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映画『やさしい本泥棒』(2013年)のザックリとしたあらすじと見どころ

映画タイトル:やさしい本泥棒
原題:The Book Thief
製作年:2013年 アメリカ・ドイツ
監督:ブライアン・パーシヴァル

映画『やさしい本泥棒』は、

第二次世界大戦に向かうナチス政権下のドイツを舞台に、本を読むことで勇気や希望を持って生きていこうとする少女と、その家族らを描いたヒューマンドラマです。

名優ジェフリー・ラッシュ演じる老養父の愛の深さに心うたれる映画です。

キャスト

・ジェフリー・ラッシュ(ハンス・フーバーマン)
リーゼルの養父

・ソフィー・ネリッセ(リーゼル・メミンガー)
里子に出された少女

・エミリー・ワトソン(ローザ・フーバーマン)
リーゼルの養母

・ベン・シュネッツァー(マックス・ファンデンベルク)
フーバーマン家に逃れてきたユダヤ人の青年

・ニコ・リアシュ(ルディ・シュタイナ)
フーバーマン一家の隣に住む少年

映画『やさしい本泥棒』の見どころと感想

(C)2013 TWENTIETH CENTURY FOX

1938年のドイツ。軍に追われる共産党員の夫婦は子供を里子に出す決心をし、貰い手の住む田舎町へ向かいます。が、その道中で弟は病死。里子先のフーバーマン家についたのは姉のリーゼルだけでした。

二人分の給付金をあてにしていた養母ローザは不満な様子を隠すことなくリーゼルにつらくあたりますが、養父ハンスはリーゼルをやさしく迎えます。

リーゼルは弟の埋葬時に拾った1冊の本「墓堀人のガイド」を持っていましたが、読み書きができません。ハンスはそんなリーゼに本を読み言葉を教えていきます。

しかし、ナチスによる反ユダヤ主義が広まるドイツでは、自由に本を読むことが許されなくなります。

そんなある日、反ユダヤ集会での焚書のなかから1冊の本を盗み出すリーゼ。

そしてフーバーマン家には、ハンスの旧友の息子であるユダヤ人青年マックスが命からがら逃げ込んできます。マックスをかくまう一家。そしてマックスからも本を読む楽しさを学ぶリーゼル。

しかし、時代は戦争に飲み込まれていきます。

評)ナチスドイツの足元にあった、ささやかな幸せを守ろうとする人々

オーストラリアの作家マーク・ズーザックのベストセラー『本泥棒』を映画化した本作。舞台は第二次世界大戦に向かうドイツとあって、けして明るい世界が描かれたものではありません。

少女の養父ハンスは初老のアコーディオン弾き。収入もそれほどなく洗濯婦として働くきっつい妻に小言を言われる毎日です。そのハンスに本を読むことを教わり、言葉と、物語と、世界を知っていくリーゼル。あたりのきつい養母も実は愛情深く、夫とともに危険と知りつつユダヤ人青年をかくまいます。

そこには普通の幸せを願うドイツ人の暮らしがあります。
世界から見れば敵国となったナチスドイツですが、その足元には普通の人々のささやかな暮らしがあったことをあらためて気づかされます。老養父がアコーディオンを奏で(このシーンはホントに好き!)、妻が小言をいい、子どもが夢中になって本を読むー。ささやかな幸せです。

そんなささやかな幸せを守ろうとする人々の温かさと強さにジーンとなる一方、「死神」を語り手としたちょっとドライな趣向にハッとさせられるー。 映画『やさしい本泥棒』、おすすめです。


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