久々に高校の通学路を歩いた。そしたら思い出がなくなった。
出来事としては今日。久々に高校時代の最寄り駅に降り立ったのだ。理由としては情けない話だが、先週の木曜日、電車内に財布入りのリュックを忘れ、それを引き取りにやってきたのが、たまたま高校の最寄り駅だった。卒業以来、約10年ぶりに高校の最寄り駅に降り立ったのだ。
まずは朝一、駅の忘れ物案内所に行き、無事にリュックを受け取った。なかに入ってたものは全部あったので安心した。
リュックを受け取って一安心した僕は、用事までまだ時間があったので、せっかくだからと通学路を歩いてみることにした。まず卒業した高校の通学路を大人になってからまた歩こうという発想にない。ふつうは。
通学路を歩くとたしかに忘れかけていた思い出もある。誕生日プレゼントで買ってもらったiPod classicで、当時駆け出し中だったMAN WITH A MISSIONや9mm Parabellum Bulletを聴きながら歩いていた。当時AKB48が全盛期だったころ、「邦ロック聴いてる俺」を演じたイタイ高校生であった。
高校の頃に着ていた制服は処分し、教科書もない、当時の写真もない(ガラケーは持っていたが持ち込み禁止だった)。高校時代を思い出せるのは卒業アルバムと通学路だけであった。
今日、久しぶりに通学路を歩いてみてわかったことがある。高校時代に通っていたファミレスや飲食店、コンビニ、ゲーセン、本屋がどんどんつぶれていた。高校時代の思い出がすべてなくなっていた。『進撃の巨人』の最新刊が出るたびに買ったあの本屋、文化祭の打ち上げで仲間と行った飲食店、当時はまっていた音ゲーをやりにいったゲーセン。すべてなくなった。街はどんどん変わっていくにつれ、僕の思い出はどんどんなくなっていく。
都内の飲食店や本屋はいつつぶれてもおかしくないのだけど、僕の思い出の場所がなくなることへの感慨がある。
今日、約10年ぶりに来たこの通学路で時代が流れる音がきこえた。通学路の向こうで今の自分のこころをみつめていた。
厚い雲に覆われ、少しばかりの涙雨が降っていた。
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