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【日記】目黒雅叙園「大正ロマン展」でノスタルジックを感じた話。

JR目黒駅に到着し、長いエスカレーターを上がったら雨の匂いがした。運んできてくれたのだ。たぶん、風だ。鼻腔をくすぐる新緑の匂いだった。暖かさの中に優しく包む雨の粒が街中を覆う。雨に触れた身体が少し寒い。目抜き通りが項垂れて湿気る匂いに、僕はようやく生きているのだと実感する。そんな灰色の空であった。

待ち合わせまで少し時間がある。近くのカフェに入り、窓際の席で雨が運ぶ景色を見ていた。店内のBGMのせいで雨の音が掻き消される。趣きもへったくれもなかった。雨の日になぜ遠いところまで来たのか一瞬忘れかけていた。そして思い出した。今日の目的は目黒雅叙園でやっている「大正ロマン展」に行くことだった。大学時代の同期と後輩入れて6人で行くことになっていたのだった。

大正時代を生きた文豪たちの作品に描かれている世界観を立体として展示している。

中島敦『山月記』で袁傪と李徴が再開した草むらを再現した展示だ。「写真映え」するといったらそれまでだが、本当にこんな世界だったのかもしれないと思わせる空間に僕は立ち尽くしていた。

本当に異世界に来てしまっかのような雅さがそこにはあった。おじさまおばさま方は「昔の方がよかった」というけれど、僕は好きだよ、こういうの。

いいなこういう机。なんていうの?低い座卓の横に肘掛けがあって引き出しがあるこのセットまるごとほしい。

一通り見て回ったあと、近くだったので目黒寄生虫館にも寄った。なんと入館料無料である。

サブカル好き大学生のデート先の筆頭(と、僕は思う)になっている目黒寄生虫館で、僕はアニサキスが観れてとても感動した。

食中毒の原因にもなるアニサキス、こんなに細長い糸みたいな感じだった。食中毒には気をつけよう。

一通り回って、僕たちは近くのファミレスで休憩した。なんと、ファミレスにだ。アラサー6人集まってファミレスにたむろするって、なんかおもしろい。しかもみんなパンケーキやらパフェを注文していた。アラサーなのに。

学生時代に戻りたいとは思わないが、嫌なことがあっても酒を飲んでくだをまくのではなく、ドリンクバーで友だちとダラダラ話せばやり過ごせていた時代の心の健全さは取り戻したいと思った。このとき、それができたような気がした。雨は鬱々とするから嫌いなのだけど、このときだけは雨が降っててよかったと思う。雨が僕たちをつなげてくれたのだ。


目黒雅叙園にて行われている「大正ロマン展」はこちらのURLを。GWの行先としてぜひご検討を。


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