『だから僕は、ググらない。面白い!を生み出す妄想術』浅生鴨
すぐにググることが習慣になっていて、これじゃいかん!と、悩んでいた。
『だから僕は、ググらない。面白い!を生み出す妄想術』(浅生鴨著・大和出版)は、そんな検索地獄から救ってくれた1冊です。
『だから僕は、ググらない。』はこんな本です。
とあるように、本書は発想法の本です。
著者の具体的な発想法(妄想)を中心に6章で構成されおり、妄想の基本的なルール(考え方や構え)、妄想の広げ方と具体的な方法など、妄想の方法とその意図がわかりやすく解説されています。
評)実感!面白いを生み出すのは妄想
「検索はいかん!」といってるわけではなく、むしろ著者自身も、ものすごく検索するほうだという。そのことに救われる思いを抱きながら読み進めていく先に待ち構える著者の妄想法の数々。
方法自体はけして目新しいものはないけれど、「じゃあ、これをやるか、やれるかといわれると......。ランダムに妄想を広げていくことはできても収拾がつかなりそうだしー」、ナンてことが気になるわけです。
が、そうやって躊躇してしまうことが発想を広げるブレーキになってしまう。著者のように妄想が「癖」になるほど日常的に楽しんでやればいいのでは(収拾のつけ方は5章を参考に)、という欲がムクムクとわいてきます。
この本で紹介されている妄想法のなかで特に面白かったのは、妄想を生み出すための「じぶんフォーマット」発想をパターンをいくつか持っておくー、というもの。
例えば「AならばBである」が正しいとき、必ず「BでないならAではない」も正しくなるという論理(対偶の真偽は一致する)。
このお決まりの言い回しを出発点にして妄想を広げると、論理的には正しくないことに行きあたり、そこからさらに妄想が広がるという考えです。
さらに「お客が代金を払う」といった普通の文章の語順をでたらめに入れ替える方法からも、思いもよらぬ方向に妄想が広がる面白さがあるー、と。
たしかにこれはそう!と、ある企画で記事を書いていた頃を思い出しました。出された「お題」について自由に書く企画。ストレートにお題そのものを書くと人と被るかもしれないので、できるだけあらぬ方向に発想を膨らませて書きたいー、そう考えながら、いろんな方法を模索しました。
「タイトルに(お題)がつく知らない演歌の歌詞の世界を勝手に思い描いてみる」
「取説の必要がない(お題)の取説を書いてみる」
「(お題)から連想する競走馬にインタビューしてみる」
など。
これらは検索して出てくるものではありません。
まさに、妄想のなせるワザ、だから書いていても面白かったのだと、あらためて実感しました。
発想を広げる面白さは、私が好きなウディ・アレンの映画に通じるものがあります。
「用心棒が書くシナリオがめちゃくちゃ面白かったらー」(『ブロードウェイと銃弾』)
「銀行強盗の隠れ蓑のはずのクッキー屋が大流行りしたらー」(『おいしい生活』)
「催眠術にかけられたまま強盗をしたらー」(『スコルピオンの恋まじない』)
アイデアが面白いこれらの映画は、作中でさらに面白い展開を生んでいきます。
こうしたアイデアや展開力は、日常的な妄想から生まれているのかもしれません。
まとめ
『だから僕は、ググらない。面白い!を生み出す妄想術』は、自分の頭に埋もれがちなアイデアの種を引き出す妄想術が満載です。
・自分なりの仮説やアイデアの種を見つけてから検索をはじめる。
・仮説やアイデアの種を見つけるためには、日頃から頭を柔らかく、妄想する癖を。
楽しく妄想することは面白いを生みだす! ググる前にぜひ「妄想」を!
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?