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季節を味わう隠れ家ごはん。〈art&eat 森の詩_鈴木町〉

野菜たっぷりのごはんが食べられると聞いて、いつかいつかとインスタグラムでメニューをチェックしていた『art &eat 森の詩』。
筆ペンで書かれたお品書きと、旬の食材が使われた料理に「いいね」を押しつつ、スケジュール帳と何度もにらめっこしていた。
営業日は火・金・土曜日。第4金曜日のカレーの日にやっと行くことができたので紹介したい。

立て看板がなければお店だとは気付かない、住宅街にある白い壁の家。玄関を開けるとなんだかなつかしい雰囲気で、友達の家に遊びに来たみたいな感覚になり「お邪魔します」とスリッパを借りてリビングへ。

おひとりさま席に案内され、カレーランチを注文し、黒板に書かれたドリンクメニューをじっくり眺める。
仕事の合間でなければお酒も飲みたかったなぁ…と、入って早々に次の楽しみを妄想してしまった。
そうこうしているうちにスパイスの香りが漂い、お盆いっぱいにカレーと小鉢が運ばれてきた。
この日は自家製塩麹漬豚のポークカレー!(しかもグルテンフリー)

お品書きと料理を交互に見て答え合わせ。
わたしの表情からハテナを感じ取ってくれたのか
「アレッタ、食べたことありますか?ブロッコリーとケールをかけ合わせたものなんですよ」
と店主さんが説明してくれた。

パクパク夢中で食べる。すっかり野菜不足だった体に、野菜の苦味や酸味が染み渡る。
サラダにかかったドレッシングはゆずの風味がアクセントになって、永遠にレタスを食べ続けられるおいしさ。
カレーの塩麹漬けポークは、厚みがあるのにホロっとやわらかい。
じゃがいものポタージュはやさしい味。陶器のマグもあたたかみがあって口当たりがさらになめらかに感じる。
器を気にしながら、店内のインテリアもキョロキョロとしていると
「両親が使っていた食器や家具使っているんですよ」
と気さくに店主さんが話してくれた。
聞くと、この家は使わなくなっていた実家なんだそう。

食後に挽きたてのコーヒーをいただく。これまたかわいいカップアンドソーサー。これもご両親が使っていたものなんだとか。

おひとりさま席には、細々とかわいらしい置物が飾られている。その中でお父さまが買ってきたという日時計を見せてもらった。

緯度をちゃんと合わせれば、糸の影が時刻を示してくれる。
どこの国で作られたものか店主さんもわからないと言っていたが、今でも立派に役目を果たす先人の知恵は、飾るだけでも味がある。

廊下の向こうのギャラリースペースには、手作りの雑貨がずらりと並んでいる。
店主さん自身も染色家であり、デザイナーの仕事もしているアーティスト。
その多才さに感心しつつ、また話に花が咲く。

咲くのは話だけではなく、もう少しすると庭の桜が見頃を迎え、2階席からお花見ができるそうだ。
「父が植えた桜をみなさんに楽しんでもらえるのがうれしい」と店主さん。
今年の開花は早そうなので、また近いうちに思い出の桜で一杯味わいに来たい。

(お)

【art&eat 森の詩】
東京都小平市鈴木町2丁目156−8


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