見出し画像

全てのインネパカレー店へ愛を込めて

海外や国内旅行など、自分のテリトリーから外に出て食を求める時、食べログやGoogle MAPで検索するよりも、そのテリトリーで暮らす人に聞く方がアタリを引く確率が高い。

「あの店は観光客向けだけど、地元客はここに行くよ」

「ちょっと注文にコツがいるけど、ここではこのメニューを食べな」

私は今まで旅をする度に、そんな自分のテリトリーで食を楽しむ現地人のお世話になってきた。やはりその土地に根ざした人は本能的にいい店や食を知っているものである。

その逆バージョンが、日本全土を占めるいわゆる「インネパカレー店」で起こっている。

世の中にはこのインネパカレー店を侮辱するような意見も多々あるし、あの異様にデカすぎておかわりし放題のメリットを享受できないナンや、注文の後すぐ出てくる投げやりなミニサラダや、どのカレーを食べても基本のベースの味が同じで具だけ違うとか、チャイが白磁のコーヒーカップに出てくるとかの気になる点はあるにせよ、インネパカレー店のこういった「特殊なローカライズ」はネパール人の【優しさ】に依るところが多分にあると思う。

補足[インネパカレー店、とはド派手な看板とインドの神様をモチーフにした外観で、良く見るとインド、ネパール料理店と看板に書いてあり、店内はインドのテレビやインドの音楽が流れ、クミンの香りが漂うネパール人が経営しているカレー屋の事]

インドでは料理人のステータスはまぁまぁ高いそうで、実際日本に引き抜いて来ようとするとお金も割とかかるらしい。

そこでネパール人がインドで修行をして、日本に出稼ぎとして来て、インド料理店では無く「インド・ネパール料理店」としてスタートするのである。

※余談ではあるがタンドールというナン窯を導入すると、1台につき4人のネパール人に就労ビザがおりるらしい。

そして他者を尊重するネパール人は「日本人が喜ぶカレー」を目指して躍起になってナンをデカくして、チーズと生クリームをたらふくいれてくれる。

しかし人間も30代後半になってくると、「脂!糖!」よりも滋味深い味を求めたくなってくる。

そこでダルバートである。

ダルバートの説明は有名店である「ダルバート食堂」に譲るとして

初めてダルバートを食べた時、これぞ「現地の味」だと言わんばかりの地味で滋味深い味わい、強烈なパンチは無いものの、チーズナンを1枚平らげた後の眠たくなるような血糖値の急上昇も無く、ご飯と野菜の優しい味わいで、ゆるやかに食事が終わっていく。

実際日本の飲食店でのマーケティングを考えると、口に入れた瞬間に速攻旨くて中毒性があるものの方がヒットするのだと思う。(日本に限らないかもしれないが)

唐揚げ、タピオカ、大陸系中華、パンケーキ、パフェなど流行っている店は枚挙に暇がない。

だけど僕は見知らぬ土地でオレンジの看板にガネーシャを見る度に、注文後に出てくるミニサラダにかかっているゴマダレを見る度に、カレーにトッピングされているネギを見る度に、

そしてネパール人の優しさに触れる度に

「あなたが普段食べているものが知りたい」と思ってしまうのである。

【新潟市】パルバティ-もっちりナンとインドカレーが-おいしいお店-1


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?