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ラグビーと人生

僕は高専のラグビー部で活動していた。15歳から20歳の間の、僕のラグビー人生。よくスポーツや芸事などをしていた期間を〇〇人生と書くが、まさにラグビーをすることがその後の僕の人生に影響を与えた。

僕が入部する前の部員は5人もいなかった。ラグビーを見ない人は知らないかもしれないが、ラグビーは1チーム15人でするスポーツだ。最低、15人だ。5人では到底足りない。入ってくださいと頼み込む部活動紹介に感情移入し、僕らの代は芋づる式に十数人入部し、ギリギリ試合ができる程度にはなった。

島根県の高校ラグビーは少し有名で、花園切符への櫓の1回戦が決勝で、毎年強豪校に負け続けている。テレビにも取り上げられるほどの点差がつく。

僕たちはルールも殆ど知らない状態でピッチに立ち、ムキムキの高校生たちに突進された。楕円形のラグビーボールが爆弾に見え、どうやらこれをもっていると、敵にタックルされるらしい。ということを学習しはじめた。敵はあれ目がけて突撃してくる。

そんな感じで始まった僕のラグビー人生だった。僕は昔からそれなりに運動神経も良かった。そして、人より恐怖心というものが少なかった。少し脳がバグってて、ムキムキの相手にも割とヘラヘラしながら突っ込んでいける脳の持ち主だった。

ラグビーをする上では大事な才能の一つかもしれない。そんな訳で突っ込んで行っては吹っ飛ばされ、立ち上がりを繰り返し数年。
覚えていないくらい怪我をした。ラグビーは怪我が多い。生身で人と人が全力でぶつかるのだ。そら怪我もする。

一度百何十キロはありそうな人がこっちに走ってきて。僕も突っ込んで行った。何メートルか後ろに飛ばされ驚いた。人ってほんとにこんな吹っ飛ぶんだなって。自分の体にも物理の法則が適用されているのを感じた。

いつの怪我かはわからないが、最近左膝裏が痛み、立てなくなる時間がある。以前整形外科に行っても原因はわからずじまいで、4年ぶりの再発。4年間、デスクワークやドライバーをしていたから存在を忘れていた。

ゴルフボールダイバーなどの激しい肉体労働は諦めた。僕的に肉体労働は好きだったけど。頭脳労働もしないといけないみたいだ。

土木の仕事を始めた後も、たびたび左膝裏が痛み立てなくなる時間がある。高所作業中にこうなると、危ないなぁと思う。今の仕事は頭脳労働も多いが体も動かす。

足を引き摺り。片足で歩きながら、電車に乗り出勤した日。障がいを持ちながら電車を利用する人がいつもより目についた。こんな時でないと気づかないんだな、僕。多少の怪我だったら、単純にできる仕事が制限されて、あとは頑張って生きてくださいね。って感じなんだろうか、社会。歩けなかろうと基本的には同じ資本主義の土台に置かれ、生活してゆくのだろう。

障がいのある人が生きづらい社会。これをどう捉えるか。社会をもっと改善するべきと捉えるか。どうか。

自然界を見てみる。怪我をしたり、ハンデを背負った生き物は天敵に捕まりやすかったり、死にやすい。人間は文明を作り、助け合い、補い合う社会を作った。
僕たちは、人間である前に自然界に生きる動物であり、生物だということを忘れがちなように思う。
明日生きている保証は常にないし、食べ物は全てかつて生きていた命だ。街をゆく人は、それを知っているだろうか。

障がいを持っている人が感じる、社会で生活する上で感じる障がいは、常に健常者に比べて。という前置詞がつくのだろう。

時たま足を引き摺りながら、仕事を続けられなくなったらどうしようとか考えながら、思う。

人生だなぁと。人生にはいろんな伏線回収の仕方があるんだなぁ。僕は確かにラグビーをしていた。時たま使い物にならない左膝裏がそれを伝える。

ラグビーに対して負の感情がある訳じゃない。あれほど楽しいスポーツもなかった。
最後の試合の時は、始まる前から涙が止まらなかった。あれは不思議な感情だった。試合ができることが嬉しくて、終わりそうなのが少し悲しくて、ラグビーというスポーツに敬意を表し、とにかく朝から感動していた。勝っても負けてもいいなと思いながら、この5年間にひたすら感謝していた。チームメイトと、スポーツを通じて素敵な思い出をたくさんくれた美しいスポーツだった。合宿などで計りきれないくらいの時間を仲間と一緒に過ごした。

脳震盪を起こして、頭の中でうるさいバイクのエンジン音がしまくってだ時は流石に死ぬかと思ったけど!
他にも仲間が担架で運ばれていったり、脳震盪で痙攣してたり、記憶を飛ばしてる場面もたくさん見た。何度も心配し、同じだけ安心もした。

仕事でも使う少し傷んだ体だから…。今はあまり思っ切りはできないな。

全てひっくるめて自分の人生だなと思う。
少し嬉しくもある。ラグビー人生のあとも、僕の人生は続いてゆく。

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2022.5.28追記:怪我について

立てなくなる痛みの原因は、膝の外側靭帯の損傷。通常靭帯は縦方向にまっすぐ付いているが、僕は生まれつき内側から外側に、斜めについているらしい。

普通の人が100%のところ、僕は130%の力を常に使ってるらしい!さらに、横方向に力が加わるので、膝を曲げた時にズレ、亜脱臼状態になるらしい。

スコアが良くないので通常手術などはしない。サポーターも一定の効果はあるが万能ではない。とにかく膝を90度以上曲がないように言われた。

今は左足だけ痛む状態だが、軸足が左なだけで、右も使いすぎるとこうなるそうだ。

ラグビーの古傷というより、ゴルフボールダイバーで膝に過剰な負担や膝の折りたたみがあったことが原因みたい。ラグビーが原因じゃなくてよかった。

生まれつき…人より力を使ってるから痩せてるのかな。普通の靭帯だったら、もっとパフォーマンス出せたのでは…など思ったが、まぁいい!

屈んだり、あぐらをかかないようにして、膝を曲げない生活をしよう!
サポーターをつけながら!

そういえば、僕は子供の頃あぐらがかけなかった。正確には内股や外臀部が硬くて、あぐらを掻くのを練習していた。
長座体前屈などは人よりできて、柔らかかったのに。小さい頃から意識的に膝を折り曲げる体勢を避けてたのかも知れない。そんなことを思った。

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