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映画『モーリタニアン 黒塗りの記録』(2021年)のザックリとしたあらすじと見どころ

映画タイトル:モーリタニアン 黒塗りの記録
原題:The Mauritanian
製作年:2021年 イギリス・アメリカ
監督:ケヴィン・マクドナルド

映画『モーリタニアン 黒塗りの記録』は、

アメリカ同時多発テロの容疑者として裁判もないままグアンタモナ基地に長期収容された実話(原作は『グアンタナモ収容所 地獄からの手記』モハメドゥ・ウルド・スラヒ著)に基づく映画です。

映画的趣向を最小に「真実」を伝えんとする作風。覚悟をもって視聴したい1本です。

キャスト

・ジョディ・フォスター(ナンシー・ホランダー)
弁護士

・タハール・ラヒム(モハメドゥ・ウルド・スラヒ)
同時多発テロの容疑者として収監されたモーリタニア人

・シェイリーン・ウッドリー(テリー・ダンカン)
ナンシーの部下

・ベネディクト・カンバーバッチ(スチュアート・カウチ)
海兵隊検事

映画『モーリタニアン 黒塗りの記録』の見どころと感想

(C)2020 EROS INTERNATIONAL, PLC. ALL RIGHTS RESERVED.

9.11アメリカ同時多発テロから2か月後、モーリタニア人のモハメドゥ・ウルド・スラヒは事件の容疑者として現地警察に連行。その後アメリカに引き渡されキューバのグアンタナモ湾収容キャンプに収監されます。テロの実行犯と繋がりがあるという容疑ながら証拠はなく、裁判も行われないまま長期間身柄を拘束されていました。

その事実を知った人権派弁護士のナンシー・ホランダーは部下のテリー・ダンカンとともにグアンタナモへ飛びスラヒの弁護を引き受けることに。ナンシーらは現地で見た拘束の実態とスラヒの証言から重大な人権侵害が行われていることを掴みます。

一方、何としてもスラヒを有罪にしたい政府は、自らも友人をテロで失った海兵隊検事スチュアート・カウチ中佐を立て起訴の準備を進めます。

裁判に向けて証拠集めをする双方。ナンシーらは政府や軍からの情報提供が得られず、ようやく手にした資料の黒塗りだらけ。一方、カウチ中佐も証拠が不十分として尋問のMFR(Memorandum for the Record←編集されていないナマの記録)の開示を求めますが、応じない軍幹部に対し不信感を抱き始めー。

やがてナンシーはスラヒの手記から、カウチ大佐はようやく手に入れたMFRから供述強要の実態を掴み、その裏には大きな陰謀があることが明らかにー。

評)控えめな映画的演出で見せる事実の重さ

9.11の容疑者に対しCIAが行った苛烈な尋問(睡眠遮断・暴行・水攻めなど)は、その事実自体が大きな衝撃でした。有効なプログラムとして実行したCIAとこれを容認していたアメリカ政府。その陰謀の内情は映画『ザ・レポート』(2019年)でも描かれています。

弁護士と本来相対するはずの検事がともに真実にたどり着くシーンは最大の見どころです。というか、それ以外は非常に淡々としていて映画的な盛り上がりに欠けると言えなくもないのです。しかし、この実話に基づく映画にそんな演出や脚色は不要でしょう。

映画は裁判の結果までを描いていますが、その後釈放されるまでにさらに長い時間がかかり、さらにアメリカ政府はいまだに誤りだったとは認めていないという事実も重い。そして、スラヒの"赦し"に至る気持ちも重すぎる。

弁護士を演じるのは名優ジョディ・フォスター。エンドクレジットで実在の”ナンシー”が登場しますが、彼女が放つ人権派弁護士の雰囲気を見事に再現しています。正義に苦悩するカウチ検事のカンバーバッチも気持ちいいほどハマっています。そしてスラヒのタハール・ラヒム(ドロドロの愛憎劇『ある過去の行方』のクリーニング店主です)がこんな状況でも美しくてー。

映画『モーリタニアン 黒塗りの記録』 事実の重みをぜひ。


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