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映画『ヒッチャー』(1986年)のザックリとしたあらすじと見どころ

映画タイトル:ヒッチャー
原題:The Hitcher
製作年:1986年 アメリカ
監督:ロバート・ハーモン

映画『ヒッチャー』は、

殺人ヒッチハイカーによる不条理スリラーの名作です。追われる青年役に当時アイドル的人気を誇ったC・トーマス・ハウエル。シンプルなストーリーの中、ルトガー・ハウワー演じる殺人ヒッチハイカーが見せる真の恐怖とはー。

キャスト

・C・トーマス・ハウエル(ジム・ハルジー)
長距離陸送のバイト青年

・ルトガー・ハウアー(ジョン・ライダー)
ヒッチハイカー

・ジェニファー・ジェイソン・リー(ナッシュ)
ドライブインのウエイトレス

・ジェフリー・デマン(エストリッジ警部)
地元警察の責任者

映画『ヒッチャー』の見どころと感想

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シカゴからカリフォルニア州サンティエゴまで車の超距離陸送のバイトをしているジム・ハルジー。延々と続く砂漠地帯を眠気と戦いながら走る中、1人のヒッチハイカーを拾います。

ジョン・ライダーと名乗るこの男は、行先ほか、ジムの質問には一切答えることなく怪しい笑みを浮かべ、やがてジムをナイフで脅し始めます。

隙をついて男を車から蹴落とし難を逃れたジム。しかし、しばらく車を走らせているとあのヒッチハイカーを乗せている家族連れの車が追い抜いていきます。危険を知らせようとするジムですが、その家族は惨殺体となって発見されます。

再びジムの前に姿を現した男から執拗に追われることとなりー。

評)物理的に追われること以上に精神的に離れられなくなる真の恐怖

殺人鬼が追ってくる、というだけのシンプルなストーリー。砂漠地帯を舞台に登場人物も最小限。それだけに最初から最後まで張り詰める緊張感がスゴイ。

1986年、当時大人気C・トーマス・ハウエルの初主演作とあって喜び勇んで映画館に見に行ったものの、あまりの恐怖に、「怖かった」という記憶しか残っていなかった作品です。

あれから35年。C・トーマス・ハウエルはすっかり低迷し(映画『LBJ ケネディの意志を継いだ男』にチラッと出ています)当時子どものワタシを震え上がらせたルトガー・ハウワーも故人(2019年没)に。「もうそれほど怖くはないだろう」と見くびっていたらー。

怖いですよ、この映画。殺しのシーンこそないのに、惨状や「殺されたな」と気づかせる見せ方が巧み。「死」にとらわれている殺人鬼の思いが、やがて追われるジムの中に転化されていく展開も見事。

ルトガー・ハウワーの美しくも悲しい目。この目が物語る殺人鬼の本当の狙いに気づいたときに味わう恐怖こそ、この映画の醍醐味です。

久しぶりに見たC・トーマス・ハウエルが「ずいぶん子どもだったな」と思っていたら、後半見違えるほどの大人に。急に色気が出てきやがる! この成長っぷりも見どころです。 

そのC・トーマス・ハウエル。1995年には映画『ヒッチャー95』(←今や見ることも不可能)で監督・脚本・主演も……。2003年に『ヒッチャー2 心臓“完全”停止』(ルイス・モーノウ監督)で、その後のジム・ハルジーを演じたものの……。

書きそびれましたが、ヒロイン役はジェニファー・ジェイソン・リー。こちらは演技派として成長。奇しくも映画『『LBJ ケネディのー』では大統領の妻役でC・トーマス・ハウエルと共演しています。

究極の恐怖は色褪せることなどない、と思い知る傑作『ヒッチャー』です、ぜひ。


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