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花小金井の光ヶ丘通り商店会で中国出身のお父さんが腕を振るう小さな町中華『唐陶園』が復活していた。〈唐陶園_小平市鈴木町〉
20年ぶりに訪れてなお変わらないお父さんの溢れるホスピタリティーとチャーハンとラーメンと小籠包で心地良いお昼を過ごした話。
ある日。花小金井の光ヶ丘通り商店会を自転車で走っていると、もう閉店してしまったと思っていた『唐陶園』の扉が久しぶりに開いていることに気が付いた。あの頃と同じラーメンの赤提灯をぶら下げて。
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自転車を止めて中を覗くと、少し年を重ねたお父さんが「いらっしゃいどうぞ」と人懐こい笑顔で店先まで出てくる。「再開したんですか」、「うんはじめたよ」と満面の笑み。「今日は寄れないからまたこんど」と伝えると、「そうまたね」。そんな会話をして後にした。
2003年に小平に暮らし始めた頃、妻がパートを始めたこの近くの会社でよく利用をしていて、誘われて気に入り夫婦で通うようになった、中国出身のお父さんが腕を振るう町中華のような安心感に満ちた小さな店。
そうだ『唐陶園』が復活していたんだよと妻に話すと、え、行きたいと前のめり。電話をして「あいてるよ」とお父さんの声を聞いてから、お昼を食べに向かう。
あらためて眺める外観は、朽ちそうな薄汚れた板張りから、小奇麗な板張りへ変わっていた。扉の上にあった板書の『唐陶園』の看板は、外されて地面に直置きされてなお存在感を放っている。
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20年ぶり。誰もいない店内に「いらっしゃい」とやさしく迎えられる。ほぼ皿や備品で埋まり座る場所の無いカウンター席と4人掛けのテーブル席が一つ。テーブル席に座ると「なにたべる」と笑顔のお父さん。
お昼はラーメンとチャーハンと餃子らしい。でも、その下の「はじまりました天津小籠包」の貼り紙に心を惹かれ、ラーメンとチャーハンに小籠包は大丈夫と聞くと「いいよ」。小籠包は3個だけどサービスで4個作るねと言ってくれた。けど、つい遠慮した。なんか大きいのを想像したから。
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カチャンカチャンカチャンと中華鍋を振り始めると香ばしい薫りが立ち込めてくる。カコンカコンカンカンカコン。金属がぶつかる音が心地よく響くBGMなく静かな店内。ひかりヶ丘商店会通りの賑やかはガラスの向こう。
あの頃のことを思い出しながら話しをしていると、家族として迎えられているような安心感に包まれる居心地の良さ。「おまたせ」と届いたそれぞれを小皿に取り分けていただきます。
硬めの米に卵と玉ねぎを炒めた、ほどよく塩けが馴染む実直なチャーハンを箸で口に運んで、おいしいとこぼれる笑み。
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小籠包は思っていたよりも小さくて、4つに甘えておけばと後悔しながら噛みしめると、ブシュッと飛び散る肉汁にびっくりを2度。手作りの分厚いもっちもちの皮に包まれるコリっとした軟骨がまじる餡を、自家製のラー油をまぶして頬張るしあわせ。
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最後に届くラーメン。動物の旨みをやさしく包む醤油ベースのスープにレンゲが止まらないを繰り返したのち、一息ついて啜るパツンと歯切れの良い喉越しの良い麺と、歯応えがある味染みるメンマに、とろっとろのチャーシュー。うん、おいしいと満たされる。
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この場所で26年。ことし71歳になるという。閉めていたのはしばらく病気をしていたから。にこにこと話す人懐こさに引き込まれる魅力はあの頃のまま。
「まだがんばるよ」なんて店先まで見送ってくれる心遣いはいつものこと。ごちそうさま、また来るから。麻婆豆腐とトマト玉で紹興酒が頭の中をぐるぐるしている。
(は)
【唐陶園】
東京都小平市鈴木町2丁目204−86
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