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ビールはかつて水代わりに飲まれていたという話を深掘りしてみた

日本に住む現代のわれわれは蛇口を捻れば清潔で美味しい水を飲むことができる。
これは世界でも恵まれた環境であることは間違いない。
ここで調べたら水道水をそのまま飲める国は15か国しかないらしい。

清潔な水の確保というのは大昔から人類にとっての課題であった。
その課題に対する対策として、はるか昔のヨーロッパではビールでの水分補給が行われていたようだ。

「めっちゃ汗かいたからビールで水分補給するぜ!!」
みたいな感じで水分補給することは現代では御法度だとされている。アルコールの利尿作用によってさらに体内の水分が失われるのと、アルコールの分解にも水分が使われるというのが理由である。

ではなぜ古代ヨーロッパではビールが水代わりに飲まれていたのだろうか?
その理由について調べたら以下のようなことがわかった。
1. ヨーロッパの水は飲みにくい
2. ヨーロッパの気候が乾燥しているため
3. 欧米人はアルコール耐性が強い


1. ヨーロッパの水は飲みにくい

ヨーロッパの水は基本的に硬水である。
そのため日本の一般的な飲用水である軟水より飲むときに引っかかりがある。
その引っ掛かりとは、マグネシウムやカルシウムなどのミネラルだ。これらの成分がある硬水は、なんというか少し食感が悪かったりしょっぱいような味を感じる。あまり飲みたくなるような飲み心地ではない。
ヨーロッパに硬水が多い理由は、石灰質を含む土壌が多いことと、高低差のない平地が多いためゆっくりと時間をかけて水は地下に染みていくのでミネラルを吸収しやすいことが挙げられる。

2. ヨーロッパの気候が乾燥しているため

ヨーロッパは日本と比較して降水量が少ない。※こちらを参照
国によってばらつきはあるが、だいたい日本の半分くらいの雨の量だと考えられる。

そのため、湿度も低いカラッとした気候であるということになる。
日本の夏はじめっとした蒸し暑さのため、けっこうな量の汗が出る。その反面ヨーロッパでは汗をかくようなことはあまりない。またちょっと話はずれるが、欧米人は唾液の分泌量が日本人の3倍くらいあるため喉の渇きを感じにくいし、食中に飲み物がなくてもぜんぜん食べれてしまう。
これらのことから、普段からあまり水分を必要としないようだ。

3. 欧米人はアルコール耐性が高い

欧米人が大酒のみというイメージはなんとなく持っていると思う。
実際その通りなのだが、その秘密はアルコール脱水素酵素アルデヒド脱水素酵素の活性レベルが関係している。

aruko-ruぶんかい

※アサヒビールHPより

アルコールの分解プロセスは以下の通り。

アルコール
↓ アルコール脱水素酵素
アセトアルデヒド(二日酔いの原因)
↓ アセトアルデヒド脱水素酵素
酢酸

水・二酸化炭素

欧米人がこのプロセスの中のアセトアルデヒド脱水素酵素を持っている割合はなんと100%で、その活性レベルは高い。反対にアルコール脱水素酵素の活性は弱く、アセトアルデヒドへの変換はゆっくりとなる。
これはどういうことかと言うと、二日酔いになるスピードは遅く、なったとしてもすぐに回復していく。
そのため欧米人はお酒をガンガン飲んでも頭がガンガンすることは少ないようだ。

ちなみに日本人のアセトアルデヒド脱水素酵素が活性の割合は56%。残りの40%は活性が弱く、4%は全く機能しない。
そして悲しいことに、アルコール脱水素酵素の活性レベルは全体として高いので、二日酔いの症状が現れるのは早くなる。わたしたちは平均的にお酒が強くないということが言える。

酵素の活性レベルは遺伝によるものなので、どうすることもできない。
おとなしく適量を飲みましょうって事。


といった具合で、ヨーロッパの人びとがビールを水代わりに飲んでいた理由がわかった気がする。
ビールは水以外にも栄養のある滋養強壮飲料としても活躍しており、妊婦にも好まれていたそうだ。妊婦にアルコールなんてダメだろと思うが、アルコール耐性の話を知ったら欧米の人だったらアリなのかもと思ってしまう。飲みすぎは絶対良くないと思うけど。

1Lジョッキの一気飲みとか憧れるなぁ。すげえな欧米人。
おやすみなさい。

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