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映画『ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出』(2015年)のザックリとしたあらすじと見どころ

映画タイトル:ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出
原題:A Royal Night Out
製作年:2015年 イギリス
監督:ジュリアン・ジャロルド

映画『ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出』は、

終戦を国民と共に祝いたいと非公式で外出したエリザベス王女(当時)の実話をもとにしたフィクションです。映画『ローマの休日』のもとになったとも言われるこのエピソード。戦争が及ぼす傷にも思いをよせる王女の誠実さが描かれています。

キャスト

・サラ・ガドン(エリザベス王女)
のちのエリザベス2世

・ベル・パウリー(マーガレット王女)
エリザベスの妹

・ジャック・レイナー(ジャック・ホッジ空軍兵)
エリザベスが市中で知り合う兵士

・ルパート・エヴェレット(ジョージ6世)
エリザベスの父 国王

・エミリー・ワトソン(エリザベス王妃)
エリザベスの母

映画『ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出』の見どころと感想

(C)GNO Productions Limited

1945年4月ヒトラーの自殺によってドイツ軍は無条件に調降伏に応じ、第二次世界大戦における欧州戦線は終戦を迎えました。

お祝いムード一色のロンドン市中。国王ジョージ6世が国民向けのスピーチの準備を進めるさなか、エリザベス王女と妹マーガレット王女は街に出たいと懇願します。一旦は却下されるものの護衛付きなら、と許可を得た2人。
リッツホテルに到着した2人を迎えるのは宮廷行事と変わらない堅苦しい貴族たちでした。

が、エリザベスが応対している隙にマーガレットが脱走。見張りをしていたはずの護衛たちは娼婦と戯れていました。

海軍兵に誘われるままに街に繰り出すマーガレット。それを追うエリザベスはバスに飛び乗ったもののお金を持っておらず運賃が払えない。この窮地を救ったのが、空軍兵のジャックでした。

立ち寄ったパブでラジオから流れる国王のスピーチ。それを聞き誇らしげな思いに浸るエリザベスでしたが、ジャックは「きれいごとばかり」と反感を示します。

自分の正体を隠したままジャックの助けでマーガレットを探すエリザベスはやがてジャックが抱えている苦悩を知りー。

評)歓喜の裏にある社会の現実に対するエリザベス王女の真摯な思い

『ローマの休日』的な王女のロマコメかな、と思って見たところ、それだけではない見どころのある作品でした。

ジョージ6世のスピーチ(『英国王のスピーチ』)や、外出を楽しみにするマーガレットがグレゴリー・ペック(『ローマの休日』の記者)に憧れるシーンなど、ほかの映画への目配せもニクイ。とにかくはっちゃけるマーガレットと王女たちを見失う護衛のシーンは特に楽しい。

が、その一方で戦争後の社会の厳しい現実も描かれています。
戦争に勝ったとはいえ、大きな傷を負った兵士とその家族。王室に向けられる批判。王室と市民の格差。それらを目の当たりにし、あらためて自身の大きな役割に覚悟を決めるエリザベス王女。その誠実な美しさが印象的です。

エリザベス王女を演じるのはカナダ人女優のサラ・ガドン。親しみと品格を備えたルックスが魅力的です。空軍兵士にはジャック・レイナー(『シング・ストリート 未来へのうた』のいいお兄ちゃん、『ミッドサマー』の残念な彼氏ほか注目株)。

2022年9月に逝去されたエリザベス2世。その若き日のエピソードを基にした映画『ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出』 ぜひ。


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