「イマジナリー宇宙人」と暮らす日々#読書日記
村田沙耶香さんの「信仰」という短編を読みました。
中でも一番印象深かったのが、
「彼らの惑星に帰っていくこと」というお話です
主人公の女性は、
幼少期、極度に内気な女の子でした。
「異物になってはいけない」という思いから、
周りの子の真似をして、必死に「普通の子供」ようにふるまいます。
8歳になったある日、主人公は、
イマジナリー宇宙人のAさんと出会い、
イマジナリー宇宙人といる時だけが、
ありのままでいられる時間になっていく、というお話。
人は、ありのままでいられる場所があるから生きていけるし、
その居場所がイマジナリーであってもいい。
何に拠り所を求めるのかは自分が決めていいんだよって
そっと肯定してくれるようなお話でした。
主人公のこの言葉が印象的で、
自分の唯一の心の支えを失うことに対して
恐怖を感じている主人公の姿が、過去の自分と重なって、
胸がぎゅーーっとなりました。
中学生の時、ぼっちだった私にとって、
ニコニコ動画が唯一の居場所でした。
たびたび、学校に行きたくなくて、
朝起きられないことがあったのですが、
事情を知らない両親は、
『遅くまで動画を見ているのが悪い』と、
動画を見ていたタブレットを取り上げました。
唯一の心の支えがなくなった絶望はすさまじくて、
もう10年近く経った今も忘れられません。
そういう経験をしたからこそ、
「心の支えを奪うことは絶対したくない」という気持ちが強くあります。
たとえそれが、リストカットとか、ODみたいな、
自分の価値観でわからないものだったとしても、
絶対に取り上げちゃダメだって思います。
それがその子にとってのイマジナリー宇宙人なのかもしれないから。
実はこのお話、小説ではなくエッセイなんです。
筆者の村田沙耶香さんは、
42歳になった今も、
イマジナリー宇宙人との時間を大事にしているそうです。
周りから見て、
どんなに変なものに心を支えられていたとしても、
自分が幸せならそれでいい!
何に拠り所を求めるのかは自分が決めていいんだよ!
そんなメッセージをもらえるエッセイでした
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