらためて思い知らされる合唱コンサートのあのシーン。衝撃でした。簡単に「理解しあえる」「一緒に問題を乗り越えられる」なんて言えないな、と。

父フランクのトロイ・コッツァーほか、聴覚障害を持つ役者たちの演技と、そこに果敢に挑むルビーのエミリア・ジョーンズが素晴らしいのは言うまでもありません。

ジョニ・ミッチェルの「青春の光と影(Both Sides Now)」を手話とともに歌うシーンは、この映画のメッセージそのものでしょう。

納得の2022年オスカー受賞作品、映画『コーダ あいのうた』、ぜひ。

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