アサーティブな伝え方:自立活動
「自分も他人も大切にする伝え方」それが、「アサーティブな伝え方」です。
特別支援学級の自立活動の授業。
「コミュニケーション」をテーマに、いろいろな授業を作っています。
この日は、中学2年生の男子生徒との授業でした。校内の若手の特別支援学級担任も見学に来てくれたので、生徒役として巻き込んで、一緒に授業をやりました。
「学級会で、運動会の種目を決める」という場面を設定しました。司会が、ある一人の生徒の「俺は○○じゃなきゃ出ない!」という意見を聞いて、その後、どのように会を進めればいいか、を考えました。(しかもその生徒は、クラスの中で良くも悪くもかなり影響力をもっている、自分の意見を言った後は、人の話も聞かないで友達とお喋りに夢中、という、ありがちな設定です(笑)
まず、「自分の思いだけを伝える方法」。怒りや悲しみ、喜びを、相手の気持ちや周りの人の目を気にせず言葉にしてみます。
男子生徒は本気で演技をしています。「お前、わがままなんだよ、他の人の意見も聞くから、少し黙ってろよ。」おお、きっとこんな場面になったらこんな感じで言ってしまうのかしら・・・と少し心配になるぐらいの迫真の演技です。
次に、「相手(わがままな生徒)の思いだけを考えて反応する方法」。自分の気持ちには封をして、相手が気分よくなるような言葉を考えます。
「△△くんがこう言ってるし、皆さんそれでいいですか?・・・」なんだか自信なさげに発言をしています。「絶対こんな司会者は嫌だな・・・」なんて言いながら(笑)。
ここで、この2つの場面を、第三者からはどう見えるのか、一緒に考えてみました。
最初の場面。
生徒は「周りの友達は、司会者のことを怖い人だと思うかもしれない。怒らせたらやばいやつ、みたいに思うかも」「この後、学級会を続けても意見は出づらくなるんじゃないかな」と言います。「司会者としてはどうなのかな?」と尋ねると「あまり良くないと思います」と答えました。
次の場面。
「わがままな人の意見が通ってしまったら、他の人はますます意見を言いにくくなって、少数派の意見がきけなくなってしまう」「司会者も、なんだか情けないな、って思われてしまうかも」と生徒は意見を伝えてくれました。
ここで、アサーティブな表現を考えていきます。
アサーティブにするには、「自分も相手も大切にする」ことが大切です。
今記事を読んでくださっている皆さんだったら、どうしますか?少し考えてみてください・・・(笑)
はい、考えはまとまりましたか?
それでは、生徒が何と言ったか、お伝えしますね。
「△△くん、意見を言ってくれてありがとう。他の人の意見も聞いてみたいから、少し待ってて。皆さんの意見はどうですか?他の種目を思いつく人はいますか?」
でした。
相手に対して、自分の気持ちをしっかり伝えていますね。やわらかく、「黙っていてほしい」という意思も伝えられています。これなら、司会者としてもなかなか上手だと思います。
実際の場面で言えるかどうかはわかりませんが、気持ちが落ち着いている時にこのようなトレーニングを特別支援学級の自立活動の授業でしています。
日常生活で般化できるようになるといいなぁ・・・。
特別支援学級の先生方や、保護者の皆さんの参考になれば幸いです。
特別支援教育に興味を持つ教員です。先生方だけでなく、いろいろな職業の方とお話して視野を広げたいし、夢を叶えたいです。いただいたサポートは、学習支援ボランティアをしている任意団体「みちしるべ」の活動費に使わせていただきます。