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「シン・仮面ライダー」をみた

なんかすごかった。

そして当然のごとくネタバレ注意。

0.鑑賞にあたっての事前知識

生誕50周年を迎える「仮面ライダー」についての事前知識。

まず、私はちゃんと「仮面ライダー」を見たことがない。漫画は少しだけ読んだ。仮面ライダーにまつわるトリビアは多少かじった。
本映画のネタバレは踏んでない。でも「シン・仮面ライダー」って検索したときのサジェストで「がっかり」が出てきて危なかった。

鑑賞にあたっての事前知識って、おまえ自身のかよ。


1.あらすじ

記憶を整理するためのあらすじ。

頭脳明晰、スポーツ万能、でもコミュ障な本郷猛。
よくわからないままバッタ人間に改造されており、よくわからないまま人を殺めてしまう。
過ぎたる力に怯えながらも、生来の人の好さで、勝手に改造してきた博士の言うことを聞き(博士の娘もついてくるし)、意識高い系秘密結社S.H.O.C.K.E.R.と対峙することに。
クモ、コウモリ、ハチ、サソリ、バッタ、カマキリカメレオン、チョウチョオーグを倒しその瞳は何を見る……?


2.細かいこと

ストーリーの詳細を思い出しつつ思ったことを書いていく。
なお、順番はバラバラの可能性が高い。ひとえに記憶力が悪さゆえである。


冒頭

説明もなく逃亡中の本郷と緑川ルリ子。ガチ初見の人には本当に場面が掴めないと思う。大丈夫か仮面ライダー。

一緒に逃亡する役回りは「仮面ライダー」だと緑川博士だったが、どうせ死ぬ博士とのシーンを確保するより浜辺美波のカットを優先したのだろう。賢しい選択だ。

しかし、仮面ノリダーにすら入っていた改造シーンは1秒も存在しない。全編を通して。石ノ森先生が「発展した医療で延命する人が増える中、『改造人間』という言葉を使うのはよくない」というようなことを言っていたらしいが、それに対する配慮だろうか。でも設定としては改造人間なんだよな。よくわからない。

ともかく、本郷とルリ子は命からがら逃げだし、訳も分からぬまま本郷は仮面ライダーに変身。崖の上から見下ろすいつもの構図、からの無駄にグロテスクな戦闘シーン。POVのカットも挟まりつつ、「この映画は子供向けちゃうねんぞ」という映倫的な導入だった。

そして特撮がすごい。実写なのかミニチュアなのか白組なのか、はっきり判別できなかった。トラックがぶっ飛ぶのは劇場で見なければ得られない高揚感を齎した。

世代ではないのに懐かしさを覚えるSEと、超ハイテクな特撮が組み合わさると、脳みそのよくわからないところで快楽物質が出る。シンウルトラマンもそうだった。

いいんじゃない、いいんじゃない。「仮面ライダー」のリブートリメイクは全部微妙になる、というのが私の偏見だったのだが、覆してくれるだろうか。

そんなこんなでこの時点では期待が8割、しかし不安も8割といったところだった。映像でかなり魅せてくれるとはいえ、だってあまりにも説明がない。

そして今思えば、既に玄人向け映画の匂いはそこらじゅうに漂っていた(4DXでもないのにね)。


事情説明

クモオーグの魔の手から辛々逃れた二人は、隠れ家のコテージなのか倉庫なのかへと身を隠す。そこには緑川博士がおり、こうなったいきさつを説明してくれるのだった……。

なんとなくわかんねえ。まぁ本郷猛が万能超人で改造されちゃった可哀相な男ということは共通認識として、どこが「シン」であるかの表明ポイントだったのかもしれない。

変身装置の科学的裏付け(プラーナってなんだ(いやそういう言葉があるのは知ってるけどそういう事じゃない))然り、主人公のコミュ障設定然り。

また、変身時、というかプラーナを圧縮して強化されたときに顔が怪人化し、ヘルメット、プロテクターはそれを隠すための仮面であるという設定は原作に忠実。

でも全体的に説明不足感というか、「それはおまえの読解力のなさだろ」と言われてしまえばそれまでなのだが、動機づけがよくわからない感じだった。あと中だるみというか、そりゃ過激なアクションの後には静かなシーンで文句ないんだけど、それにしてもなって。開示される情報の多さと不足さ(少ないわけじゃない。ただかゆいところに手が届かない感じ)にあてられるってのもあるか。

好意的にとれば「こんなシチュエーションでも命がけの願いを聞き入れてしまうやさしい主人公」の表現の一環である。でもその論拠が小型犬みたいに震える池松壮亮くらいしか見つけられなかった。故に疑問符が出かけた。ということだった。

個人的には蛇口をひねりつぶしてほしかった。


再戦クモ男

なんとルリ子の体には発信機が付けられていた!
見つかってしまった裏切り者3人(うち事情が分かっていないもの1人)、一人は殺され一人は縛られ一人は攫われてしまう。いけ、仮面ライダー。ルリ子を助け、浜辺美波が画角に収まる時間を増やすのだ。

変身シーンキターーーーーー!

サイクロン号の変形ーーー!!

白組ーーーー!!!!

やはりというか当然ではあるのだが、変身ポーズで変身なわけないよね。ベルトに風を当てて変身。当たり前だよね。

最高だった。この私でさえ聞いたことのあるお馴染みのBGM、50年の時を経て進化した(ひと議論が起こりそうではあるがあえて無視する)映像技術、大画面迫力音響。

正直、この変身シーンを見るためだけに劇場に足を運んでもよい。と、私は思った。この時点では。

そして原作オマージュの戦闘シーン。集団に囲まれて棒を突かれる 上→回避→下→回避(ジャンプ) のアクションってクモ怪人の回に出てたんだ。他にもどこかで見たような映像を再現していて、おお、これが「シン」なのだと有無を言わさぬ態度。

ビジュアルがいいというだけで着せたと思われないためにコートを活かした攻防もあり、大満足。

もう仮面ライダーのスーツがかっこよければそれだけで満足する人間ですからね、私は。

いやーよかった。なんか空中のトランポリンカットが多い気がしたけど、こういうものなのかしら。見たことねぇからな、「仮面ライダー」。

ああ。これはいい映画だ。怪人も爆発しないし。リスペクトってこういうことなんだな。


戦闘終了、協力者

IQが600あるとはいえ、むしろあるが故に? 命を奪ってしまったことを深く悼む本郷猛。そんな姿をみてルリ子は「なんだ全然使い物にならねえのこいつ」と言わんばかりに、突如現れた政府の男たちと話をつけてコウモリ対峙に向かってしまう。どうする、本郷猛。

戦闘後に黙祷するライダー。やってます。いや、あの、否定してるわけではないです。一切。ただ、やってます。これだけ言わせてほしかった。

ヘルメットに殺人を幇助するシステムが入ってるってのは、かなりのパンチラインだと思う。自分の弱さを隠すための仮面(そんな感じの設定じゃなかったっけ。クウガに影響されすぎて記憶が曖昧かも)に、残虐性を強制的に増す効果を乗せる。心優しき青年がバトルで胸がすくような大立ち回りをするギャップの理由付けとしても良い。そうだ、マスクをつけ続けてしまえば、お前は戦うための生物兵器になってしまうぞ。助けて椿!

一先ず仕事を終えて別の隠れ家へ移動する二人と一台。バイクだけ後をつけてくる。自律バイクというと私はオートバジンを思いだす。デンバードにもこんなシーンあったかな? 初出としてはアクロバッターになるのか? それともジャングラー? 昭和はあんまわからんとです。

ただいまーって知らん男が二人!
片方はタチバナと名乗る竹野内豊と、タキと名乗るウルトラマンじゃない斎藤工。タキってそれ非粒子物理学者の匂わせか~?とか見た後に一緒に見た友人と話していたがタチバナっておやっさんじゃねえか!

おやっさんはおやっさんとして、竹野内豊は竹野内豊として、あまりにも別の記憶ボックスに入っていたから気づくのがめちゃくちゃ遅れたけど。庵野!やったな……。

びっくりした。あれがおやっさんなのか。もっと人情味あふれる感じじゃないんだ。零れ落ちた人情の雫をオタクが有難がって啜るような楽しみ方しかされないキャラになっちゃった。

なんやかんやで政府との協力を取り付けたルリ子は、単身と政府供与の2丁拳銃でコウモリ男の潜伏場所へ。本郷猛も同行するとは言うが、未だ信用を勝ち取れていない。「私、用意周到なので」というフレーズをパーフェクトハーモニーレベルに流行らせるべく、ルリ子は決め台詞を吐き続ける。じゃないと子供たちが見た時にキャラクターの判別がつきにくいからね。毎週見るとはいえ6日も空いたら記憶も空きますわ。

閑話休題。

まぁ、竹野内豊と斎藤工でちょっとお茶を濁された感じあるけど。
なんか、間延びというか。なんだろう、この感じ。


コウモリオーグのへや

広いホールでコウモリ男はウイルスの研究をしているらしい。Kとかいう人型ロボットと顔見知り特有の会話をしつつ、幹部級オーグとは知り合いなのよね私と人脈マウントをスクリーンの向こうのこちらにとってきたルリ子。意識を失いコウモリの術中にはまったルリ子。頑張って腹を決めろ仮面ライダー。ヴィルースってなんだコウモリオーグ。いや庵野!

ヴィルース。ヴィルース!?
ヴィルースってなんだよ。いや、ウイルスっていうカタカナ読みが浸透したのは案外最近とは知ってるけどさ。せめてヴィールスにしねぇか。もうそっちの方が気になって話が入ってこないよ。なんか「ケコーン」とか「あぼーん」とかの2chノリが頭を過るんだよ。「キボンヌ」「トンクス」とかまで思い出しちゃった。

原作でヴィルースって言ってるのかなと思ってYoutubeで見たけどヴィールスでした。ドラえもんのひみつ道具だって「流行性ネコシャクシビールス」ですよ。
ヴィルースってなんだよ。

他にも「プラーナシステムで生物を利用した攻撃は無効ラ!」とかじゃあどうやってコウモリオーグの意図を読んだのかとかウイルスは生物なのかとか政府はどうやってあの中監視してんだとかいろいろあったけど、

サイクロン号変形!

ブースター変形!

ライダージャンプ(乗り捨てヨッシー方式)からのライダーキック!

でもう満足。アクション最高です。
このシーン見るためだけに劇場に足を運ぶべきだ……ってなんかさっきも思ったな。

もしかしてこの映画、これを繰り返す?
盛り上がりと盛り下がり(というと角が立ちすぎてしまうけど、分かりやすさ重視で)を?
この先もずっと?

いやいや、まさか。ちょっと不安定運航はこれでおしまいでしょ。大丈夫大丈夫……。

とりあえずライダーキックした足は洗ってね。


サソリ女

サソリ女が出ました。政府が対応しました。殺せました。✌

一般人に対応可能な怪人、という概念は結構好き。ゼクトルーパーとか、BLACK SUNとか、駆除班……あいつらは一般人じゃないか。

でも、なんだろう。なんか、なんだろう。

アンバランスさというか、尺のわりに詰め込まれた意図というのか欲望というのか、そういうのがチグハグというか。

英語発音。シンゴジラの石原さとみを思い出した。そしてそれにまつわる、とあるレビューも同時に。


ハチの巣をつつきに

政府の情報をもとに、二人はハチオーグの根城へ足を踏み入れる。ショッカー壊滅のためには倒さなければならないハチオーグは、なんとルリ子の友人だった。さあ、どうする本郷猛。

S.H.O.C.K.E.R.の幹部勢とルリ子、知り合いなんすね。まぁそりゃそうか。娘に一切悟られずコトを進めていた原作緑川博士がすごかったのかもしれない。

そしてトレーラーで何度も見たアーケードを歩く二人の場面。
画になるね、コートを着た浜辺美波。監督の熱意がかなり注がれているのだろう。

だんだん揃う足並み。それは二人の、ではなく背後のエキストラのものだ。実はここはもうすでに、ハチオーグのテリトリーだったのだ!
観客の顔を立てるために、「ここまでくりゃさすがに分かるだろ」ってレベルの統率になってから言及してくれる脚本。好きです。

ハチオーグ配下の女性構成員、ハイレグすぎん?


初めての野宿

サーバーの位置が分かったので野宿。作戦を練りつつ、二人は対話を進める。だが政府の調査が甘く、ここさえもハチオーグのテリトリーだったのだ! ガバガバ政府!

食事は栄養補給のための手段で―す目ピカー
私は人工子宮で生まれたしなんなら生体電算機でーす目からインストール
そういうの好きよね。いやなんでもないけどさ。

ここの「僕の作戦を信じてくれ」「あなたを信じるわ」のシーン、二人の信頼関係が一歩進んだのはわかるんだけど、なんで進んだのかがよくわからない。コウモリの時助けに来たから? それだけだとなんか薄弱な気がして。
シンウルの「両方だ(ryそう信じてここにいる」「じゃあ私もあなたを信じることにする」って会話の時も思ったんだけど、なんか儀式様というか。自然な流れに見えないんだよな。私の人生経験が浅いからかもしれないけど、理由というか、動機が見えない。こういうストーリーだから、こういう言動になるよなっていう機械チックなコミュニケーションに見えてしまう。

じゃあてめぇの満足のいくハートフル描写を見せろよと言われても、具体例をシャッとは出せない。その程度の人間。


激闘ハチオーグ

投降しろ!ショッカーに戻れ!平行線な議論を終わらせるのはいつだって暴力。仮面ライダーはルリ子のかつての友を殺せるのか?否である。

おお、急に百合展開。三次元だとビアン呼びをしたくなるのは悪い習性だろうか。

うーん、嫌いじゃないんですけど。GLもBLも。しかも一般的な好きじゃなくて、偏執とかクソデカ感情主体のやつは尚更好きではあるんですけど。

やっぱり説明が足りないよ。背景説明がないまま好きだろ?こういうシチュって出されても受け入れ態勢が整っていない。野宿の時にハチオーグが人だったころにルリ子にしてた奇行(ルリ子が困ってるとなぜか嬉しそうだったとか、ハチオーグの作ってくれた料理に偶に大量のワサビが入ってたとかのエピソード)の話があったりしたら、「お、ハチやばそうだな」って構えられる。

でも急に「泣きわめけオラ!ずっと好きだったんだよ」って言われてもえぇって。

まぁこれは私の嗜好かもしれない。私にとってのGLの本懐はオタクの脳内にできた虚像二次創作かもしれないから。

ハチを殺した弾丸に書かれてたSV1、多分スコーピオンヴェノムだと思う。違うかな。

あ、例によって戦闘シーンは最高だった。ただハチルリ劇場が少しささくれ気味。情緒はぐちゃぐちゃ。

「泣けや!」って襲ってきたキャラが死んでしまった悲しみで、涙を乞われたキャラが泣く。かなりベタな展開。そこは微妙にずらしてくるかな、と思いきやど真ん中の直球勝負。

ちょっとクサくね?と思ったら、臭いのは本郷猛のプロテクターでした。チクシ


チラ見せカメレオン

カメレオンのチラ見せ。Kの食い気味ネイティブ?英語にそろそろ突っかかりたくなる。


CHOUCHOが目覚めた

戦いを終え、場面は奇妙な共同生活へ。急にめんどくさい女になったルリ子、それは意図的にやっていたルリ子、虫の知らせで兄の目覚めを察知したルリ子(虫の知らせってのはチョウチョとかけてます)。最強のオーグに、本郷猛は勝てるのか。そんでシンウルトラマンで物議を醸した匂いフェチシーンは、やはり庵野由来だったことが明らかになった。

そういや兄が蝶なのって、長男だから?蝶男ってこと?


お、きたぞきたぞ新用語。シン・用語。

ハビタットゾーン? 聞き取れている自信はないが、そんなことを言っていた気がする。曰く建前の介在し得ない本音だけの世界。兄からすれば天国、妹にいわせりゃ地獄。ただしその具体的な様子は一切触れられない。ちっとも。考察の余地、みつけちゃった。

ひとまずハビタット送りを何とかするために、システムをパリファライズ?するために兄のもとへ。おつかいのためのおつかいクエストって感じ。

ここで入る「なぜ兄がハビタット信者になったのか」回想、シンエヴァのゲンドウの独白を思い出した。思い出したというより、同じ気持ちになった。「あれ、これシン仮面ライダーだよな」という謎の不安。見ている作品が突然別のものになったような錯覚。なんでだろう。不思議だね。

案の定パリファライズはできず、それはプラーナの絶対量の差によるものだった。
いったん引くぞ! 逃げ足の速いヒーロー、いいね。

だがそう簡単には逃がしてくれず、兄の隣には新型バッタオーグがいたのだった。
なんと風もないのに変身ができる。なんだって!

あ、2号の変身ポーズだ! やったやった!

逃げろ!


一文字隼人

万全の本郷猛と戦うため、あえて開けた場所まで見逃したバッタオーグVer2。彼の本当の目的とは。あとあのバイクの止め方もアキラ判定になったりするのだろうか。流石に考え過ぎなのか。そして一文字隼人の本当の目的とは。

来たぜ、2号。まさに好敵手って感じのキャラで、ちょっと喋っただけで本郷猛より好きかも……と思ってしまった。本郷猛は全然見えてこないんだよな。口下手で不器用ながらも優しさを見せる良いやつっていう立ち位置にしたいのはわかるけど、もう少し見せ場を作ってやってもいいと思う。

でも分かりやすすぎると、それはそれで問題なのか。よくわからん。クリエイターの世界というものは。

対して一文字隼人はかなりわかりやすいキャラで、非常になじみやすい。最近のライダーっぽいともいえるかもしれない。決め台詞もあるし。

何よりライダーが二人も戦ってんだ、燃えないわけがないだろ。

戦闘のカットがたまに使いまわしな気がしたけど多分気のせいだし、ジャンプしながらバババババってやり合うのはバッタの特徴を生かした最適な戦い方なのでいいとおもいます。

あと本郷猛の足逆パカに関しては、2号ライダー登場の原因になった怪我をこういう形で取り入れてくるか、と腕組みしながら見ていた。あれ絶対そういうことだよね。流石の改造人間といえども復活には時間がかかる、から治るまでおれがライダーしててやるよ、ってことだよね。(思いのほか早く治ってたけど)

そして一文字がはじめに敵として出てきたことで、私が鑑賞前に感じていた恐れである「漫画版準拠で本郷猛死ぬんじゃね?」という懸念がより色を濃くしたのであった。


ルリ死

なぜ殺たし

浜辺美波がシン・仮面ライダー平時の視聴モチベーションを底上げしてくれる存在だって、みんなわかってるでしょ!

本当に申し訳ないが、この時点で私は「この映画はたまにくるクソ熱シーンを摂取するためにそれ以外のシーンを義務鑑賞する」という楽しみ方になっていた。

たまにくるクソ熱シーンとはつまり変身シーンであるとか、明らかな再現シーンであるとか、昔ながらのBGMのアレンジが流れているシーンであるとか、主にそういったものが該当するのだが、映画本編の長さに対して、それらの量はあまり多くない。少ないとさえ言っていいだろう。

たしかに、少ないからこそ価値がある、という言説は一定の議席を獲得できるだろう。

しかしそれだけを楽しみには中々乗りこなせないというのもまた、目を逸らせぬ側面として存在する。

そこで重要なのがルリ子の存在である。

正直これまでの人生で、「浜辺美波」という女優の存在は、沢山いる美人俳優のうちの一人で、名前を聞いても「ああ、なんか有名な人でしょ」くらいの認識しかなかった。

だが今作のルリ子はすごい。丸い髪形(知識がなさ過ぎてこうとしか言えない)、コート、黒インナーとかいうオタク受け全開の衣装を見事に着こなしている。

キャラクターとしてはあんまり好きじゃないけど、ビジュアル面が良すぎる。

ただコートは常に着ててほしかった。私服姿は微妙。というかコートがいいね。

そんなわけで、シン仮面ライダーを苦無く見る上でルリ子の存在は不可欠である。

それを殺すとかさ、ね。

カメレオンカマキリ許すまじ。


にせ仮面ライダー

一文字と和解した本郷。しかし一文字は自由を愛する人間である。政府の犬は嫌だから、チョウチョ倒しには一人で行けよ。
気をつけろ本郷。映画とかPVでよく見るトンネルの中には、にせライダーが大量に待ち構えているぞ。頑張れ本郷。間に合え一文字。

にせライダーとの戦闘シーン、かなり頭が悪くて好き。

パンチしてマスクが割れて、にせライダーの素顔が見えるところも好き。
素顔がグロテスクなのはショッカーライダーも本郷も同じ。本郷の変身時素顔は冒頭にしか出てこなかったけど、その事実を思い出させてくれるいい演出だと思う。

そんで鑑賞時、ここで本郷死ぬと思ってました。本郷の死体を抱いて一文字が慟哭する展開を期待してたんだけど、残念ながら死ななかった。

あっダブルライダーキックだ! やったー!!!


ちょうちょさん

ルリ子の入れ知恵でチョウチョのパワー源を破壊したダブルライダー。だがそれでもチョウチョの力は強大であった。ピンチを迎え諦めかける一文字に、本郷は更なるルリ子の入れ知恵を開示する。

チョウチョオーグの俳優、トレーラーで見た時は又吉のパチモンかと思ってしまったけど、めちゃくちゃいいですね。喋りと動きと服のうさん臭さがベストマッチしてる。ただ素顔だからあんまり激しいアクションができない。かといって変身後のマスクはあんま好みじゃない。惜しいね。

ねぇ、あのベルトはナニ? ダブルタイフーン? の割にトンボじゃなくてチョウチョだし、0号とか名乗り始めるし。0号って設定上いたっけ。原案的な意味で骸骨かな、と思ったけどマスクがあんまりしゃれこうべっぽくないし。

最後の喋りながら殴り合うのもなぜかシンエヴァを想起させた。ゲンドウとシンジが3DCGでやりあうところ。ここで「なにを見せられているんだろう」、と少しだけ思ってしまったのは秘密。超人的な能力を持つ者同士が泥臭く戦うのは好き(例:クウガ)なんだけど、ちょっと長くね? 内容もちょっと、   

ベルトパンチはクウガリスペクトだったり? それともクウガのさらに元があるのか。私は何も知らない。

あ、やっぱり本郷死んだな。このシーンでヘルメットを残すためにルリ子がなんか作業してたのか。このシーンの辻褄を合わせるためだけに、パソコンとそこそこの尺を使って「死亡時の消失を無効化して」だのやってたんですね。なんでスカーフまで泡になったんですか?

私は何も知らない。

勝負の結末も、はたから見たら面白いよね。変なヘルメット被った男が何か言いながら後ずさって、それにピッタリ別の男がついていく。シュール。

そうして本郷は泡になってしまった。心すっきりだ。かぷかぷわらったよ。


ズッ友ヘルメット

一文字、君は独りじゃないわ。マスクに二人入ってるもの。

いや、ちょっと粘度高くね? 耳元でずっとしゃべりかけてくるわけでしょ。変身時だけ一緒だとはいえさ。「お前の体を通して風を感じられる」って感覚も共有してんだね。ちょっと湿度高くね?

すっきり死んで、すっきり別れて終わりで良かったじゃん。死してなおも輝き続けるってこういうこと?

と思って少し調べたら、原作漫画版も本郷が完全に死ぬわけじゃないんですね。脳髄だけ残ってテレパシーで喋るんだ。へぇ~。

石ノ森先生ほどの人が言うなら……。

ヘルメットの色が新だ!! スーツのデザインが新1号だ(多分)!

つまりこれは、新仮面ライダーエピソードゼロってことでおk? などと旧1号が新1号になった経緯を知らないやつが申しております。


エンドロール

ヤスケンどこにいた?

長澤まさみも?

松坂桃李??

松坂桃李はたぶんあのロボの声でしょ。そういう使われ方してそう。どうせなら戦隊出身じゃなくてライダー出身の俳優使ってほしかったけど。
長澤まさみは分からん。が、まあいいとして。

安田顕、どこにいたんですか?



ラストに原作のOP再現した映像流してほしかったな。You Tubeにあるやつ。

スクリーンで見たかったな。ちゃんとしたエンドロールの方でレッツゴーライダーキック流れた時点でほぼ諦めてたけど。


3.最後に

見終わったときは、本音を言うと「微妙だな」と思っていた。確かに所々で盛り上がるし(心が本当に訳の分からない盛り上がり方をする。多分バグに近い)、映像もきれいだったんだけど、全体を通すと厳しい。

2時間1分13秒中、平均50点(最高得点100点)という感じ。ルリ子を途中で殺さなかったら平均60いってた。

とか言ってたんだけど、この記事を書くにあたって、冷静に思い返したり、Youtubeで見れる「仮面ライダー」の1話と2話を見てみたりした結果、もう一回見たくなった。

映画館に足を運んでまで見ろ! と他人に胸を張って進めることはできないんだけど、映画館で見ないと得られない感動がたしかにあるんだよね。

だからこの映画はテレビとかスマホとかだと本当に見れない気がする。スクリーンありき。

そんなわけで、もしかしたらもう一度劇場に足を運ぶかもしれない。

そんな映画だった。すごい映画だった。


4.本当の本当に終わり

書いているうちによく分からなくなって、0時を回るし、1万字超えるしでひやひやしているけど、これはこういうものということにした。マトリックス4の感想を書いたときもこんなになってしまったなと思い出す。

感想としてまとめ上げたものじゃなくて、脳内の記憶を辿って思ったことを書いているだけだから、どちらかというと実況に近いことをしている。

だからこれはもう、当時の自分を残す、記録として扱うことにした。書き直さん。むしろ不可能。
(2023/03/24)こんなこと書いといて見返してたんですが、「本郷猛」をずっと「本郷武」って間違えてました。郷田かよ。
いやほんとすみませんでした。まさか世界的ヒーローの本名をMicrosoft IMEがフォローしてないとは思いもよらず。一発変換で出るやろと高をくくっていたらこの始末です。気をつけますほんとに。
(2023/03/24)郷田じゃねえだろ。剛田でした。もうやだ。


あと、特典のカードは1号とルリ子でした。やったね。

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